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氾濫する子育て情報、混乱する親が押さえるべき一番のポイント - 小川大介

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問題解決に必要なのは明確な目標
そこがブレると情報に振り回されることに

【今すぐ叶えたい目標は何か?】

 そして最も大切なことは、その「困った」を解決して、「どうしたいか?」というゴールです。目標と言ってもいいでしょう。

 中学受験でいえば、(とりあえずの)最終目標は志望校に合格することです。(受験は一つの選択で人生の目標ではありませんから、とりあえず、ですね)

 しかし、今、受験勉強をしている子ども達にとっては、それはまだ実感を伴いきれない目標です。

 例えば、最難関校として知られている開成中学に合格したいという目標があったとします。6年生の今の段階で合否不合判定模試の結果が常に合格可能性80%以上という子ならいいでしょうが、比率でいえばそういう子は多数派ではありません。入試を4カ月後に控えている6年生であっても、多くの子にとっては目標としてはまだ実感を持ちきれていないものです。

 まして4、5年生にとっては、さらに遠い目標でしょう。

 最終目標を見定めるということも大切ですが、今の「困った」を乗り越えていくには、まずは来週のテストの成績を上げたいといった小さな目標でいいのです。6年生なら次の合不合判定模試、4、5年生なら次の週例テストやマンスリーテストで成績を上げるというように、今すぐ叶えたい目標を挙げ、それに向かって何をすればよいかを考えていきます。

 さて、今回のテーマである「どの情報を取り入れるか」に話を戻します。

 もし、今困っていることの解決目標が、「お子さんの成績を上げたい」という一つにしぼることができるのであれば、「そのために、どの情報が役立ちそうか?」という見方で判断をします。

親にとって今一番ほしい情報は何か?
子どもにとって今一番ほしい情報は何か?

 を考えながら、必要な情報を集めていきます。そして、「今すぐ叶えたい目標に近づけそうなのはどの情報か?」という見方で、取捨選択をしていきます。まずは今すぐ叶えたい目標に、近づくイメージが沸くものに絞り込むのです。大事そうに思える情報でも、「今すぐ」でないものは優先順位を下げていったん切り捨てます。

 この情報収集と絞り込みを行うときに、「誰の『困った』を解決するのだっけ?」と意識することがポイントです。お子さんの「困った」なら、お子さんの視点に立って選択することができますね。そうすれば、多くの情報に振り回されることはありません。

 「困っていることが一つだけではなくて、あれもこれも気になってしまうのだけれど・・・」という時もあるでしょう。そういう時は、「わたしがいま一番困っていることはなんだろう?」「あの子がいま一番困っていることはなんだろう?」と、「いま一番」をつけて考えるようにしてみてください。

 問題解決には「しぼる」ことが役立ちます。

 そして、「誰が困っているのか」を一つひとつ分けて点検していくようにしましょう。

子育てもビジネスも大切なのは「相手を思いやる気持ち」

 このように、「困った」を解決していくには時間と手間がかかるんですね。自分自身の「困った」ならまだ話は簡単なのですが、自分以外の人の「困った」を解決するのは一苦労です。本人が動き出せるように、自分に何ができるだろう? と考えることが求められるからです。

 特に子どもは動けるようになるまでに時間がかかります。

 でも、結局は本人が動かなければ何も変わりません。

 ですから、気になることがあったら早めに情報を集めることがオススメです。本人が動き出せるまでの時間を稼いでおきたいですからね。

 本当に困りきってから手を打とうとすると、「もうギリギリ!」になって、焦ったり、苛ついたりしてしまいます。そういう状態になってしまうと、「誰が」「何に困っているか」を整理する余裕を失って、今どの情報が自分にとって必要なのか冷静に判断ができなくなります。

 子育てにはいろいろな悩みがつきものです。「成績を上げたい」という悩みは、ある意味単純で解決策が見つかりやすいものですが、心の悩みなどの場合は、すぐに解決できないことも多いでしょう。

 しかし、どんな悩みであれ、まずは自分のお子さんを知ることが大事です。それが最優先です。

 「自分のことならなんとかできるのに、子育ては難しいですね」という声をよくいただきます。

 感情が動きますから、簡単ではないですね。

 でも、子どものことを考えて情報を集め、適切な方法を見極め、行動に移すという思考プロセスそのものは、何も難しいものではありません。

 日頃からみなさんが、当たり前にように仕事で実行できていることなのです。

 例えば営業の方なら、自社の製品を売る時に何を真っ先に考えるでしょう? 自社の都合や自分の思いだけをアピールしてもダメですよね。他社の商品をけなすのもスマートではありませんね。やはりまずは、クライアントの困っていることを聞き出し(探り)、それを改善する(解決する)手段として自社の商品を説明し、勧めるのではないでしょうか。

 また、営業事務の担当なら、目と耳のアンテナを働かせて上司や同僚のそれぞれの事情をつかんで、彼らが仕事をしやすいように気配りし、段取りをつけていきますよね。

 ビジネスの現場にいる人はみな、問題を解決し価値を提供していくために、「誰の困ったなのか」を考えて行動する技術を日々高めているわけです。その技術は子育てにもそのまま活用していける、貴重な力です。

 日々技術を高めているのは、ビジネスパーソンだけではありません。家事の一つひとつを通して、私たちは情報収集の技術を高めています。たとえば買い物をする時。手持ちの予算に合わせて、すでに持っているものが何だったかを思い出して、手に入れたい優先順位を考えて、商品を選んでいます。現状を把握し、無理はしない。

 思考プロセスは身につけられています。

 ですから、「子育てにおいてもその力を活用してみよう」と思うだけで大丈夫です。

 SNSの「盛った」情報や「子育て自慢」ブログが目に入ると、気持ちがざわざわして焦ってしまうことは誰にもあります。子育ては他の何よりも感情が先立つものですから、他人は他人、わが子はわが子と冷静でい続けることは難しくて当然です。

 ですから、問題解決の思考プロセスを活用するのですね。

 決まったステップを踏んでいくことで、感情に振り回されない大人の自分を発揮することができます。

 いまの「困った」は誰が困っていて、何を解決したいのか、まずはそこを明確にしてみましょう。

 溢れる情報に振り回されない自分が手に入ります。

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