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斎藤健農水相への「辞表を書け」発言は「圧力」か?

 今月14日付産経ニュースの記事。
石破派の斎藤健農水相が首相支持議員の圧力告白「辞表書いてからやれ」

 自民党石破派(水月会、20人)の斎藤健農林水産相は14日、総裁選(20日投開票)で安倍晋三首相(総裁)を支持する国会議員から「内閣にいるんだろ。石破茂元幹事長を応援するなら、辞表を書いてからやれ」と圧力を受けたことを明らかにした。議員の名前は明らかにしていない。千葉市で開かれた石破氏の支援集会で述べた。

 斎藤氏は「ふざけるな。(首相は)石破派と分かってて大臣にした。俺が辞めるのではなく、クビを切ってくれ」と反論したという。その上で「首相の発想と思わないが、そういう空気が蔓延(まんえん)しているのを打破したい」とも語った。
 この発言をめぐって、両陣営が非難の応酬をしていると伝えられている。また、野党やマスコミにはこれを安倍批判に利用する向きもある。

 18日付朝日新聞夕刊「素粒子」は、
「名前を言って」と首相。農水相への圧力発言に、お得意の全否定戦術で応酬した。安倍政治の本質を見る思い。
と述べた。  

 産経に限らず朝日も毎日も読売も、この斎藤氏への発言を「圧力」と報じている。しかし、これは「圧力」なのだろうか。

 安倍首相や菅官房長官が言ったというなら、それは確かに圧力だろう。しかし、斎藤氏は、「安倍応援団」(上の記事にはないが、私はテレビでこう聞いた)の議員から言われたと言っている。それで斎藤氏が辞表を書いたというならともかく、氏は突っぱねたとしている。そしてそれを公表している。こんなことが何で「圧力」と呼ばれるのか、私にはわからない。

 斎藤氏の発言について、麻生財務相は、18日の記者会見で次のように述べたという(19日付朝日新聞朝刊の記事より)。
「現職がいなくなった後の総裁選と、現職がいる時じゃ意味が違う。現職が出る時は、どういうことになるかという話を根本に据えておかないと」
 これは全くそのとおりだと思う。

 現職が再選を目指しているのに、対抗して立候補するというのは、現職に対して不信任を突きつけているのと同じである。現職の対立候補が「正直、公正」をスローガンとするなら、それは現職が不正直、不公正だと言っているのと同じである。

 こういうことを言うと、自由社会の政党なのに党首選への立候補の自由はないのかと問う人がいる。もちろん立候補の自由はある。立候補の自由があることと、現職側が、あるいは第三者が、対立候補をどう見るかというのは別の話である。

 現在の国会の勢力では、自民党総裁に当選することは、すなわち首相に選出されることを意味する。農林水産相は、言うまでもなく、首相によって任命される職である。首相によって任命された者が、別の人物を首相に推すとは何事か、やるなら職を辞してからやれと考える者がでてきても、何もおかしな話ではない。

 もっとも、閣僚が現職以外の人物を総裁に推してはならないなどというルールはない。だから、斎藤氏が辞任の必要などないと考えるのならば、そんな発言など無視すればよい。それだけのことだ。

 こんなことで「圧力」だ何だと騒ぎ立てるなんて、自民党はスケールが小さくなったものだと思うし、マスコミは暇なんだなあ。

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