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「全身がん告白」から5年…樹木希林さんの訃報

BLOGOS編集部

安室奈美恵が出身地である沖縄で25年の芸能活動にピリオドを打った16日の夕刻。芸能的には安室の〝芸能界引退劇〟以上の大きなニュースが芸能界を駆け巡った。

数々の映画やテレビドラマ、CMで活躍してきた個性派女優の樹木希林さん(きき・きりん、本名・内田啓子)が亡くなった。15日に都内の自宅で家族に看取られながら静かに息を引き取ったという。75歳だった。

夫は、ロックミュージシャンの内田裕也(78)、長女は歌手、女優でエッセイストの内田也哉子(42)、そして也哉子の夫は、元シブガキ隊で俳優の本木雅弘(52)。

1ヶ月前の8月13日に左大腿骨を骨折し緊急入院、手術を受けていたというが、30日に行われたイベントでは本木が、がんの影響で一時危篤状態に陥ったことを明かしていた。しかし、その後、樹木さんが直筆のイラストで「細い糸一本でやっとつながってる 声一言もでないの しぶとい困った婆婆です」としたメッセージを出していた。

その樹木さんで思い起こすのは13年3月8日の「第36回日本アカデミー賞」である。

この時、樹木さんは、井上靖の自伝的小説を映画化した「わが母の記」(原田眞人監督)で「最優秀主演女優賞」に輝いたが、その授賞式の場で、全身をがんに侵されていると激白した。

翌日のスポーツ各紙やテレビ各局のワイドショーは、主演映画「ヘルタースケルター」で「優秀主演女優賞」を受賞したことで約8か月ぶりに公の場に姿を見せた沢尻エリカよりも、樹木の衝撃的な「全身がん告白」を大々的に取り上げるなど、大きな話題になったものである。

その際、樹木さんは、「あの…、これいただくと来年、司会をやんなきゃいけないというのが…。私ね、冗談じゃなく全身、がんなので、来年の仕事の約束ができないんですよ」。

「本当に名誉はいらなくて…。実の振り込み(賞金)はいただきますが、名誉は吉永(小百合)さん、(沢尻)エリカ様にあげたいくらい」

なんて冗談交じりに笑い飛ばしていた。何とも樹木さんらしい言動だった。

「ああでもしなきゃ独占されちゃうじゃない」

BLOGOS編集部

また、後日談だったが「なぜ授賞式で(がんであることを)公表したのか」という問いに対して樹木さんは、「ああでもしなきゃ、あなた!エリカ様に全部(話題を)独占されちゃうじゃない」

と、ジョークを交えながら答えていたことを思い出す。きっと、今回も同じことを聞かれたら、(不謹慎かもしれないが)樹木さんは、「あなた!安室奈美恵に全部独占されちゃうじゃない」

なんてジョークを交えながら、言い放っているかもしれない。

それはさておき、深刻な事態でも気丈だったのが樹木さんだった。

「心配なことないでしょ、他人のことですから」。

2003年に網膜剥離で左目を失明、05年には乳がんを発見され右乳房を全摘している。それから5年以上の歳月が経っていただけに樹木さんにとっても、おそらく〝転移〟という言葉を聞いたときは「まさか」の思いだったに違いない。

「がん告白」後のワイドショーからの取材には「そんな話すようなことはないんですよ」と言い切り、がんの転移が進んでいるのではと心配する声にも「そもそも、もう義理の仕事しかやってないし。それに、ずっと前からがん転移が発覚しているしね。検査には行かないですよ。行けば(新しいがんが)見つかるんだろうね」などとも語っていた。

樹木さんはシリアスなものからコメディまで、どんな役でもこなすことの出来る、ある意味で稀な女優だった。それは、私生活でも同じだったのかもしれない…。

61年に文学座の研究生になり、64年に出演したTBS「七人の孫」で「東北弁のお手伝いさん」を演じて注目された。その後、TBSの名ディレクターだった久世光彦氏と組んだテレビドラマ「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」「ムー」「ムー一族」で、個性派女優としての地位いを確立した。中でも「ムー」では主演の郷ひろみとデュエットした「林檎殺人事件」が爆発的大ヒットとなった。

全てにおいてアイデアマンだった

「林檎殺人事件」の楽曲をプロデュースした元ソニー・ミュージックエンタテインメント取締役で現在、音楽プロデューサーとして活躍している酒井政利氏は、訃報に「そうですか…、亡くなられたんですか。もっともっと生きていて欲しかったので、本当に残念です」と呟きながら、在りし日を振り返り「樹木さんというのは、全てにおいてアイデアマンでしたね。一言で言ってしまえば感性というか発想が豊かなんですよ。レコーディングの時は、歌い方や表現の仕方で、どんどんアイデアを出してくるんです。彼女の発想というのは、とにかく演劇的で、私も教えられることが多かった」。

映画では、今年、カンヌ国際映画祭で最高賞に輝いた是枝裕和監督「万引き家族」に一家の祖母役として出演し存在感を見せていた。10月には、映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」(大森立嗣監督・脚本)が公開される。

08年に紫綬褒章、14年には小綬章受賞。葬儀は30日に東京・南麻布の光林寺で執り行うという。

それにしても、女優の朝丘雪路さん、そして俳優の津川雅彦さん、さらには女優の星由里子さん、生田悦子さん…、この数ヶ月だけでも大物俳優の訃報が相次いでいる。そういった中で昭和、そして平成を駆け抜けてきたスターが、また1人、この世を去っていったことになる。

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