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支持者層が偏る立憲民主党:高齢・男性・東日本が中心

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表5は各党支持者の地域別分布を示している。各政党の地域別支持の特色を見るために、以下の指標を定義した。


この指標の値が正で高くなるほど、当該地域での相対的支持が強くなり、負の値で低くなるほど、相対的支持が弱くなることを示している。さらに表における赤字は上記の乖離度が0.2以上、青字は上記乖離度が―0.2以下であることを示している。また、赤く塗られている部分は最頻値がある地域である。

地域的に見ると、自民党は東日本よりも西日本で支持率が高い傾向がある。一方で、立憲民主党の支持は特に関東地方で強く、九州地方を除く西日本では弱いことが分かる。特に、旧民主党が愛知県で強かったにもかかわらず中部地方での支持が弱いのは、旧民主党を支持していた旧同盟系の労組が国民民主党支持に回ったことが大きく影響していると思われる。しかしながら、国民民主党の支持が中部地方で強いわけではないことにも留意すべきである。

公明党に関しては北海道で比較的強い以外は西高東低の傾向にある。日本共産党に関しては立憲民主党と同様に東高西低傾向があるが、近畿地方での支持は比較的強いと言える。日本維新の会については、大阪府のある近畿地方での支持が他地域よりも強いのは当然であるが、関東地方でもそれなりの支持者がいることは留意すべきである。

無党派層については、四国地方で乖離値が一番高かった。この地域においては、今回のアンケートでは野党支持者がゼロであり、非与党支持者の多くが無党派層に回ったことが伺える。なお、国民民主党に関しては、どの地域でも支持率が惨憺たる値であるが、玉木代表の選挙区がある香川県でも支持者ゼロであったことを言及しておく。


表6は各党支持者の世帯年収別分布を示している。各政党の支持者の年収別の特色を見るために、以下の指標を定義した。


この指標の値が正で高くなるほど、当該所得階層での相対的支持が強くなり、負の値で低くなるほど、相対的支持が弱くなることを示している。さらに表における赤字は上記の乖離度が0.2以上、青字は上記乖離度が―0.2以下であることを示している。

また、赤く塗られている部分は最頻値がある地域である。 各党支持者の収入別分布について分析してみよう。最頻値が単一であり、最頻値から離れるにしたがって度数が減少していくことは分布の単峰性と呼ばれ、年収分布では通常それが成り立っている。実際に本アンケートでもモニター全体では単峰性が成り立っている(注)。

支持者が多い自民党・立憲民主党に関しては単峰性が成立し、400万円台が最頻値、500万円台が中位値となっている。一方で、公明党・日本共産党・日本維新の会に関しては400万円台が中位値と自民・立民より低いことが分かる。

ここで注目すべきは立憲民主党であり、表4から同党支持者の過半数がリタイア世代であるにもかかわらず、表6より同党の支持者の中位年収がモニター全体のそれよりも高いということは、当該年齢層の支持者の多くが就業時に年収が高かったことが伺われる。


表7は各党支持者の職業別分布を示している。各政党の支持者の職種別の特色を見るために、以下の指標を定義した。


この指標の値が正で高くなるほど、支持者全体に対する当該職種での相対的支持が強くなり、負の値で低くなるほど、相対的支持が弱くなることを示している。さらに表における赤字は上記の乖離度が0.2以上、青字は上記乖離度が―0.2以下であることを示している。また、赤く塗られている部分は最頻値がある地域である。

各党支持者の職業別分布の傾向について説明しよう。自民党は党の性質から会社経営者からの支持が高いのは理解できるが、公務員からの支持も高いことが伺われる。この点、立憲民主党は官公労が有力な支持団体であることから、今回のアンケートにおける公務員からの支持の少なさは意外な印象を受ける。

他の調査機関の最近の世論調査も同じ傾向を示しているのかが気になるところである。一方で、「その他」からの支持が強いことは、彼らの多くが年金受給者であろうことと整合的である。また、専業主婦からの支持が低いことは注目すべきである。

公明・共産両党に関しては、パート・アルバイトからの支持が比較的強い。非正規労働者はどうしても年収が低くなる傾向があるため、この結果は両党支持者の年収別分布の結果と整合的である。日本維新の会に関しては、「その他」からの支持の割合が高く、本アンケート調査において支持者の年齢層が高かったことと整合的である。


最後に各党支持者の性別分布に関して説明したい。各政党の支持者の特色を見るために以下の指標を定義した。これはある質問に「男性」と答えた人と「女性」と答えた人の割合を比べた場合に、各政党の支持者の値がモニター全体の値とどれくらい乖離があるかを見るものである。


表8において、この「モニター全体からの乖離度」の絶対値が0.1以上だった場合、男性と女性で大きい方の値を朱記した。性別に関しては自民・立民両党が男性の割合が高いのに対して、公明党は女性の割合が高い。また、無党派層の女性比率が高いことも注目すべきである。

まとめ

今回の調査結果からは、野党各党に関して、第一党である立憲民主党の支持率が自民党のそれと比べて三分の一であることに代表されるように、依然として支持が低いことが分かる。なお、本調査は今から一か月前に行われたものなので、自民党総裁選があった9月下旬より立憲民主党の支持率が若干高い傾向にある。これに関しては、臨時国会が始まれば同党の支持率は多少持ち直すかもしれない。

基本的に野党の支持率は与党の失敗がない限り高くなるものではないし、かつての民主党は選挙の前後だけ支持率が急増していたことを考えれば、同党の支持率が低下している現状を憂慮する必要はないという意見もあるだろう。しかしながら、第二党である共産党も含めて支持者の年齢別・地域別傾向に大きな偏りが見られることは政権交代を目指す上で大きな壁となる。

特に立憲民主党に関しては、「首都圏に住み、朝日新聞を購読しているリタイア世代の比較的富裕な男性」という典型的な支持者像が目に浮かぶ。彼らの年齢を考慮すると、支持者層の拡大を行わなければ現在の支持率さえ維持することが困難になるかもしれない。

だからと言って、旧民主・民進両党時代に党幹部が保守票を得ようとして彼らに媚を売るような言動をとった挙句、保守的メディアから散々攻撃されたケースが多々あったが、そのような意味が無いことはすべきではない。必要なのは保守層からの支持ではなく無党派層からの支持であり、行うべきは自らの政策を通じて無党派層を惹きつけることである。

「首都圏に住み、朝日新聞を購読しているリタイア世代の比較的富裕な男性」が立憲民主党に惹きつけられているのは、彼らが党のリベラルな価値観に共感しているからである。ならば、「右でも左でもなく前へ」などと、誰もこの党に対してそんな印象を持っていないにもかかわらず、そんな言い訳がましいスローガンを唱える前に、「約60%が無党派である女性」や「若年層の無党派層」にリベラルな価値観の重要性を説く方が党の支持率向上に寄与するであろう。

また、地域的に見て西日本での支持率が低いのは様々な要因があろうが、西日本経済の中心である大阪(府)での支持が弱いことも一因であろう。橋下流の大阪都構想はあまりに乱暴であったが、それでも「維新」府政の下でいわゆる「二重行政」の弊害について改善が見られたことが、彼らの府内での支持につながっていると言えよう。取り入れるべきところは取りいれ、維新ではなく立憲民主党などの現野党による府政でも大阪は発展できると思わせるような斬新なプランを示すことが必要なのではないか。

*収入1200万円以上が、1100万円台より多いのは、1200万円以上が全て一つの階層にまとめられているからである。

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