記事

「欧州のトランプ」は誕生するか スティーブ・バノン氏が来年の欧州議会選を控え、オルタナ右翼を支援

2/2

欧州で極右勢力とリベラルの戦いが再び幕を開けようとしている

「ハンガリー第一」を唱えるオルバン首相は、ハンガリー出身の米投資家でブダペストに中央ヨーロッパ大学を創設したジョージ・ソロス氏にも攻撃の矛先を向け、移民を支援する非政府組織(NGO)を禁止する「ソロス阻止」法案を提出した。バノン氏が設立した「ムーブメント財団」もソロスの慈善団体「オープン・ソサエティ財団」に対抗意識を燃やす。

「ムーブメント財団」にはベルギーのミシャエル・モドリカメン人民党党首、イタリアの同盟書記長マッテオ・サルビーニ副首相兼内相が参加。世論調査や討論会、データから選挙戦略を立てるデータ・ターゲティングを行い、右派のEU懐疑派勢力を支援する考えだ。

バノン氏は、オルバン首相やポーランドなど旧共産圏の右派ポピュリストやUKIPのファラージ元党首、国民連合(旧国民戦線)のマリーヌ・ルペン党首とも会談している。オランダの極右、ヘルト・ウィルダース自由党党首も「ムーブメント財団」の動きに重大な関心を寄せる。EUからの強硬離脱を目論むボリス・ジョンソン前英外相もバノン氏と連絡を取っている。

EUからの強硬離脱を目論むボリス・ジョンソン前英外相(昨年10月、筆者撮影)

バノン氏とEU懐疑派勢力の思惑はそれぞれ異なっている。バノン氏は「米国第一」を実現するために、おそらくEU単一市場のサプライチェーンと南欧諸国のおかげで常に安く維持される単一通貨ユーロによって国際競争力を保つドイツを第一の攻撃目標にしている。ジョンソンの目的がEU離脱を賭けて英首相の座を奪い取ることなら、ルペン氏の狙いはEUを解体し、フランスの主権を完全にブリュッセルから取り戻すことだ。

オルバン首相は欧州議会で懐疑派勢力を拡大し、メルケル首相とマクロン大統領に揺さぶりをかけようとしているものの、EU解体までは考えていない。イタリアのサルビーニ同盟書記長は裕福な北部を同国から独立させることに執念を燃やす。こうした違いから「ドイツのための選択肢」は「欧州の反エスタブリッシュメント(支配層)政党の利益は大きく異なる」とバノン氏への合流には慎重姿勢を見せる。

バノン氏は先日、英誌エコノミストが主催したイベント「オープン・フューチャー・フェスティバル」で講演し、移民に対して厳しいスタンスをとるオルバン首相とサルビーニを「こうした人々は彼らの国を良くしようとしている。こうした個人、欧州に広がる国民的なポピュリスト運動は彼らの国の主権を取り戻そうとするものだ」と堂々と擁護した。オルト・ライトとリベラルの戦いが欧州で再び幕を開けようとしている。

あわせて読みたい

「スティーブ・バノン」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    いる? 宮崎謙介氏の報道に疑問も

    BLOGOS しらべる部

  2. 2

    朝日新聞170億円赤字 社長退任へ

    BLOGOS編集部

  3. 3

    共産党の式欠席に「ありえない」

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  4. 4

    竹中氏もMMT認めざるを得ないか

    自由人

  5. 5

    やきそば名物店 コロナで閉店へ

    田野幸伸

  6. 6

    渋野騒動 日テレのスポーツ軽視

    WEDGE Infinity

  7. 7

    追えないだけ?電車内の集団感染

    諌山裕

  8. 8

    よしのり氏が秋篠宮さまを擁護

    小林よしのり

  9. 9

    勝ち組のJAL 明暗分けた財政戦略

    PRESIDENT Online

  10. 10

    コロナ自殺を増さぬよう経済回せ

    永江一石

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。