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フランスで起きようとしている「革命」の正体 マクロン大統領はいまどうなっているのだろう - パスカル・ヤン (著述家)

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 旧帝大系大学院でさえも第二外国語が免除される時代になったようだ。第二外国語の強制力が消えた学部生も中国語など増えたこともあり、フランス語やドイツ語は脇に追いやられている。特にフランス語は隆盛を極めた1970年代と比較すると火が消えたようだ。

 ところが、新しい文明が時として辺境で起きるようにフランスで何かが起きていることを我らは知らない。

エマニュエル・マクロン仏大統領(REUTERS/AFLO)

 現在、日本ではフランスの情報が少ないのだ。少なくても誰も困らない。そして、正しくない情報が、大衆に「ウケる」というだけで大きな活字となってメディアに登場することも多い。前回のフランス・フィーバーは昨年の5月、大統領選挙の時であった。当初の下馬評どおりであれば、日本国民の感心はさらに小さかったであろう。

 しかし、年も変り春先になって急にマクロン旋風がおき、一方のルペンも善戦し、既製政党と無関係の二人が決戦残ってしまった。

 特に、エマニュエル・マクロンは25歳も年上の元恩師を妻としており、その一点だけでも、忘れえぬ大統領候補として日本にその名をとどめた。

 決戦投票の前日まで、マリーヌ・ル・ペンのチャンスがあるなどと、思いつきの話が日本だけで広がり、大新聞社に残るフレンチスクールの老記者たちにも活躍の場が提供された。

 あれから1年半、空騒ぎはおわり、フランス・ネタは枯れ果てていたところに、マクロン支持率30%の話が飛び込んできた。

 日本では、首相支持率は3割で退陣とされているので、これまた、ベースの情報が少ない日本では、マクロン「大トラブル」という筋の報道が好まれているのだろう。そこで、本当の所をお話しよう。

 そもそも役人や政治家は現在のポストを見れば将来がわかる。日本では県議出身の首相は明治以来120年間、出ていなかった。当初より国政をやらねば首相にはなれないということだ。マクロンは国政どころか、学級委員選挙以外、選挙に出るのも初めてとのこと。すなわち、当選すれば天井はさらに高くなるということであろう。

 あの風貌、あの若さ、あの妻、ナポレオン・ボナパルトにも見えることがある。学者肌ながらロスチャイルド銀行に下った経験からは、ジョルジュ・ポンピドー大統領を彷彿させる。また、知性と教養と若さで彗星のように登場したヴァレリー・ジスカール・デスタンにも見える。

 ナポレオンであれば、華々しいデビューであったが晩年はセントヘレナだ。ポンピドーなら、現在のフランスが先進国としてどうにか残っているのは彼のお陰だが、病で倒れてその名をパリ・ポンピドーセンターに残しているだけだ。

 ジスカールデスタンは長命で、後年ダイアナ妃との浮き名までながしているが、老獪なミッテランの策謀で大統領は一期で終わっている。さすれば、マクロンの将来はやや暗いことになってしまうが本当は違う。

 トランプ大統領は中間選挙で大わらわだが、もう一期やれるか、というより一期目を全うできるか心配になる。BREXITの期日が近づいている英国のメイ首相はいつまで持つか。長くなったメルケルはそろそろだろう。逆に残りは最低でも3年半もあるのがフランスのマクロン大統領と安倍首相ということだ。

 そんな有力政治家マクロンの本当の評価を日本人は知らない。知らなくてもいいが、支持率3割が飛び込んできたので大きな誤解が生まれてしまう。

 現在、欧州中見渡し、今後数十年にわたる欧州の骨格を造ろうとしているのがマクロンだけだ。あれほど盤石だったプーチンでさえも年金をいじれば火だるまになっている。いじらなければいつの日か破綻する。

 フランスも社会保障や労働制度改変をしなければ将来はない。そこに立ち向かっているのがマクロン大統領だ。解雇を容易にする改正労働法やフランス国鉄の雇用区分の特権をはぎ取るなどの厳しい改革に手をつけることは、政党を背負う政治家には無理だろう。

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