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「企業が欲しいのは低賃金労働者。生活できる給料をあげたいわけじゃない」ニコ生×BLOGOS第6回 チョコと格差と貧困問題

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税制に必要なのは公平性と透明性


小口:生活保護者を減らす方法をどうにか考えてみましょう。

大谷:これもBLOGOSで議論をして、2001年には(生活保護費)2兆円だったのが、昨年は3兆4000億円。1.5倍近くになってきているというところがありまして。当然、国の財政を圧迫していると。

須田:前提として、生活保護というのは自立支援なんだから。施しじゃないから、もらうことは悪じゃないんですからね。そのへんだけは理解していただきたいと。

小池:実態でいうと、所得が生活保護水準未満の世帯っていうのは、政府が推計しているもので705万世帯っていわれているんですよ。実際は705万世帯いるのに、受け取っているのは200万世帯。そういう意味では、実際に生活保護水準以下で暮らしているのに、受けてないって人が圧倒的に多いっていう事実はあるわけですよね。でもだからといって、全部生活保護でやるかっていうと、それは私は違うと思ってて。やっぱり生活保護以外のセーフティーネットを作ることによって。なんでも生活保護に矛盾が集中するっていう今の状況は変えなきゃいけないんじゃないかなという風に思いますよね。

赤木:生活保護が増えてるっていうのは、単純に(生活が)苦しくなっているという以外に、例えばNPOなんかの活躍によって、これまで生活保護水準であっても受けてなかった人が少しずつ受けられるようになってきたという部分もあったと思うんですよね。

小口:さっきからコメントで「BI、BI」とでてますけど、これって“ベーシック・インカム”なんですよね?

小池:「ベーシック・インカム」っていうのは、最初はね“みんなの生活を支えましょう”“最低限のところは保障しましょう”って話ではじまったと思うんですけど。どうも途中から議論が、心中主義的な形で使われてるんじゃないかと思ってて。月々何万円かを渡してしまえば、“あとは自己責任でやっていくんだ”ってことになっちゃってて。金持ちにもなんでもバラまいちゃって、それで雇用対策とか社会保障制度とかはもうやりませんと。国は。そういう風に利用しようとしている人がいるから、私はベーシック・インカムの議論っていうのは危険だなっていう風に思ってるんですよね。

赤木:その一方で、例えばベーシック・インカムでお金を配るということを、例えば、住宅に対するバウチャーにしましょうといってやると。市場で3万円ぐらいしか値段がつかないはずの家が、生活保護受給者に対して満額で提供されてる。つまり5万円ちょいですよね。すると、非効率なんですよ。お金で配らないことによって。お金で配れば市場原理主義の中で、5万円のものであれば、5万円払えば手に入る。ところが、生活保護でそういうことをシステム化しちゃうと、5万円払って、受ける人は3万円のものしか得られない。その差額を真ん中のやつが抜いちゃうってことになるので。ある意味、お金で社会保障をだしていくっていうことを、一概にも否定できないなと思うんですね。

小池:そういう面はあると思います。ただ僕は、雇用を本気になって作っていくという努力をしないと、社会保障制度の根本のところが空洞化していくと思うんですね。そういう意味では、ベーシックインカムで、とにかく金を配るっていう形でやっちゃうことが。雇用を本当に増やしていくっていう政策努力を弱めてしまうということを、大変危惧してるんですよ。やっぱり雇用はしっかり作って、自分で稼いで、税金も払って、それで社会を支えていくっていう構造を基本にして。それは個人の努力の部分も大きいけれども、それを支援するっていうことを中心にやるべきで。それをやらないで、お金を配ってしまうということを、社会政策の基本に据えるっていうことは、社会の根幹を歪めるんじゃないかな・・・っていう気がするんですよね。

須田:加えて、それだけのお金を配れるだけの財政的な余裕があるのかどうかっていう現実もありますよね。

大谷:財政の話で言うと、日本共産党が先日発表したいくつかの財源の提案の中で「富裕税」というものがありましたよね。アメリカでも実際、裕福な人が「我々から税金を取ってくれ」なんて言ってたりしますが。その富裕税についてご意見を聞かせてください。

小池:僕はこれが世界の流れだと思うんです。ウォーレン・バフェットっていう有名な投資家がいますけども。要するに、自分が払ってる税よりも、自分の従業員の税率のほうが低いっていうことに彼はビックリして。「これおかしいんじゃないか!」っていって。ニューヨークタイムズに投書してね。それに対して、いまイタリアとかフランスで「やっぱり増税するなら富裕層から」っていう声はあがってきてるし。オバマ大統領も“バフェットルール”ってことで、富裕税ってことをいってきてる。やっぱりね、消費税を10%にするって言ってるけど、いまこんなことをやったら本当に貧困と格差どころの話じゃないですよ。壊滅的なことになりますから。やっぱり増税するなら富裕層に・・・っていうことをやっていく必要があるんじゃないかいと。別にその、のべつまくなし取るっていうんじゃなくて。私たちが設計している“富裕税”っていうのは、1000世帯に1世帯ぐらいの。まぁ、相続税の対象額で5億円ぐらいの資産を持ってる人に、3%ぐらいの税率で資産課税をやろうと。これ、フランスはやってるんですよ、ずっと。日本もかつてやってたことあるんですね。ところが、やめてしまった。やっぱりそういった形で「金持ちにしばらく頑張ってもらおうじゃないか」っていうのを、やっていいと思うんですけどね。

須田:共産党がいうと金持ちを敵視してそこから吸い出すというイメージがあるんですが、そうではなくて。今の日本というのは、特に20年ぐらい前と比べると、富裕層に非常に優しい税制なんですよ。逆に言えば、そういうお金を持ってる人たちに、税を軽減することで“もっとお金を使ってもらいましょう”“もっと投資してもらいましょう”というところがあったわけなんだけども。結果的にそれがまた格差を呼んでくることになってしまったと。それで僕が考えるに、税に一番大切なものって、「公平性と透明性」だと思うんですね。そういう点で、いま公平感ってあるんだろうか、この税制においてと。逆に言えば、消費税ということを考えてみるとね。やっぱり低所得者層に厳しいですよ。富裕層に優しい税制ですよ。まずそれをいれてしまうことによって、公平性が益々壊れていくことになるんではないのかなということがいえると思うんですよね。

小口:そのバランス取るのに、消費税が増やされたら、1万円ずつバラマキますよという話もありましたけどね。

小池:なんでそんなバカなこと考えるんですかね。返すんだったら、最初から増税しなきゃいいじゃないかって思いますけどね。

赤木:なんで1万円って数値になるのか、さっぱり意味がわからないんですよね。

大谷:どこから取るかっていう問題とか。海外では、生活必需品は税率下げて、その代わり贅沢品とみなされるものには税率を高くするとか、色々あるわけですよね。

赤木:でも結局、政府にお金を集めて再分配しなくちゃいけないんだけども。単純に増税がイヤっていう人もいっぱいいるわけじゃないですか。そういう人たちに向けて、むしろ増税をすることによってちゃんと公平な社会を作るんだっていうことをちゃんと説得できるのか。僕は疑問なんですよね、すごく。先ほども言ったように、政府の分配の方法というのは信用できないわけです。自分達にとってみれば、お年寄りや子供とか家庭を持っているところに、まずいってしまうのではないか。自分たちはずっと後回しにされるんじゃないかっていうことがすごくあるわけです。

小口:赤木さんはどんな政策だったら信用して納得できるんですか?

赤木:政策そのものじゃなくて、政府が出すこと。例えば、そうやってあるところにお金を集めて、それを分配するというシステム自体に本質的な信頼が置けなくなっている。これが一番の問題だと思うんですよね。僕も含めて。

須田:例えばね、民主党がやろうとして破綻しちゃったけど。「子ども手当て」って一体なんなんだろうかと考えてみたときに。恐らく、子供のいない世帯から子供のいる世帯に対する“所得移転”なんですよ、これ。ところが子供のいない世帯ってどうですかと。例えば、貧困で結婚ができない。結婚したけど、子供産むにはなかなか所得が増えていない。そうするとね、低所得者から子供を産んでハッピーな世帯に対して所得移転を起こすということは、どうなんだろうかと。矛盾を解決しない中で、そういうことをやっても何にも意味がない。頭の悪い政策だと思うんですよ。
そういうことをやってるから、さきほど赤木さんがいったように“分配が信用できない”「なんか自分たちは取られるばっかりで、全然見返りないじゃないか!」そういうムードが、貧困の人、あるいは若い人達に広まっていく。そのムードが広まること自体が、やっぱりリスキーなんじゃないかなと思うんですけどね。

小池:やっぱりそれは戦うしかないんですよ。労働組合も本当にもっとね、がんばらなきゃいけないと思うし。民主党が選挙で勝ったのも「うっかり一票、がっかり四年」と言われてるけども、でもね、やっぱりあれで政権交代ってことを一旦経験したわけだから。僕はね、赤木さんみたいに政治に絶望している人が多いのも、よくわかるんだけども。政治は選挙で変えることができるのを一回経験したんだから、前に進もうよと。税の使い方も含めて、僕らの要求ぶつけて政治変えてこうよと。戦っていくしかないですよ。誰かがやってくれるわけじゃないんだから。自分たちで要求して、政治を動かしていくっていうしかないんだから。

須田:一票いれたのは、我々有権者なんですよ。それで民主党を選んでしまったわけでしょ?その責任というのは、四年追うべきなんですよ。

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