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「憲法改正」が難しくなった理由(わけ)

■「衣食住足りて憲法を知る」

 「安倍 vs 石破」の自民党総裁選が終わった。同じ自民党内にあって未だにモリカケ問題に言及されている石破氏の姿を観ていると残念な気持ちになったが、結果は誰もが予想していた通りだった。
 これでようやく「憲法改正」に着手していく道順が見えてきたと言える。しかし、その道は舗装されていない障害物だらけの険しい山道であることも否定できない事実だ。

 現代では、憲法を変えることに拒絶反応を示す人々が少なからず存在しているが、昔は今ほどでもなかったと言う人もいる。
 終戦後、生きて(食べて)いくのが精一杯だった頃の日本では、「憲法を変える」と言っても、それほど反対する人はいなかった。「衣食住足りて礼節を知る」という言葉があるが、昔は「衣食住不足で憲法を知らない」という人が大勢いたので、憲法の内容などに興味を抱こうにも抱けなかったという時代だった。そんな時代の庶民にとっては、憲法が有ろうと無かろうと、変わろうが変わるまいが、どうでもよかったのである。

 その後、高度成長期を経て時代は変わり、「衣食住足りて憲法を知る」人々が出てきたが、その後、「衣食住が過ぎて憲法を知らない」という人々も大勢出てきた。

衣食住不足で憲法を知らない
      ↓
衣食住足りて憲法を知る
衣食住が過ぎて憲法を知らない

■最大のネックは「国民の無関心」

 貧しかった昔は、憲法よりも「食べ物」に関心が行き、裕福な現代では、憲法よりも「遊興」に関心が行くという具合だろうか。そんなことだから、憲法問題はいつも国民の最大関心事にはならない。

 衣食住に困らず、尚かつ、知的好奇心(問題意識)を持った人でないと憲法に興味を抱けない。ここに最大にネックがあるとも言える。
 「国民の無関心」というものが、憲法改正における最大のネックになっており、そのネックを利用して、なんとか憲法問題から国民の意識を遠避けようとする勢力も存在している。

 昔なら、その気があれば容易に変えることができたものが、現代では余計な知識が付いたせいで変えることができなくなった。これはつまり、いつの間にか、憲法というものに「既得権益」というものが染み込んでしまったということでもある。

■2つの「アメリカ」

 現在の日本国憲法は、GHQ製であることは広く知られている。しかし、GHQ製であるということの意味はあまり知られていない。

 「GHQ」と聞けば「アメリカ」と思う人が大半だと思うが、「アメリカ」というものは1枚岩ではなく、2つの「アメリカ」がある。
 1950年以前の「アメリカ」と1950年以後の「アメリカ」は全く違う。日本国憲法が制定されたのは1947年なので、1950年以前の「アメリカ」が憲法を作ったということになる。

 では、1950年以前と以後では何が違うのか? その大きな違いを一言で言えば、「容共」と「反共」の違いである。
 戦時中のアメリカは、「容共」であり、ソ連とも親和性があり、アメリカ民主党内部には、ソ連のスパイが大勢存在していた。
 マッカーシズム(赤狩り)を行ったマッカーシー共和党上院議員は、当時、嘘を言っていると批判の的にされたが、ソ連が崩壊した後、公に開示されたソ連の秘密文書によって、マッカーシーの言っていたことはほとんど正しかったということが判明した。

 戦時中の民主党内には、米国の社会主義者とソ連の共産主義者が大勢おり、当然のことながら、GHQの中にも存在していた。その彼らが中心となり作ったものが、現在の日本国憲法だった。
 左翼の人達が(知ってか知らずか)日本国憲法を神聖視する理由の1つは、実はそこにあるのだと思う。

 ついでに言うと、「反米」というものにも2つの反米がある。上述した通り、1950年以前の「反米」と1950年以後の「反米」がある。そのどちらを意味しているかで、「反米」を語る論者の立ち位置が分かるが、その区別がつかずに「反米」を語っている人は、何も解っていないということになる。

■「憲法改正」が意味するもの

 自民党の党是である「憲法改正」とは、当初、GHQ製の「社会主義憲法」からの脱却を意味するものだったが、現在では、随分と譲歩されている。

 憲法の内容を時代に則してほんの少し変えるというだけで、嵐のような猛バッシングに晒される。他国では当たり前の憲法改正が、日本では何故にこれほどまでの無理難題になってしまったのか? その理由(歴史的経緯)を知ろうという人々が増えていかない限り、憲法改正はスムーズにはいかない。

 日本にとっての「憲法改正」とは、諸外国のように単に憲法を変えるという意味ではなく、「日本社会を変える」ことを意味している。現在のモラトリアムな半国家状態を良しとする人々には、自らのユートピアを破壊されるという抵抗感情があるのかもしれない。しかし、その感情を優先することは日本の間違った常識であって、世界の非常識であるということを知らねばならない。

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