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焦点:縮む世界の株式市場、「品薄感」が支える強気相場


[ロンドン/ニューヨーク 26日 ロイター] - 貿易摩擦やホワイトハウスの予測不能さ、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱に金利上昇──。今年に入って世界の株式市場はこれらの悪材料に見舞われてきたが、基本的な堅調地合いは崩れなかった。

米国株の主要指数は最高値圏で推移し、世界株の指標は足元で年初来高値を4%しか下回っていない。

そして結局のところ、こうした相場展開は単純に品不足という需給面の要因に支えられているのではないだろうか。

実際、株式市場は世界的にゆっくりと縮小している。JPモルガンの分析では、流通市場から消えていく分を穴埋めできるほど新株は発行されておらず、2016年には史上初めて株式が需要超過となった。昨年はかろうじて供給超に戻ったものの、今年は需要超になる可能性があるという。

この先投資家の需要を一定と想定した場合でさえ、供給状況からみて上場株の品薄感は強まることになる。新規株式公開(IPO)や追加売り出しが減る一方、企業の自社株買いや現金調達の合併・買収(M&A)、上場廃止などによって世界中の株式が吸い上げられているのだ。

トムソン・ロイターのデータに基づくと、今年1─8月の企業上場で増えた株式はおよそ1260億ドル前後。これに追加売り出しや従業員への株式割り当てなどを含めたとしても、今年1兆ドルを超えるかもしれないという自社株買いの規模には遠く及ばない。

こうした傾向がすぐに逆転すると予想する向きは乏しい。一部の市場関係者は、企業経営者の間に株式市場に付随する予測できない変化や常に投資家の目が光っている状況に対する幻滅があり、同時に債務を利用した資金調達(デット・ファイナンシング)の方がコストが安いという事情を引き合いに出している。

シティのストラテジスト、ロバート・バックランド氏は「株式市場に上場を続けるのは痛みを伴う。手続きの煩雑さや短期主義、過剰な監視が全て厄介だ。ただ本当に基本的な問題は、企業は最も安価なマネーがある場所に向かうという性質にある」と話した。同氏は、2003年以来「脱株式化」の流れが続いていると唱えている。

事実上のゼロ金利時代には企業が株式発行よりも債券市場を資金調達先に選んだことで、脱株式化は加速。また元来投資よりも自社株買いを優先する強い動機を持っていた企業は、昨年の減税でさらにその傾向に拍車がかかった。

バックランド氏は、米国の株式は年間約1.5%のペースで減少していると試算するとともに、株式を通じた資金調達が期待できるはずの新興国でも株式の増加は止まろうとしていると付け加えた。

米連邦準備理事会(FRB)を筆頭に主要中央銀行が超金融緩和局面に一区切りをつけつつあるのは確かだ。ところがJPモルガンのアナリスト、ニコラウス・パニギルツォグロウ氏は、脱株式化を本格的に食い止めるには、米10年債利回りが4.5%まで上がり、企業の借り入れコストが6%と今より200ベーシスポイント(bp)高まる必要があるとみている。

現実を見ればFRBが利上げを継続しているとはいえ、10年債利回りは3%近辺にとどまったままだ、と同氏は指摘する。

JPモルガンによると、株式の減少が最も目立つのは米国で、今年の純減規模は2000億ドル相当だった昨年の2倍に達する可能性があある。

インドスエズのシニア株式アナリスト、ローラン・ゴダン氏はシカゴ大学のデータを引用し、1995─2000年は年間平均680件だった米国の株式上場は2009─17年には180件に減り、ニューヨーク市場の上場企業数は1997年が7500社だったが、昨年は3600社前後になったと述べた。

フランクフルトとロンドンでも上場企業数は03─18年にそれぞれ45%と20%の減少を記録したという。

<企業像の変化>

借り入れコストが上昇しているからといって、大型上場の人気が復活するとは限らないかもしれない。

その理由の1つはプライベートエクイティ(PE)の存在だ。過去10年半では、デルやヒルトン・ホテルなどPEによる買収に続いて上場廃止になったケースがしばしばあった。

低コストの資金が手に入る時期が長らく続いたことで、PEが株式公開を避けたがっている企業に振り向けられる資金はなお1兆ドル程度はあるとみられる。

ゴダン氏は「PEからコストの安い資金を調達できる限り、企業は非公開化を望む。予見可能な将来において、それは変わらないだろう」と話した。

企業や社会の性質の変化もまた脱株式化の強い原動力となっている。現代の多国籍企業はかつての巨大製造業ほど資本集約的ではなく、例えばフェイスブックは、重機やセメントのメーカーに比べて新規事業立ち上げや事業拡大にお金を必要としない。

民泊仲介のエアビーアンドビー、配車サービスのウーバーなどは、ホテルや工場を建設することなく、自動車や住宅といった既存の資本ストックを活用する技術に依拠している。

(Sujata Rao、Helen Reid、Chuck Mikolajczak記者)

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