熱量があると大人たちが動いてくれる瞬間が生まれる
対談の終盤では、淳さんの計らいで急遽、学生からの質問コーナーが設けられ、学生が「田村さんとともにやりたいこと」を書いた手紙を手渡す一幕もあった。

学生:実績を持っていない学生は、大人にやりたいことを話しても相手にされないことが多いと思うのですが、どうすればよいでしょうか。

淳:「はまらない」ときっていうのは熱量が足りてないときだと感じていて。何のスキルももっていないけれど熱量だけで生きている人を何人も見ているから、思いが届かないってときは相手が悪いんじゃなくて自分の熱量が足りないんだなと僕は感じるようにしているかな。

いま、他の学生さんからこの手紙をもらったけれども、僕は相当の熱量を感じたから絶対読むし、絶対返事をしようと思う。これって熱量でしかないじゃない。だから思いが届かなかったときは自分の熱量の問題だと思う。
学生:学生なのでお金などの資本がありません。やりたいことに大人を巻き込むにはどうすればいいでしょうか。

淳:お金に代わるアイデアを持つか、熱量が必要なんじゃないかな。「どれぐらいやりたい思いがあって、それが実現できそうなアイデアを持っているか」ということでしかないと思う。若くして起業している社長を何人か知っているけれど、やはり練りに練ったアイデアが圧倒的に優れているから、そこにお金を出してくれる大人がやってきている。そして、そのアイデアが未熟なアイデアだったとしても、プラス熱量があると、「この人だったらやってくれるだろうな」と、大人たちが動いてくれる瞬間が生まれるんだと思う。だから、動くしかないんだよね。一回の失敗くらいじゃ失敗が足りないと思って、100人に提案してみて断られたときにもう一回、今の質問を聞きたいな。
学生:失敗が怖いのですが、どう乗り越えればいいでしょうか。

淳:何で失敗したのかというのを他の人に言えるくらいの失敗であれば、僕はそこにすでに価値が生まれていると思う。だからどんどん失敗したほうがいい。ただ、失敗したことをノートにまとめておかないと、経験になっていかないから、自分なりの失敗論、データを持つことが大切。それを持っておくと他の人よりリードできる。
僕は今、失敗したいことだらけ。チャレンジしてみて僕の失敗の話を聞いてくれる人がいるんだとしたら、こんなにうれしいことはないから、失敗したことは他の人や友達に話すようにしている。そのとき、友達が聞いたときにちゃんと価値観を見出せるようなプレゼンができているかどうか。ただの失敗で終わりたくないっていう、強い気持ちは大切かなと思う。
佐藤:最後に一言メッセージをお願いします。
淳:今日ここで連絡先を色んな人と交換して、人の輪を広げていって欲しいと思います。出会いをひとつひとつ大切に。皆さんの時代は皆さんしか作ることができません。どうか、大人をうまく使いながら、自分たちの時代を切り拓いていってください。

今考えていることを全て取り払い、まず一歩踏み出してみてほしい
対談後、佐藤氏が活動に込める思いを語った。

佐藤:この活動は2015年にスタートしましたが、最初の3年間は僕が個人で行っていた活動でした。仲間にボランティアで活動を手伝ってもらいながら続けていたところ、海外を含めた色々なところから徐々にオファーが届くようになりました。そして、去年、社長にかけあってみたところ、会社のCSR(社会貢献)活動のひとつになったという経緯があります。
いま、学生さんの中では「働くことを楽しいもの」と思う人は約15%しかいません。働くというのはつまらないものと初めから諦めてしまっていて、それはとても残念なことです。
ただ、淳さんや今日のイベントに参加した社会人たちは働かされているという感覚はなく、むしろ楽しんでいます。
僕は、その秘訣は、“オリジナルを貫く”ことにあると思っています。一歩踏み出したり、失敗したりするとその人ならではのオリジナルが出てきます。だから、学生さんたちには、いま考えていることを全部取っ払って、まず一歩踏み出してほしい。
日本の若者が学生のときに「働くってわくわくするよね」と思えるような社会にすることができたら、この国は本当に変わると思うし、それを実現させるために、今後も活動を続けていきたいと思っています」。
イベント終了後の懇親会では “一歩を踏み出した”学生たちが佐藤さんをあっという間に囲み、たくさんの質問を投げかけていた。
