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脱原発を決めるには

 「なぜドイツははあんなに早く脱原発を決めて、日本はまだ決めていないと思う?」
とはよく聞かれます。もちろん原子力村、天下り、電力企業の独占等々と日本が抱えている問題も色々ありますけれども、決定文化はドイツと日本は違うというのはかなり面白いことです。

例えば、
  「もう、今の経理は全て手書きで無理です。ソフトを導入しよう。」
とある会社の社長が決めたところで、
ドイツの場合は、社長が総務部長に二つ以上の見積もりを頼んで、経理部長と話して、それから一つのソフトに決めて、IT部に導入させます。職員はある日に、上から、
  「今日からパソコンだよ!」
と言われます。

 社員の間には当然不満を抱いたり、いやがったり、しばらくまだ手書きでやったりする人はいます。何ヶ月が経って、皆はどうにかソフトを使えるようになります。

新しいソフトを嫌がったり、なかなか新しいソフトを使いたがらない人が多くいるため、実際に使われるまではかなり時間がかかります。

ご存知の通り、一人の役員が責任を持って決定することは日本の会社でなかなかありません。
  「もう、今の経理は全て手書きで無理です。ソフトを導入しよう。」
と社長が単独で決めたとしても、ソフトの購入決定過程は違います。突然、ある日からソフトにかわることはありません。
日本の会社ではまず、全てのソフトを充分に検討してから、決定されることになります。

 もちろん、一人が全てを決めることはいいということではありません。
個人経営の店で、日本でも一人が決める事はあります。(国を問わず)二代目が店を継いで、その一人の判断ミスで企業が破綻することもあります。

リンク先を見る日本の(典型的な)理想的なマネジャーは単独でグループのために自分のビジョンを押し通すのではなく、グループをコーディネートします。人間関係を大切にしている日本人はチームミーティングで一つの事について何回か相談した上に決定がおります。

 それは、ドイツの会社からすると、時間がかかりすぎます。
ドイツのマネジャーならさっさと決めます。ドイツの立場からすると、日本はだらだらして、チャンスを逃すことが多いでしょう。
日本では多くの人のコンセンサスをとってからは、ある方向に動くでしょう。
時には(会社の場合は競争相手の)外圧プレッシャーも必要です。
これを書いているからといって、日本のスタイルは悪いと言っていません。(悪かったら、そんな産業大国になれなかったでしょう?!)

ドイツの原子力反対運動は長年大声で「脱原発!脱原発!」と訴えてきたけど、
  「じゃあ、そのかわりは?」
と聞かれて、当然
  「自然エネルギーだよ。」
と答えました。
当然、自然エネルギーですけど、今になって、それをどのように導入するのかは、詳細な政策は反対運動もさほどなかったでしょう。
今、脱原発が決めたところで、具体的にどう実行すればいいのか、なかなか難しいところもあります。
  「脱原発には当然イエスだけど、ウチの玄関先ではいや。」
だと、ドイツ人らしい反発はあっちこっちに出てきます。
皆のためではあるのに、皆で協力しないといけません。
日本では一方、一度決定がおろされてから、その実行はものすごくはやいです。

 ただ、グローバル化はよりはやい決定、より高いリスクを背負う事を恐れないリーダーシップ、より想像力に富んだ行動を必要としています。こういった人材がいないと、日本の企業はグローバルな競争力を維持する事は大変難しいと思います。
 一人の役員が全ての責任を追う事は日本の文化でないけれども、柳井正という強いリーダシップの成功例もあります。

 それから、「脱原発」という決定は、ドイツ文化があって、はやく下されたかもしれませんが、日本社会のコンセンサスは脱原発である事は疑いはありません。決定はゆっくりであっても、一度決定されてから早く実行されると信じたいです。

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