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潜在保育士の本音  戻りたくても戻れない理由

 保育士の免許を持ちながら、保育園で働いていない潜在保育士が注目されているが、なぜ戻らないのか。前回に続き、新たな課題を伺った。



 保育士不足で保育園の定員を減らしているケースが報道されているように、待機児解消には保育士不足が大きな問題となっている。前回でも書いたが、全国の保育士の資格を持つ人(登録者)は、約119万人でそのうち保育士として働いている人は約43万人。資格があるのに64%の保育士が働いていないのが実情だ。

 その理由には待遇が大きいことのだが、それだけでない理由もあった。

 それは、自分の子どもの預け先が確保できないから戻れないということだ。

■自分の子どもの預け先


 待遇とも密接に関係してくるのだが、自分の子どもを認証など認可外保育園に預けて働くと、保育料の負担ができない。短時間勤務の保育士となれば、給料と保育料がほとんど同じなるので働く意味がないのだという。
 認証保育所の場合、月220時間以下の利用をした場合の月額は、3歳未満児の場合8万円円、3歳以上で7万7000円を超えない料金設定とすると東京都が定めだれており、5万円から8万円というケースが多いようだ。給料の手取り額からこの額を引くと、確かに多くは残らないので言わんとすることは理解できる。

 せめて認可保育園に入れれば働けるのに、とのその潜在保育士は話していた。

■認可保育園の保育士優先枠


 自治体によって違いはあるが、市内の保育園で働く保育士について、認可保育園入園への加点をしているケースがある。武蔵野市の場合「調整指数」をつくり、家庭状況などにより加点しているのだが、そこには「保護者が保育士」の項目はある。

 しかし、加点数は1点。多くの待機児を抱える家庭の点数が横並びである現状を考えると、必ず認可園に入れるとはならない。となると、認証に預けて働くこともないか、となってしまうのだろう。

 民間の6つの保育事業者は、大都市圏を中心に全国の認可保育園で保育士の子どもが優先入所できる仕組みを整えるよう国や自治体に提言し、育休・産休を取得している保育士の職場復帰を促して待機児童解消につなげたい考えを示している(保育6社が提言「保育士の子供、優先入園を/日本経済新聞 2018/5/31電子版)。厚生労働省も保育士の子どもが優先的に保育施設に入所できる仕組みを整えるよう、市町村に通知しているが上記のような状況だ。

 保育士を確保して保育定員を増やして待機児を減らしたいと考えれば、この点数はよくよく考える必要がありそうだ。

■高学年学童も


 保育だけでなく、学童保育も同じ、との声も聞く。子どもが小学生になり、保育園で働こうにも学童保育で待機児なれば同じことだ。武藏野市のように学童保育(武藏野市は学童クラブ)の待機児ゼロを続けているところなら大丈夫では? と聞くと、高学年を預かってくれない、との問題があると言われてしまった。
 
 武蔵野市は学童保育の待機児ゼロだが小学3年生までが対象だ(障がい児は段階的に6年生まで受け入れるようになる)。確かに高学年で学童保育が必要な子どもがいるとなれば、問題は続くことになる。

 とはいえ、児童数が増えている現状を考えると、高学年も受け入れると武蔵野市でも学童保育の待機児問題をおきてしまうジレンマに陥ってしまう。

 それなら民間学童に預けるから、保育料を補助できないの? との意見もいただいた。

 いわゆる民間の学童保育には、塾や習い事に学童保育機能を持たせたところはあるが、学童保育は、児童福祉法に基づく事業であり、監護にかける(保護者が就労などで家庭にいない)子どもが対象となるので、そのような学童では補助金は国などからでないし、自治体も補助はできないだろう。しかし、監護にかける子どもを保育している、それも高学年も対象としているケースであれば検討してもいいのだろう。

 武蔵野市内には、民間の学童保育所で高学年も対象としている「元気っこのびのび」があるように、ほかの自治体でも数は少ないものの同様のケースはある。
 保育定員を増やし待機児をなくすためには、その前にある保育士不足問題の現実的な対応策として検討が必要だ。

※写真はイメージ(話を聞いた人ではありません)

【参考】
保育園で働きたくない… 潜在保育士の本音(2018年02月21日)

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