記事

三田佳子さん次男の高橋祐也君に20年間つきあってきた者として今回の逮捕に感じた痛み

1/2
スポーツ紙が一斉に報道(筆者撮影)

ワイドショーから一斉に電話が… 

 9月11日、三田佳子さんの次男、高橋祐也君が覚せい剤使用の容疑で逮捕されたのには驚いた。その日、朝から私の携帯は鳴りっぱなしで、民放のワイドショーのいろいろな番組から取材が入った。また以前、祐也君が私のところから出版した本『YUYA』を入手したいという依頼も入った。この本はもう絶版になっているのだが、報道に使うというところには便宜を図った。

 基本的にインタビューなどの取材依頼は断った。でも『創』編集部を訪ねてきたところには、事実関係の確認には知っている範囲で応じた。報道が正確になされることを願ったからだ。

 私は祐也君が最初に薬物事件を起こした18歳の時から、いろいろサポートしてきた経緯があった。今年春先にも、祐也君の共同経営の店に足を運んで、長い時間、酒を飲みながら話をした。

 それまで彼から私の携帯にメッセージが届くことはたびたびあったが忙しくてなかなか会いに行けなかったのに、その日足を運んだのは、昨年末の『女性セブン』12月14日号と『女性自身』12月5日号に、彼や三田さんの話が報道されていたからだった。特に『女性自身』の「逮捕3回次男が愛人に『不倫暴行』」という記事は気になって、事実かどうか本人に確認しようと思った。

今回の逮捕報道で、この記事はかなり引用・紹介されているのだが、祐也君に聞いたところ彼は取材に応じてもおらず、記述に間違いも多いことがわかった。本人が間違いだと言っていた部分が今回引用されたりしているのは残念だが、ただ「暴行」の事実は彼自身も認めたので、「それは絶対にやめたほうがいい」とアドバイスした。

 祐也君とはその時、いろいろな話をした。彼と一緒に起業をし、共同経営をしている祐也君の古くからの友人とも話をした。その店は「バー」と報道されているが、「スナック」というのが実態に近いのではないだろうか。彼らが起業をした会社が経営する店だが、普段店を運営しているスタッフは別にいる。

 今回、一部報道では祐也君が「職業不詳」となっており、警察がそう発表したのかもしれないが、敢えて肩書を入れるとすれば彼は「経営者」だ。でもたぶん、別に飲み屋を経営する為に会社を興したのではないと思う。

 会社は、いろいろな事業ができる、いわばベンチャー企業だった。祐也君は、いつも「三田佳子の次男」という言われ方しかされない存在であることに昔から内心忸怩たる思いを感じていたと思う。また、過去3回の逮捕で両親に大変な迷惑をかけていることもわかっている。だから、企業を立ち上げて、何とか成功を収めたところを家族にも示し、社会的にも「三田佳子の次男」でなく「高橋祐也」として認知されることを望んでいたような気がする。

 でも、結局、逮捕である。今回もまた、彼は「三田佳子の次男」としてニュースの対象になってしまったのだった。

何もしてやれなかったことを後悔した

 春先に会って以降も祐也君からはたびたび私のスマホにメッセージが送られてきた。最初は返信していたが、そのうちに私も多忙を理由に、その都度返信することもしなくなっていた。

 今、思うと、それらは彼なりのSOSだったのかもしれない。祐也君はそれまでも苦しい局面でSOSを発信してくることがあった。今回、結果的にではあるが、彼の相談相手になることもないまま、逮捕に至ってしまったことで、申し訳ない気持ちになった。

 祐也君の何度にもわたる薬物事件をめぐっては、一時は三田さん夫妻とも頻繁に連携しながら私も関わってきた。彼が自分の半生を本にするということで『YUYA』の執筆に専念した時期には、ウイークリーマンションに彼と私で部屋を借りて同じ屋根の下で1カ月ほど過ごしたこともあった。

 18歳の高校生で最初に薬物事件を起こした頃の祐也君は、かなり危ない友人たちとつきあっており、危機的な状況だったのだが、私が接した印象は「ナイーブな少年」だった。小さい頃から「大女優・三田佳子の次男」という認知をされてきたことを、一方で誇りに思いながらも、他方で反発するという、そのアンビバレンツで複雑な心情が、屈折した形で彼の人格に反映されていたように思う。

 例えば彼が卒業文集に書いたという、地震があったら何をもって逃げるかという問いへの答え「ペットの犬と親の金」は、10代の少年としては異例なほどのシニカルさに満ちており、当時の祐也君の心情がよく表現されていた。

 その彼が逮捕事件に遭遇し、母親への心情をつづったのが『YUYA』なのだが、今回、番組作りのためにその本を読んだというTBS『ビビット』の女性スタッフは、祐也君の手紙や手記を読んで彼のイメージが変わったと言っていた。確かに獄中から母親に書いた手紙などナイーブさがよく表れている。この本はもう絶版なのだが、できれば電子版にして一般の人が読めるようにしたいと思う。

『創』で報じた過去の三田さんの謝罪会見

 不良だったがナイーブ、という祐也君のキャラクターは、三田さん夫妻との微妙な親子関係の中から形成されたのだと思う。私が最初に三田さんの自宅を訪れ、その母子の会話を聞いた時には、あまりに祐也君が母親をぞんざいに扱うのに「おいおい」と思った。

 私は三田さんの表現者としての生き方にはリスペクトを抱いてきたし、三田さんに「祐也を頼みます」と言われた時には、これはもう断るという選択肢はないなと思ったものだ。その三田さんが女優としての仕事に誇りと信念を貫いてきたことと、その一方で息子である祐也君との関係が難しいものになっていったこととは複雑で微妙な関わりがあるように思う。

「親としては力及ばず」の切ないコメント 

 2001年初め、祐也君が保釈期間中に弁護士に預けられていた時には、三田さん夫妻と弁護士、それに私も加わって、「チーム三田」という感じで祐也君をどうやって更生させるか、毎日のように顔を合わせていたものだった。

 そんなふうに家族が祐也君を立ち直らせるために並大抵でない努力をしてきた20年だった。そうした経緯を見てきた一人として、11日に三田さんが公表したコメントには、胸を痛めた。

 「親としてはもう力及ばずの心境です」

 こういう言葉を発せざるをえない三田さんの心情を思うと切なくなる。三田さん自身、このところ病気に見まわれたり、舞台を走り回る体力もなくなってきたと話していた。

 祐也君ももう38歳の大人だし、そういう親の状態もわかっているはずだ。もちろん祐也君も自分なりに努力はしてきたのだと思う。でも今回、結果的にこういうことになって、今、留置場でどんな思いでいるのだろうか。

 祐也君本人の口から事情を聞き、実情を把握するまでは安易にマスコミの取材は受けないことにしようと決めた私がこうして一文を書くことにしたのは、11日に公表された三田さんの切ないコメントを読んだこともある。

 そしてもうひとつは、ネットのまとめサイトなどのひどい記述を見たからだ。事実誤認の情報をあちこちから寄せ集め、写真をつけて、それらしく取り繕ったまとめサイトが、検索エンジンの上位に来ていることには、いつものことながらため息が出る。情報を発信するには、まずきちんと「裏をとる」という常識が、ネットでは通用しない。三田さんが祐也君にかつて小遣いを50万円も与えていたという話など、三田さん本人が明確に事実と違うと否定しているのに、ネットでは既成事実であるかのように書かれている。

 三田さん家族や祐也君本人がこの20年間、どんな辛い思いで現実に立ち向かおうとしてきたか、そして結果的に逮捕という事態でその努力が水泡に帰し、当事者たちがどんな思いでいるかを考えると、ネットに誤った情報が流布されている現状にはやりきれない気持ちになる。

 取材依頼があったのはほとんどテレビ局だが、週刊誌では一誌だけ『フライデー』が取材の電話をかけてきた。11日はそれも断り、祐也君については今まで『創』などに相当書いてきたのでそれを見てほしいと言った。

 そしたら12日にまた電話があって、コメントを書いたので見てもらえないか、と言ってきた。取材拒否と言っているのにコメントとは何事だ、と思って電話に出ると、私が以前、東京新聞に書いた記述を見つけてきて、これでどうかというのだった。

 これがまたツボをよく押さえた、今回も私が言いたかった記述だった。

「祐也君は小さい頃からいつも『三田佳子の息子』と言われ、それに抗ったり悩んだりしてきた。もし彼に何か自分自身のアイデンティティと思えるものが見つかっていれば、再び薬物依存に陥ることはなかったはずです」

 だいぶ前に私が書いた記述だが、今回の事件にもあてはまるような気がした。そこで、多少加筆して、私のコメントとして出しても構わないと申し上げた。

あわせて読みたい

「高橋祐也」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    玉木氏 森議員の情報漏えい謝罪

    玉木雄一郎

  2. 2

    安倍首相 GSOMIA破棄凍結で会見

    AbemaTIMES

  3. 3

    ケンタッキー「安い」で劇的回復

    PRESIDENT Online

  4. 4

    不振のいきステに今行くべき理由

    内藤忍

  5. 5

    夜景撮影 一眼レフよりiPhone11?

    かさこ

  6. 6

    「表現の自由」異論否定の根拠に

    島村優

  7. 7

    経産省 韓国のWTO提訴中断を評価

    AbemaTIMES

  8. 8

    壇蜜結婚に「ロス」連呼はやめよ

    常見陽平

  9. 9

    支持せぬ人は敵 安倍首相の発想

    PRESIDENT Online

  10. 10

    石破氏 来年も桜を見る会開催を

    石破茂

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。