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豊洲移転問題で都が築地側の営業権侵害を事実上認める(永尾俊彦)

東京都庁で会見する熊本一規氏(前列左)と築地市場仲卸業者ら。(撮影/永尾俊彦)

東京都(小池百合子知事)が進める築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、協同組合員の権利に詳しい熊本一規・明治学院大学名誉教授は9月5日、移転に反対する仲卸業者らと都庁で記者会見し、都との営業権をめぐる論争を紹介、都は「豊洲移転に伴う経済的損失はすべて受忍限度内である」と主張していることを明らかにした。これを同教授は、「殴った側が殴られた側に『受忍限度内だから我慢しろ』と言うような暴論です」と批判した。

後日、同教授は「受忍限度論を出してきたこと自体、都は移転が仲卸業者の営業権を侵害すると認めているということ。しかし、憲法29条は『財産権は、これを侵してはならない』と規定しており、財産権である営業権の侵害はゼロでなければならず、侵害の分は補償すべきです」と述べた。補償の基準は国が「公共事業の施行に伴う公共補償基準要綱」として定めているが、同教授は「それを都の担当者は知りませんでした。移転が無法状態で進められている理由がわかりました」と話す。

そもそも都中央卸売市場業務課は、仲卸業者が市場内で業務を行なっているのは知事の許可によるとし、営業権を否定していた(本誌6月8日号「アンテナ」で既報)が、「受忍限度論」で事実上営業権を認めたことになる。筆者が同課に確認すると、「熊本先生の記者会見の資料を読みましたが、都からどう説明するのがいいのか整理したい」と回答を避けた。

また、筆者は豊洲開設を認可した農林水産省の卸売市場室にも聞いたが、「営業権はあります。ただ、それはいろいろな市井の業者が営業しているのと同じで、特別な権利ではありません」と答えた。

しかし、同教授は、「営業権が知事の許可や『のれん』(ブランド力)による特別な権利であり、市井の営業一般に伴う権利でないことは通説です」と反論している。

(永尾俊彦・ルポライター、2018年9月14日号)

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