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“本土の反対運動を懸念し沖縄に海兵隊移転”は本当?

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では、本土の海兵隊はいつ沖縄に移駐したのか。

現在、キャンプ・コートニーに司令部を置く第3海兵師団公式サイトをみると、第二次大戦後いったん編成を解かれたが、1952年に再編成。朝鮮戦争で韓国に駐留した第1海兵師団の後方支援のため、1953年から日本(本土)に駐留し、1956年に司令部が沖縄のキャンプ・コートニーに移ったと記されている。現在キャンプ・コートニーには、第3海兵師団の上部組織である第三海兵遠征軍の司令部も置かれている(在日米海兵隊HP)。

林博史『米軍基地の歴史 』(吉川弘文館、2012年)によれば、第3海兵師団が来日した時は岐阜県や北富士演習場(山梨県)などに駐留していたが、米政府が沖縄への移駐を決定したのは1954年という。

当時、在日米軍海兵隊は本土に約2万5千人いた。それが、1957年の「国防長官の覚書」では約1万3千人。この3年間で本土の海兵隊兵力は半分近くに減ったことになる。他方、沖縄の海兵隊兵力は1万人を超えていた(前出『米軍基地の歴史』127頁)。

現在、第1海兵航空団の航空隊が使用している普天間飛行場も、1960年、米空軍から海兵隊に移管されたものだ(在日米海兵隊HP)。

▲写真 米海兵隊が駐屯するキャンプ・ハンセン(沖縄県金武町)Photo by Yanai (FIJ)

こうした経緯について、沖縄県は裁判所に提出した書面で、次のように指摘している。(以下、引用)

1950年代初頭、沖縄の米軍基地面積は日本本土の米軍基地面積の10パーセントにも満たないものであった。そして、1950年代を通じて、日本の米軍基地面積は大きく減少し、他方で沖縄の基地面積は激増した。

1960年(昭和35年)には、日本の米軍基地面積は335.204平方キロメーロルと4分の1以下に減少し、他方で、沖縄の米軍基地面積は約209平方キロメー トルと約1.7倍となった。この基地面積の変化の大きな要因となったのは、日本本土から沖縄への海兵隊移駐とこれに伴う海兵隊新基地の建設であった。(2015年10月21日、沖縄県提出第2意見書

(2)  次に、日米両政府は本土の基地反対運動を懸念して、本土の基地を削減したのかをみる。1950年代、主な基地反対運動や事件としては、以下のものがあった。

・1953年   内灘闘争(石川県内灘町HP

・1953〜55年 浅間山・妙義山反対闘争

・1957年   ジラード事件レファレンス協同データベース

・1957年   砂川闘争(砂川事件第一審判決、京都産業大HP

米国は1954年に本土の5カ所の米空軍飛行場拡張計画を日本側に示していたが、反対運動が激化し、横田基地の拡張以外はすべて失敗に終わった(前出『米軍基地の歴史』93〜97頁)。

こうした本土の反米基地運動の高まりを背景に、1957年6月21日、アイゼンハワー米大統領は岸信介首相との日米共同コミュニケで「翌年中に日本国内の合衆国軍隊の兵力を、全陸上戦闘部隊の早期撤退を含め、大幅に削減する」と約束した(データベース「世界と日本」)。本土では海兵隊だけでなく、米陸海空軍の兵力も大幅に削減された。

前年から米軍の海外基地の検討を求められていたナッシュ元国防次官補(Frank C. Nash)は、日本国内の米軍基地「撤退圧力」と米軍基地縮小による「摩擦の緩和」効果に注目。1957年に提出した大統領への報告書(ナッシュ・レポート)で、次のように述べていた。

「日本のナショナリズム、中立主義、核への恐怖の高まりは、米軍基地の日本からの撤退への圧力増大につながっている」(Increasing Japanese nationalism, neutralism and atomic fears are contributing to growing Japanese pressures for disengagement and for having the United States withdraw its extensive base system from Japan.)

「日本人の在日米軍基地縮小の望みをかなえれば、岸首相の地位が強化され、社会主義者の反基地運動を弱め、米国を長期的な基地権の交渉で有利な立場にさせるだろう」(Meeting Japanese desire for reduction of US base system in Japan of our own volition strengthens the positon of Prime Minister Kishi, weakens the Socialists oppositon’s campaign against US bases, and will place the United States in a favorite position to negotiate for long-time base rights in Japan.)

苛立ちの除去:在日米軍基地の縮小計画が米軍駐留が引き起こす問題の緩和につながるだろう。さらに追加措置をとることで米軍基地が引き起こす苛立ちや摩擦を減らすことができるだろう…」(Removing Irritations: Present plans for exetensive withdraws of US forces from Japan will do much to alleviate problems arising from the US presence. However, the following additional steps might be taken to reduce irritations and points of friction resulting from US bases.)(原文は沖縄法政研究」論文参照)

▲在日米軍基地の縮小を提言したナッシュ元国防次官補 出典:トルーマン大統領図書館

在沖米軍基地問題に詳しい沖縄国際大学の野添文彬准教授は、1950年代に海兵隊の移駐先が(本国でも他国でもなく)最終的に沖縄に決まった理由は、台湾海峡危機とも言われているが、十分解明されていないという。

だが、理由が何にせよ、1950年代に本土の在日米軍を縮小した背景には基地反対運動への懸念があり、本土の削減に反比例して沖縄への海兵隊移駐・拡張が進んだことは事実と確認できる。

判定:誤り

米海兵隊の沖縄移駐の真の理由は学問的に未解明とはいえ、石破氏の(削除された)発言は基本的に正しい。「日米両政府が本土の反対運動を懸念し、沖縄に基地を移転させた事実はどこにもない」と断じた百田氏の発言は、こうした事実が全くないかのような誤解を与えるもので「誤り」といえる。

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