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またもや米新聞の偏向報道?

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日米首脳会談(4月19日)出典: photo by Share America

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視 」

【まとめ】

・ワシントン・ポスト紙が「トランプ・安倍首相衝突」説を報道。

・根拠はトランプ氏の「私は真珠湾を覚えている」発言や日朝接触の情報。

・専門家は同記事を「トランプ外交を悪く描く意図の信憑性に欠けるフェイクニュース」と断定。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイト  https://japan-indepth.jp/?p=42059  でお読みください。】

 アメリカの首都ワシントンではなおトランプ大統領主要ニュースメディアの激突が続く。ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、CNNテレビという3メディアがまず反トランプの急先鋒である。これらメディアはトランプ氏に対してとにかくこの人物はアメリカ合衆国大統領としては不適格なのだという断定から、連日のネガティブ・キャンペーンを展開する。その主張は民主党と一致している。

一方、トランプ大統領の側もこれらメディアを「アメリカ国民の敵」と断じ、その報道をフェイクニュース」と一蹴する。共和党勢力はトランプ大統領の側につき、程度の差こそあれ、民主党傾斜のメディアには批判的である。この激しい対立は緩和の兆しがない。

△トランプ大統領のツイッター
日本語訳:フェイクニュースメディア(落ち目のNew York Times、NBC News、ABC、CBS、CNN)は私の敵ではない。アメリカ国民の敵だ!


そんななかでワシントン・ポスト紙が8月末に「トランプ・安倍両首脳衝突」説報道した。緊密な日米両首脳が不仲になったという趣旨の記事だった。トランプ大統領にとって外交上の誇るべき実績と呼べる一つは日本の安倍晋三首相との連帯の強さだろう。同大統領は同じ同盟諸国のトップでもドイツのメルケル首相やカナダのトルドー首相らとは摩擦を起こしてきた。

トランプ大統領にとってその一番の盟友の安倍首相との関係も悪くなったとなれば、好ましい現象であるはずがない。ワシントン・ポストのこの記事はまさにトランプ氏のその急所を突くかのように、「トランプ・安倍不仲」説を報じたのだ。トランプ大統領にとっては限られた貴重な外交資産を奪われるような報道だろう。

安倍首相にとってもこれまでみごとに築いてきたとされるトランプ大統領との緊密な信頼関係がもうダメになったとなれば、うれしいはずがない。だからこの記事は日米両首脳にとって鋭い矢のような襲来だった。

しかし肝心の安倍首相はこの記事の核心部分を否定した。公式の発言として、そんな事実はないと述べた。総理大臣の言葉なのだから日本政府としての公式な否定と呼んでもよいだろう。

 だがその報道自体はなお屈折した波紋を広げる。アメリカ発の日本がらみのこの種の報道はこれからもあるだろう。だから私は自分なりにこの記事の解析を試みた。その解析の結果、浮かんだのはまず反トランプ、反安倍ありき、という政治的な偏向だった。

ワシントン・ポストで国務省などを担当するジョン・ハドソン記者が中心になって書いたというこの記事は8月28日の同紙ネット版で流された。9月3日には少し短縮され、同紙の一般紙上に掲載された。

長文の同記事の第一の特異点は冒頭のトランプ大統領が口にしたという私は真珠湾を覚えているという言葉である。記事によると、同大統領は6月の首脳会談で安倍首相にこの言葉をぶつけたという。だからトランプ・安倍関係はもう悪くなった、という示唆である。

写真)日米首脳会談(6月7日)
出典)photo by Dan Scavino Jr.

「真珠湾を覚えていろ」というのは、本来はいうまでもなく、日米戦争の冒頭での日本軍によるハワイのパールハーバー奇襲を忘れるな、という反日の敵意に満ちた戦意高揚の戦争標語だった。アメリカ一般のこの文脈での真珠湾への言及は文章としては命令形で真珠湾(への日本軍攻撃)を覚えていろ(忘れるな)が普通である。

トランプ大統領がそんな意味での「真珠湾」を口にしたとすれば、その背後にある日本側への敵意、つまり安倍首相への敵意も明白となる。この記事の最大のポイントはまさにそこにあるわけだ。トランプ大統領は安倍首相に敵意を抱くようになった、という暗示である。

だがこの記事をよく読むと、トランプ大統領は単に「自分が真珠湾を覚えていると述べただけだとわかる。命令形の敵意の表現とは意味が異なってくるのだ。

事実、同記事も同首脳会談にかかわった「外交官」が「大統領の真珠湾への言及の意味は説明できない」と述べたと記していた。大統領がどんな意図で真珠湾という言葉を口にしたかはわからない、というのだ。ところが記事全体では大統領が日米戦争での反日標語まで使うほどの敵意を安倍首相に示したという印象だけが残るのである。この点に記事を書いた側の読者に対する誘導、あるいは引っかけとも呼べる操作が感じられる。

そしてなによりも一方の当事者である安倍首相自身が記事の伝える6月の会談でトランプ大統領が「真珠湾」の発言などしていないと言明したのだ。安倍首相はさらにトランプ大統領との「対立」とか「衝突」ということもないと明言している。要するにこの報道の主要部分を否定したのだ。

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