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プーチン大統領の思いつき

エープリルフールでもこんな発言はしないと思います。「今思いついたのだけど、年内に平和条約を締結しよう、何の前提条件もなく」と。東方経済フォーラムの全体会議で壇上は安倍首相をはじめ、習近平氏ら国家首脳が座る中、唐突な発言に日本側は一瞬困惑、そして「そんなことが出来るわけがない」と冷ややかな反応を示しています。

日本とロシアには平和条約が締結されていません。過去何十年もわたり、そのアプローチは数多くあったものの北方領土問題がその最大のネックになっています。国境策定が一つの大前提となる平和条約において北方領土の帰属問題を横において平和条約を結ぶことなどは常識的には考えれらません。

一方、ロシアが抱えていた国境策定問題は多くが解決しており、主な未解決国境は2014年に実効支配したクリミア、北方領土、および形の上では南樺太の帰属問題などが残っています。南樺太は日本が放棄したもののロシアがサンフランシスコ講和条約に参加していないため、未帰属地のロシア実効支配というステータスになっています。私が何年も前にこのブログで北方領土と南樺太の交換案もありうると指摘したのはその背景があるからです。

プーチン大統領がウィットネスとなる人々がいる前で唐突に平和条約を結ぼう、と提言した背景はいくつか考えられると思います。一つはプーチン大統領への反発の声。特にロシアの年金支給開始年齢引き上げ計画がW杯の時に発表されていますが、これがロシア国民に火をつけました。また経済制裁の影響もあり、国民の不審感は強く、プーチン大統領の支持率は調査機関によっては5割を切るとするところもあります。

二つ目に日ロ経済連携が思ったように進捗していないこともあります。双方の信頼感の欠如もあるのかもしれません。日本人とロシア人のスタンスもだいぶ違うでしょう。一緒にビジネスをしていくにはなかなか厳しい相手のように感じます。

三つ目に日本が導入するイージスアショアへの懸念があるように感じます。この地上配備型迎撃システムはロシアにしても非常に嫌悪感を示すものであり、強気のプーチン大統領もやや押され気味な感じがしないでもありません。

長期政権を維持する国家のトップが苦悩に陥った場合、外交政策に視点を変える手法は常套手段であります。オバマ政権後期がそうでした。また、習近平国家主席が最近、日本との関係を比較的ソフトトーンにかえ、安倍首相の訪中が実現しそうですが、これも目線を変えるための手法であります。ロシアも何らかの形でプーチン大統領のポジションを維持するための「功績」を作り上げる必要がある、と考えているかもしれません。

日本のメディアのトーンは「ニッポン官僚、プーチン氏を相手とせず」となっています。メディアとしての報道はこれでよいと思います。一方、実務担当レベルに於いては思わぬチャンスが到来した可能性はあります。今年というのは非現実的にせよ、安倍首相とプーチン大統領が在任中に平和条約までこぎつけられるならば安倍首相にとっても極めて大きな功績になります。勿論、アメリカが相当チャチャを入れてくるのは明白で、トランプ大統領のえげつない邪魔も入るでしょう。

日本にとって納得できる形の平和条約が締結されることは東アジア外交に於いて大きな影響が生まれることは確実です。温暖化が進む日本に於いて北海道より北の地域での権益は漁業を含め、重大なる意味を持つことになると考えています。

では今日はこのぐらいで。

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