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性暴力うけた子どもの気持ちが痛かった。ドラマ「透明なゆりかご」が投げかけたもの

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 見終わって静かな感動が広がってしばらく動くことができなかった。

 9月21日に最終回(第10回)が放送されたNHKのドラマ「透明なゆりかご」。

 ある地方の産婦人科の診療所を舞台にして、バイトの看護助手の目を通して映し出されるお産をめぐる様々な問題がテーマだった。児童虐待や性体験の低年齢化、発達障害や親子の確執、出産や死産、人工妊娠中絶、出産後の産婦の逃亡など、実際に社会に存在するリアルな出来事が一話一話につむがれている。

 主人公の女子高生でバイトの看護助手であるアオイ役は、清原果耶さん(16)が演じている。1つひとつの深刻な現実に向き合った時のアオイの表情がドラマの見どころのひとつだ。真剣なまなざし。それぞれの「いのち」とどう向き合えばいいのかを考えつつ、生きることを肯定していこうする明るいまなざしだ。

 原作は沖田×華(おきた・ばっか)さん。ほのぼのとした画を描くマンガ家だ。沖田さん自身の経験をマンガにしたものでほのぼのとした画が突然、シリアスな話が飛び込んでくる。そのギャップに読者は吸い寄せられてしまう。

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 この原作マンガに比べると、NHKで放送したドラマのほうは映像にもこだわっていてリアリティーを重視しているように見える。

 ドラマは一話ごとに完結型で回ごとに主人公になる妊婦役が替わる。おそらく視聴者それぞれに自分の心に残った回があることだろうと思う。

 筆者にとってそれは第9回の「透明な子」だった。

それは一本の電話から始まった。「小学生の娘が性被害に遭ったようだ」との訴えを聞き、榊(原田美枝子)はじめ産婦人科の面々は受け入れ態勢を整える。由比(瀬戸康史)は男性である自分が応対しない方が良いと考え、旧知の婦人科医・長谷川(原田夏希)を呼び寄せる。やがて母親(占部房子)に付き添われ現れた女の子を見て、アオイ(清原果耶)は言葉を失う。それはアオイが図書館で知り合った友達、亜美(根本真陽)だった…。

出典:「透明なゆりかご」ホームページ 第9回あらすじ

 アオイが地域の図書館でよく顔を合わせていた小学生の女の子、亜美ちゃんが、性暴力の被害者として医院にやってきた。

 ショックのあまり声も出せず、自分で飲み物を飲むことさえできない亜美ちゃん。

 看護師からは「(亜美ちゃんは)知り合いには会いたくないんじゃないかな」と言われてアオイは顔を合わせることを避けつつ「力になれることはないのか」を必死に考える。

 何も言わない亜美ちゃんだが、女性医師の診断で、今回が初めてではなく、以前から継続的に性暴力の被害に遭っていたことがわかる。

 「日常的に行われていたということは相手はおそらく顔見知り」(瀬戸康史さんが演じる由比医師)

 亜美ちゃんは言おうとしない。医院に来てから一度も声を出していなかった。

 アオイが「あのね。教えて。亜美ちゃんは今、どうしたい?」と言った時、亜美ちゃんは小さな声を上げる。

 絞り出すように。

 「赤ちゃん…」

 アオイは医院で生まれたばかりの赤ん坊を亜美ちゃんに見せる。

 生まれたばかりの赤ちゃんを見つめる亜美ちゃん。

 アオイの表情もそうだが、このドラマでは「見る」という表情をとても大事にシーンにしている。この時は亜美ちゃんの表情をカメラは長く撮っていた。

 「かわいい…」とつぶやいて亜美ちゃんは医院に来て初めてコップの水を飲む。

 「何を感じているか教えて」と静かに語るアオイ。

 風の音が響く、長い間。

 「いやだった…。みんなは亜美みたいなこと。されてないの?」

 すがるような目で問いかける亜美ちゃん。

 アオイが答える。

 「されてないよ。いい大人はそんなことしない」

 決意したような亜美ちゃんが語る。

 「最初は、みんなすることだって言われてたの。だから嫌がる亜美が悪いんだと思っていた…」

 「アオちゃん、あのね、お父さんなの…。今のお父さんなの…」

 この場面では亜美とアオイのまなざしの映像が長く繰り返される。

 「亜美は嫌だったの」

 「一人でがんばって偉かったね」

 このまなざしの演技は、このドラマの忘れられない場面だ。 

 母親が再婚した義理の父親が10歳の恵美ちゃんの加害者だった。そのことをずっと言えなかった苦悩が描かれていた

 自分の親族が加害者というケース。

 「新しいお父さんができて、お母さん、笑ってくれるようになったから…。

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