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5人死亡のダム放流は「人災」 国の説明に住民から怒号 愛媛県

中学校の体育館で開催された説明会。8月9日、愛媛県西予市野村町。(撮影/粟野仁雄)

西日本豪雨で大きな被害を受けた愛媛県。西予市にある肱川の野村ダム流域では5人が亡くなり、家屋倒壊などの被害を受けた。被害はダム放流の直後。「人災だ」の声が強まる中、8月9日夜、野村中学校で国、県、市による住民説明会が開かれた。体育館は約700人で満席。冒頭の黙の最中から「人殺し」「謝れ」「パフォーマンスか」などの怒号が飛んだ。

説明者は資料を配り、「規則通り操作した」「予想外の雨で……」を繰り返した。国土交通省の川西浩二野村ダム管理所長は「記録的豪雨を予測できず、事前放流量を増やせなかった」などと釈明した。

質疑で「人災なんだから100%補償すべきだ」と訴える女性には拍手が湧いた。終了近くに立ち上がった入江須美さん(51歳)は「危険を知らせてくれれば夫は死なずに済みました」と訴えた。自宅で印刷業を営む夫義彦さん(当時59歳)は流された愛車から遺体で発見された。遺影を抱いた須美さんは「小さなダムなので早めに減らすべきだった。伝え方はどうだったのか。通常の6倍も流すと聞いていれば夫は早く逃げたはず」と訴えた。

ダム建設時に町長だった池田忠幸氏(91歳)は「マニュアル通りの操作しかできないことが情けない。耕作面積も人口も減っているのに灌漑のために満杯にしておく必要はなかった」と指摘した。

ダムの大量放流が国から市に告げられたのが6時8分。市が5時10分に出した避難指示も緊迫感はなく、6時20分に放流されてしまった。危険通知の遅れに管家一夫市長は「混乱した状況でそういう判断ができなかった。深くお詫び申し上げる」と謝罪した。国も自治体も高位置に膨大な水を貯めておく怖さへの認識が甘すぎた。

下流の鹿野川ダムの放流で4人の犠牲者を出した大洲市でも説明会が行なわれる。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2018年8月31日号)

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