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武蔵野市もふるさと納税対策へ。そもそもで考えれば制度矛盾

 武蔵野市のふるさと納税による税収減は平成29年度で約3億7200円。この対策へ市が動き出すことになった。

 先の決算特別委員会でも多くの議員から対策を求まられていたこともあり、武蔵野市は、10月の組織改正で財務部財政課にふるさと納税担当係長を設置し、税収減への対応を検討することにした。地元産品の返礼品を用意する、あるいは、特定事業への寄付を募るなど詳細は未定としている。



■武藏野市の農産品が返礼品になるか

 武蔵野市の地元産品には何があるかと考えると、まず浮かぶのは「うど」だろうか。市内の農家からも「うど」を考えて欲しいとの意見を聞くこともある。だが、武蔵野市の農業産出額で最も多いのは「トマト」、2位「ぶどう」、3位「日本なし」。収穫量では、1位「だいこん」、2位「キャベツ」、3位「ばれいしょ」という状況で「うど」は統計に顔を出さないほど収穫量は少ない(武藏野市の農業/平成30年6月より)。返礼品として量が確保できるかという難題が立ちはだかっている状況だ。

 そもそも武藏野市農業の算出額はトータルで約2億3000万円だ。野菜だけでは約1億7000万円。返礼品の額を3割と考えると、市内の野菜を全部返礼品にしないと対応しきれないことになり、農産品での対応はかなり難しい。地元企業となると、大手居酒屋チェーン、牛丼店、ファミリーレスレストランの本社があるので、地元産品として食事券を返礼品にと考えられなくもないが、それってどうなの? と思わざるを得ない。

 ほかの自治体でも地元産品がない、あっても量を作れないとの課題があり、返礼品競争に参加できないとの声を聞く。家電を返礼品として税収を増やす例も考えれば、返礼品目的のふるさと納税の制度自体に問題がある。

■首長の選挙対策にもなる

 ふるさと納税の制度について、特に都市部では批判が多い。自治体間の格差をなくすために地方交付税があるのだから、地方交付税をなくすべき。本来収めるべき税金を返礼品という物に変えることができる制度であり高額所得者ほど特をする制度が問題。市民サービスの対価として税金があるのだから、税金を納めたうえでNPOなどに寄付をする制度にすべきなどだ。

 そのなかでも、地元産品を返礼品にすることは首長の選挙対策になりそうだ、との某首長の指摘もあった。確かに宣伝と販売を同時に行え、しかも自らの自治体の懐が痛まないのだから首長としては選挙対策としてかなり有効になりそうだ。少なくとも選んでくれた首長には、業者の忖度が働くのは容易に想像がつく。

■そもそも税金とは

『税金とは、年金・医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくため、この費用を広く公平に分かち合うことが必要です』と財務省は税金の意義をHPで伝えている
 公平に分かち合うのが税金と考えれば、公的サービスを受けながら対価を払わないばかりか、物品という得をしてしまう制度は税金の意義を否定してしまうことにもつながる制度ともいえる。

 一方で、自らの自体の公的サービスに納得がいかないから、ふるさと納税を使うとの意見もある。この指摘は真摯に受け止めることが重要だ。納税の納得が得られるように"税金の無駄遣い"をなくすように透明化と効率化が自治体には求められている。

■矛盾が多くやめるべき

 メディアでも報道されるようになったふるさと納税の問題。今後、どのように変わるか分からないが、税金とは何かを今一度考えることが必要だろう。武藏野市がどのような対応をするか分からないが、もし返礼品競争に強気で参加するとなると、地方から都市部へ税金が流れてくる可能性もでてくる。

 そうなれば、一応の大義名分としてある「ふるさと応援する意義」もなくなってしまう。やはり、ふるさと納税自体が矛盾を抱えているおかしな制度でやめるべきだろう。公的サービスの対価を払ったうえで、ほんとうのふるさとやNPOなどへの寄付控除を今以上に設けていくべきではないだろうか。

【参考】
1人あたりのふるさと納税減収額はダントツの武蔵野市  このままで良い?(2018年09月20日)

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