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「真剣勝負をやるから進化する」石破陣営47都道府県動画の仕掛け人に聞く 自民党総裁選の意義

Youtubeの石破茂チャンネルにずらりと並んだ動画

8月31日、自民党総裁選に向けて、石破茂氏が47都道府県それぞれについて語る動画が公開された。

動画を見てみると、地方創生大臣として全国を巡った石破氏だからこそ語ることのできる様々なエピソードがぎっしりと詰まっている。たとえば筆者の地元である岡山県の動画に目を向けると、わずか6分半の再生時間に以下の内容が盛り込まれていた。

冒頭 豪雨災害へのお見舞い
県の名産品 きぬむすめ、朝日、ぶどう、いちご、千屋牛
産業 水島工業団地
交通 瀬戸大橋、四国新幹線、伯備新幹線
全国一のもの 県立図書館の利用数、防犯ボランティア加入率
全国初の取り組み 民生委員制度、点字ブロック制度
県内のお祭り うらじゃ、西大寺会陽
言及した市町村 真庭市、美作市、新見市、津山市、奈義町
県の偉人 津田永忠、山田方谷

力のこもった一連の動画はどのように作られたのか、石破陣営のネット戦略を一手に引き受ける自民党の平将明議員に、動画制作の経緯を聞いた。【取材:村上隆則、撮影:弘田充】


47都道府県動画制作 石破氏も最初は「えっ…」

—— 早速ですが、47都道府県について語るこの動画を、なぜ制作することになったのでしょうか

今回、自民党総裁選は国会議員と100万人いる全国の党員が対象で、もちろんその向こうには国民のみなさんがいます。

そこでまず、広く石破さんの思いや政策を発信するにはネットが一番適しているだろうということで、特設Webサイトを作ることが決まりました。ただ、今まで通りでは面白くないので、そこに石破さんにしかできないコンテンツを上げていこうと。

石破さんは食べ物も好きだし、鉄道も好きだし、色々な所に行くのが好きな方です。そして、あれだけ地域を回っている政治家はいない。そこで、47都道府県すべてについて語る動画を作ろうと考えました。

BLOGOS編集部

—— 47都道府県分撮影するとなると、かなりの時間が必要だったのでは?

私も収録に立ち会いましたが、最初は1,2分間くらいのメッセージを作ろうと思っていたのに、石破さんのこだわりがすごくて、行ったところや美味しかったもの、あるいは行政の取り組みなど、話し出すと止まらない。結果、最初の頃は3分くらいで収まっていたものがどんどん長くなっていって、終わりの頃には10分くらいの長さになっていました。

それでも47都道府県動画を作って思ったのは、やはり石破さんの思いが伝わるなということです。広告代理店に頼んで、それっぽいカッコいい動画を作るのは誰にでもできる。そうではなくて、石破さんがすべての都道府県に対して思いを語るのが大事なんだと思いました。

—— 企画を石破さんに伝えたときの反応はどうでしたか

最初は「えっ…」と言っていましたね(笑)。ところが実際にやってみると、石破さんは完璧主義者なのですぐに「撮り直しをしよう」と言い始めるんです。

撮り直しも続き、最初の頃は1本撮影するのに1時間くらいかかり、現場だけでも相当な時間を費やしました。1日最大13本撮った日もありましたが、さすがにそれが限界でしたね。

BLOGOS編集部

実はこの動画の内容も、我々が原稿を用意したということはなく、石破さんがすべて考えているんです。もちろん撮り直しの中で、箇条書きのメモは出していますが、基本的にはすべて石破さんの言葉です。なので、ご本人が言うように、50時間かかったというのは間違いないと思います。

—— 視聴した人からの反応はどのようなものでしたか

動画を見ていただいた方からは、「自分も知らなかった地元の取り組みについて話していた」という声はいただいています。また、地方出身の議員の元にも「見たよ」という声は届き始めているようです。

石破さんは地方創生大臣をやっていたこともあって、各地の行政の取り組みに詳しいんですよね。政治家や有識者、官僚は、現場の成功事例やアイデアについて意外と知らなかったりする。私は東京生まれ東京育ちなものですから、石破さんの下で地方創生副大臣をやったときは発見が多かったです。

総裁選は自民党の支持者を増やす最高のチャンス

—— 今回の総裁選では、動画以外にも様々な取り組みをされていますね

今回は自民党っぽくない、イラストを採用した冊子や、『柔らかい日本 あるいはイシバ内閣にワタシ達が夢想する未来』という大学生のシングルマザーが主人公の短編小説を作りました。

石破陣営が制作した冊子。特設サイトから閲覧することができる

この小説では石破さんが日頃言っている地方創生が実現して、多様性を許容する、包み込むような社会が実現するとどんな風になるのかということが描かれています。

自民党の機関紙『自由民主』もかなりレイアウトを変えています。安倍さん陣営と比べ、我々の陣営は文字を減らして、最後にQRコードを載せました。

いままでの自民党だと「年配の人が多いからQRコードなんて載せても意味ない」みたいなことを言われたりするのですが、そこは石破さんに任せてもらって、色々と新しいことをやっています。

BLOGOS編集部

—— 石破陣営の手法を見ていると、海外の選挙で行われるキャンペーンのような活気も感じます

たとえばアメリカでは民主党大会、共和党大会などが、お祭りのように盛り上がるじゃないですか。総裁選もそうしたい。自民党総裁選は日本の総理を選ぶ選挙なのに、閉鎖的で、パワハラの塊みたいな選挙戦になってしまっている。それっておかしいですよね。

勝ち負けも大事ですが、我々は政権与党として広く国民の前で議論をして、それが国民の共感を得て、また我々の力になるという流れを作りたい。それが本来あるべき姿だと思っています。

—— 党にとっても、総裁選をやることがプラスになるということですね

いままでの自民党総裁選は、脂っぽい政治家が権力をむき出しにして圧を掛け合ったり、最近では派閥の親分が誓約書を書かせたり…これは私の感性ですが、くだらないですよね(笑)。

私は、総裁選は自民党の支持者を増やす最高のチャンスだし、日ごろ政治や自民党に興味のない人にも「自民党っていいな」と思ってもらえる可能性のある機会だと思っています。

石破さんが勝つための戦略は当然必要ですが、我々はチャレンジャーだから、どうせやるなら楽しいことをやろうと。今回、石破チームのノウハウは自民党の選挙のノウハウとしても使われると思うので、来年の統一地方選や参院選でも活きてくると思います。党もこうやって真剣勝負をやるから進化する。だからやっぱり、総裁選って大事なんですよ。

プロフィール
平将明(たいら・まさあき):衆議院議員。自由民主党ネットメディア局長。石破茂氏が地方創生大臣を務めていた際には、内閣府副大臣として同氏を支える。東京都出身。1967年生まれ。

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