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アイドル好きが高じてアイドルを目指した少女の話 - 白石さおり


1980年代初頭。12歳の誕生日プレゼントに松田聖子さんのシングル「裸足の季節」「青い珊瑚礁」「風は秋色」の3部作を買ってもらった。それまでは母専用で、クラシックしか奏でられなかったステレオから聖子ちゃんの歌が流れた瞬間の感動は今でも鮮明に覚えている。その日から聞いて聞いて聞きまくり、レコードの針が擦り切れたほどだ。

ビデオデッキのない時代。新聞の番組欄に松田聖子の文字に丸を付け、その時間になるとテレビの前から動かなかった。
ヒラヒラのミニスカートで小首をかしげて歌う姿に熱狂し、妹と一緒に歌い踊った。

今考えると、完コピどころか学芸会レベルにさえ達してなかったと思うが、誰かに見て欲しくて地元のお祭りやテレビの「ちびっこ歌合戦」に参戦していた。そんな中、母の実家に帰省した際に叔父が撮った1枚の写真で「ミスマガジン」に選ばれ、中2の春に私の写真やプロフィールが人気漫画雑誌の巻頭カラーに掲載された。

当時、「個人情報保護法」なんていうもの存在しない田舎では珍しかった名字の私の自宅には、すぐに東京から数件電話が掛かってきた。そのうちのひとつが「学研」という会社だった。

「新雑誌を作るから出て欲しい」と、わざわざ東京から福岡にあった近所の公園まで撮影に来てくれた。そのとき創刊号を初めて見せられたのだが、13歳の私には「衝撃が大きい」と編集者と母が慌ててページをめくりまくっていた。


雑誌名は「MOMOCO」。

見ることの出来るページは限られていたが、その雑誌のイメージ・ガールの女の子が恐ろしく可愛くて衝撃を受けた。黒目がちな大きな瞳にふっくらほっぺ、唇はさくらんぼのように小さくて輝いている。菊池桃子さんだった。

その日から私の心を占めるのは、聖子ちゃんから桃子ちゃん一色になった。

見聞きしたくないアイドルによる暴露

当時のアイドルというのは、ほぼ聖子ちゃんカットでデビュー
→1年ほど経つとショートにイメチェンが主流。

ところが、「デビュー当時の私は事務所に言われるまま〝ぶりっ子〟していただけ。本当の私は違うのよ!」なんて、当時、私が結構好きだったアイドルが発言した時には、どこか裏切られたようでガッカリしたことを覚えている。

昨今で言うと高橋由美子ちゃん。

デビュー前から某出版社で何度も見掛け、数年前まで舞台の楽屋等でもバッタリ会った。いつもデビュー当時のアイドルスマイルで挨拶を交わしていた…なのに、あれだ。

太った・劣化したでメディアに出ることは仕事だから当然だし、私だって諸般の事情で、たまには披露したくない48歳の素面で出ざるをえない時もある。だけど、元ファンの気持ちにもう少し寄り添って欲しかった。

テレビで酔ってくだ巻いての件ではない。あれはよくやったとさえ思う。さすが女優だ。番組側からのキャラ設定や演出は容易に想像できるし話題になったもん勝ち。

問題は週刊誌への対応。だけど写真誌だけは突然だから素の自分をうっかりさらけ出してしまう。泥酔してたとしても、見聞きしたくなかった残念な元アイドル事情。

元からそういう気質の子だったのか?
芸能界の浮き沈みで心が折れてしまったのか?
周りの人間関係で性格が変貌してしまったのか?

いずれにせよアイドル発の実力者なのだから、一刻も早く現状を打破して更なる美声を聞かせて欲しい。

話は戻るが、桃子ちゃんも"ラ・ムー"なんてロック・グループを結成してボーカルをやったり迷走した時期もあったが、キャラ変することなく、最近は政治関係のニュースなどでもお見受けすることが多い。容姿もデビュー当時と変わらずでメディアで見るたび嬉しくなる。

桃子ちゃんは今50歳。35年もルックスやイメージを変えず活躍しているアイドルって凄いと思う。そう、私にとってはいまだに桃子ちゃんはアイドルなのだ。

現アイドル界に「桃子ちゃん」はいるのかな?
見届けたいが私はその時83歳。生きていれば間違いなく呼んでいるであろう、85歳の女性に「桃子ちゃん」と。

白石さおりプロフィール
アイドル・オーディション評論家、タレント
本名・小野寺さおり、1969年12月5日、福岡県北九州市出身。 1983年「第2回ミス・マガジン」受賞。その後、各種、オーディションに出場し"ミスコン荒らし"の異名を持つようになる。一方で"ミスコンの女王"とも言われ、これまでに獲得したミスコンのタイトルは53冠。「日本で最もミスコンのタイトルを持つ女性」として知られる。

一時、ギネスブックにも申請するも、ミスコンの規模の大小から「厳正な判断がつかない」との理由から見送られた。1999年に漫画家・石ノ森章太郎の長男で俳優の小野寺丈と結婚。2児の母親だが、長男は「小野寺永遠」、次男は「星流」としてタレント活躍中。

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