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「穴埋め問題」解答脳はもう生き残れない

子供を「上流ロード」に乗せるには、なにが有効なのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では、子育てをめぐる13のテーマについて識者にアドバイスを求めました。第11回のテーマは「大学入試大改革」です――。

■大学入試はいままで以上に難しくなる!


現在の中学2年生が大学入試を受ける2020年度。その年から入試制度が大きく変わる。大学通信常務取締役の安田賢治さんによれば、現時点で次のような変更点がわかっている。

写真=iStock.com/paylessimages

まずは答案の書き方。従来のマークシートによる「選択式」も残るが、それに加えて「記述式」も導入される。記述式が取り入れられるのは数学と国語。数学は答えだけでなく途中の考え方や数式を書くことが求められ、国語は「80字以内で、この3つの言葉を使った文章をつくりなさい」というような問題が出る見込みだ。

「いままでの入試問題は、言ってみれば『関ヶ原の戦いは何年ですか』という問いに対して、『1600年』と答えるものが多かった。しかしそれでは単に知識を聞いているにすぎない。知識なら人工知能で十分です。もっと総合的に自分で考える力をつけるために『関ヶ原の戦いによって、何が起きましたか』と問うようになるのです」(安田さん)。大学入試はいままで以上に難しくなるのだ。

国が「○×式の知識詰め込み教育はやめる」というはっきりした方針を打ち出している以上、今後は大学側も単なる穴埋め問題などを出題することはできない。おそらく記述式の割合は増えるはずだ。

もう1つの大きな変化は、実際に英語を話す試験が加わること。英語の四技能(読む、書く、聞く、話す)のうち、「読む力」はいまのセンター試験でも測っているし、「聞く力」はリスニング用のICプレイヤーが1人1個配られ、そこから出題されるようになっている。しかし「書く力」と「話す力」はどうやって測るのか。

▼2021年、大学入試はこう変わる!
(1)センター試験を廃止、大学入学希望者学力評価テスト(仮)導入
(2)数学と国語においてマークシートが減り、記述式が導入される
(3)マークシートでも、暗記型から、思考力・判断力・総合的な理解を問う内容に変化
(4)「英語を書く・話す」試験を追加。TOEFLなど民間検定試験を利用する案も
※現時点で判明している内容

「『書く力』と『話す力』は民間の検定試験を利用するという話が出ています」(同)。どんな民間の検定試験になるかは未定だ。こうした入試制度改革の背景には「みんなに英語をしゃべらせたいという国の思惑がある」(同)。「高校卒業時には英検の準2級を取得することが望ましい」というような目標も導入されている。

このように2020年度の大学入試は、いままでと出題傾向が大幅に変わるため、傾向が読めない。そこで現在、中学生を持つ親のあいだでは、確実に進める大学を確保しておける大学の附属校が人気だ。そこまでしなくても、大学入試に備えて家庭でできることもあるはず。

まず英語に関して言えば、英語嫌いにさせないことだと安田さんは言う。「子どもは意外と頑固だから、いったん嫌いになってしまうと好きにさせるのは大変。いまは英語の早期教育も盛んですが、嫌がるようなら無理強いしないほうが後々いい」。

記述式の問題が増える点に関しては、書く力、考える力をつけることが大事。そのためには、まず本をたくさん読んで活字に慣れ親しみ、書かれていることを読み解く、という能力を身につけることが効果的だ。

わが子への接し方にも気を付けたいと安田さんは言う。「親は子どもがわからないことがあって困っていたら、答えを教えるのが子どもを助けることだと思ってしまう。でもこれからは、なるべく子ども自身に考えさせること。回り道をどんどんさせて、日常生活でもいろいろな問いを投げかける。それが学力をつけることにつながる」。

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日頃から、わが子に「自分で考える」訓練をさせよう

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安田賢治(やすだ・けんじ)
大学通信常務取締役
情報調査・編集部ゼネラルマネージャー。1956年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、同社入社。以来、長年にわたり教育界や学校経営を見続けてきた。 

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(ライター&エディター 長山 清子 撮影=大泉 裕 写真=iStock.com)

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