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バロンズ:Fed、次の金融危機回避に向け政策正常化を継続へ


Barron’s : The Show Must Go On, Fed Will Continue Policy Normalization To Avoid Next Bubble.

バロンズ誌、今週のカバーに連邦債務を取り上げる。借金時計と言えば、時が経つにつれてどれだけ債務が拡大しているかを示すもので知られるが、その時計にはスヌーズ機能はない。10月から開始する2019年度でも、米議会で余程の奇跡が起こらない限り、債務が拡大し続けるのだろう。

連邦政府の債務残高は9月末までにGDP比の78%に相当する15.7兆ドルだが、議会予算局によれば、10年後にGDP比96%の28.7兆ドルへ膨らむ見通しだ。1人当たりに換算すると、9月末までで16.4万ドル、10年後には25万ドルに拡大する。

 しかも、共和党が多数派を握る米下院は、減税2.0、すなわち所得税並びに中小企業向けの恒久減税案を公表。とはいえ、中間選挙を挟み、UBSは下院を民主党が奪取し、上院は共和党が過半数を維持する確率を60%と見込むように、ねじれが生じる公算が大きい。今後10年間の成長率は1.7%増が見込まれる中、連邦債務の拡大は何を意味するのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

トランプ、ダイモン、そして金融危機―Trump, Dimon, and the Financial Crisis

金融危機から10周年を迎え、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は、巨額の連邦債務を背負う国の大統領であるトランプ氏に対し、「私なら(2020年の米大統領選で)勝てると思う」と発言した。さらに「私は、トランプ氏より賢明だ(smarter than he is)」と述べたほか、自らを指し「この裕福なニューヨーカーは自らの力でで富を築いたのであって、父親からの得た財産ではない」とまで言い切った。トランプ大統領は当然ながら反論、ダイモンCEOが優秀ではなく、公衆の面前での演説力に欠け、大統領にふさわしくないと批判した。

未曾有の金融危機が発生した歴史を紐解くと、世界のパワーエリートがもたらした。また、不良債権が含まれた住宅ローン担保証券がAAA格付けを与えられたというのに、驚くべきことに誰も刑務所送りにならなかった。

こうした皮肉は、政策当局者に当てはまる。当時の財務長官だったポールソン氏をはじめ、誰もがリーマン・ブラザーズの破綻を予想しなかったと振り返っていた。

ジョンズ・ホプキンス大学のエコノミスト、ローレンス・ボール氏は著書「The Fed and Lehman Brothers : Setting the record Straight on a Financial Disaster」で、リーマンはFedからの融資を受けられるほどの担保があったと指摘する。リーマン破綻後、Fedは保険大手AIGを救済した。同社の破綻が米経済にもたらす影響を考慮したのだろう。

金融危機からの景気回復は、前例のない金融政策の結果である。何より、10年経過しても一連の緩和策が継続していることが異例と言えよう。ドイツ銀行のストラテジストによれば、世界経済の25%が未だマイナス金利にあるという。そしてFedをはじめ欧州中央銀行(ECB)、日銀など中央銀行のバランスシートは、金融危機前の4倍に相当する14.5兆ドルに及ぶ。この秋からは、減少するのだろうが。

パウエルFRB議長率いるFedは、一連の緩和策がバブルを醸成しないか注視する状況だ。パウエルFRB議長は、ジャクソン・ホール講演で、過去2回の景気後退が金融市場の過剰が生み出したものと指摘した。つまり、2008年は住宅バブルの崩壊であり、2000年はITバブルの崩壊が景気後退をもたらした。

金融市場における過剰な借入は、中銀の高官の間で浸透しつつある。ブレイナードFRB理事は、14日の講演で「失業率が来年見込まれる水準へ低下した過去を振り返ると、過熱のサインはインフレではなく金融市場の不均衡に現れていた」と発言。ブレイナード理事はイエレン前FRB議長体制下ではハト派寄りと目されたが、バブル崩壊をにらみ、先手を打とうとしている。

米株の時価総額は、2018年3月まででGDP比145%と、ITバブル期で最大に。

(作成:My Big Apple NY)

グラスキン・シェフのデビッド・ローゼンバーグ首席エコノミストは、Fedが政策運営を失敗した過去において、Fedは二大目標(最大の雇用、インフレの安定)にこだわり過ぎるあまり、金融の過剰な状態を十分考慮してこなかったと指摘する。しかし足元のFed高官の発言に基づけば、Fedは株式が割高で、社債スプレッドが縮小し過ぎていると判断しているようだ。

世間の注目がトランプ政権による追加関税措置に集まるなか、Fedは利上げと保有資産の圧縮により着実に金融緩和を取り除いている。9月25~26日開催のFOMCで利上げは97.5%織り込まれ、12月18~19日開催のFOMCでは79.2%織り込まれる状況だ。つまり、Fedは過去の失敗を回避すべく、政策運営を進めている。銀行家と大統領は、緩和策の巻き戻しの対応に迫られよう。

――バロンズ誌が指摘する通り、パウエルFRB議長やブレイナードFRB議事の発言では金融市場への目配せを忘れていないように見えます。7月31日~8月1日開催のFOMC議事要旨でも、金融市場の安定性からみてバリュエーション高水準にあり、融資基準は緩和的と指摘していました。エマージング国の通貨安をリスク要因とみなすものの、通商政策、住宅市場の減速、原油価格の急伸に次ぐ不確実性要因に挙げられた程度。現時点では、エマージング諸国の動向に配慮した利上げ小休止は選択肢にないと考えられる。利上げ小休止のタイミングは、米中貿易戦争の激化による米景気減速局面に取っておくということかもしれません。

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