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投信の将来

 ある会合で、日本の投信業界の問題点が多数から指摘された。 毎月分配型の投信が、販売の70%前後を占めている。 通貨選択型で高配当利回り期待を売りにしている投信が、主として高齢者に8兆円も9兆円も販売されている。 とにかく販売しやすい投信商品を次から次へと世に出していくビジネススタイルで良いのかどうかが議論となった。

 販売手数料や信託報酬からの代行手数料を稼ぐのが、投信ビジネスの目的としている販売サイドからみれば、ただ商売をやっているだけのこと。 ビジネスチャンスを最大限にとらえて、利益を稼いでいくのになにが問題かとなる。 法律違反をしているわけではないのだから、なんのはばかりなく販売していこうとなる。

 そういうことなら、投信会社の問題意識はどうなのか? 直販している8社以外は、どの投信会社も証券や銀行など販売チャネルに投信販売を頼まざるを得ない。 どうしても、販売サイドの意向を反映した商品設計を迫られる。 彼らにしてみれば、"本当はもっとまともな投信を出したいのだが、販売サイドが売ってくれないので、どうしても" いった言い訳を並べておけば世間も認めてくれるだろうといったところ。

 こんな日本の投信の悪しきビジネス風潮で、いつも割りを食って生きたのが投資家である。 その時々の投資人気に乗った投信を次から次へと乗り換えさせられては、手数料稼ぎビジネスに多大なる貢献をさせられてきた。 中には、そんな投信で短期の売買利益を稼いでやろうといった百戦錬磨の個人投資家もいる。

 その横で、定期預金からの乗換えを進められたといった高齢者などの投信購入が多いのは問題である。 銀行の窓口ではきちんと商品のリスクを説明していることになっているが、それよりも高配当という言葉につられて投信を買ってしまう人が後を絶たない。

 唯一救われるのは、そういった日本の投信に群がる個人マネーは3%ちょっとに過ぎないことだろう。 その一方で、56%が預貯金に眠ったままであるし、13%が生命保険に向かっている。 そんなにも多く、投信なんかで手数料稼ぎの犠牲になるものかといった個人マネーがあるわけだ。 

 だからといって、預貯金に寝かせておけばよいわけではない。 こんな超低金利下では、百万円を2倍にするのに3600年もかかってしまう。 どこかでインフレにでも遭遇したら、せっかくの虎の子の資金も、あっという間に目減りしてしまう。 多くの人々にとって、そして日本経済にとっても、莫大な損失となる。

 やはり、ここは本格的な長期保有型の投信がどんどん出てこなければならない。 とんでないビジネスチャンスである以上に、社会的時代的な使命でもある。 いまの投信業界を見渡すに、まともな投信を長期で育てていこうといった哲学を貫くには、直販するしかないのだろう。

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