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繰り返される権力闘争

このところ中国や台湾のメディアをにぎわせている中共の人物は誰かと言われれば、多くの人が薄熙来重慶市党委書記と答えると思います。その理由はやはり、中共の指導者の中でえげつないまでに権力闘争に「必死」な人物だという印象を人々に与えているからなのでしょう。

その薄熙来書記でしたが、今月初め自身のキャリア初とも言える政治的危機に直面しました。自身の腹心であり、2月2日に副市長に抜擢した王立軍氏が「療養のために休暇することになった」ことが8日、重慶市政府弁公室から発表されました。さらに内外メディアは同氏が6日、在成都米国総領事館に駆け込んで助けを求めたことを報じたのです。

同氏が総領事館に駆け込んだのは組織からの取り調べを受け、逮捕されそうになったためだとも言われていますが真相はなぞのままです。報道によると、同氏はすでに北京に連行され、拘束されているとも言われています。

これが真実ならば、今年秋の中共中央政治局常務委員入りを目指していた薄熙来書記にとっては大きな痛手となります。

ただ、、歴史は繰り返すではないですが、中国ではここ数十年にわたり、党大会開催前後になると権力闘争が発生し、重要人物が追い落とされてきました。

古くは90年代、次世代のリーダーと目されてきた陳希同北京市党委書記(当時)が95年の王宝森北京市副市長の自殺で落ち目となり、1997年開催の第15期中国共産党全国代表大会(15大)を経て、98年7月には収賄罪での収監で指導者争いから脱落しています。これら一連の流れを主導したのが当時国家主席だった江沢民氏を初めとする「上海幫」だというのは、メディアや専門家の共通認識となっています。

そして・・胡錦濤政権になった2000年代には、当時上海市党委書記だった陳良宇氏が2006年に「重大な紀律問題」で市党委書記を免職され、翌2007年には党籍剥奪、そして2008年には収賄罪で懲役18年の判決を受け、収監されました。

同氏は江沢民氏を中心とした「上海幫」を構成する人物です。一時期同氏は中央に進出するのではとも言われていましたが、この事件で完全に脱落してしまいました。

さらに、同じ「上海幫」のメンバーで、一時期次世代のリーダーの一角になるのではとささやかれていた時期もあった黄菊副総理(当時)は、この事件の背後で操っている人物との疑いをかけられ、やはり落ち目となって最後は、第17期中国共産党全国代表大会(17大)直前の2007年6月に病死しています。

今回の王立軍氏の事件は過去のこれら2件の事件と全く同じパターンといえます。歴史が繰り返されるのならば、薄熙来重慶市党委書記の次期常務委員入りは難しいといえるでしょう。ただ、この事件以降も当の本人は精力的に活動しており、全く事件の影響を感じさせない印象を人に与えています。10月の第18期中国共産党全国代表大会(18大)を前に、薄熙来書記がこの「ジンクス」を打ち破れるのか、注目されます。

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