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「更生、社会復帰への配慮が必要なくなる」この言葉自体が死刑執行だと感じます(光市母子殺害事件の実名報道)

光市母子殺害事件の裁判が最高裁で確定したことを受けてマスコミは実名と顔写真の報道に踏み切りました。
但し毎日新聞、中日新聞、東京新聞、西日本新聞は、少年法の趣旨を重んじ匿名報道を続けるとのことで、私はこの方針を支持します。

実名と顔写真報道に踏み切った理由は「更生、社会復帰への配慮が必要なくなるため」だからだそうです。47ニュースから抜粋しましょう。

実名報道と匿名報道 光市母子殺害事件で分かれる
http://www.47news.jp/47topics/premium/e/225841.php
(引用開始)
実名にした社は、最高裁判決で死刑が確定することになったため、少年法の理念である社会復帰の可能性や更生の機会が失われることになることを理由に挙げた。他に「国家によって生命を奪われる刑の対象者は(実名を)明らかにされているべきだ」(朝日)、「国家が命を奪う死刑の対象者が誰なのかは重大な社会的関心事」(読売)とも。
 これに対し、匿名を継続した毎日は「今後、再審や恩赦が認められる可能性が全くないとは言い切れない」ため、匿名で報道するという原則を変更すべきではないと判断した、としている。東京も「元少年の更生の可能性が直ちに消えるわけでは」なく、「少年法が求める配慮はなお必要」、と匿名報道の継続を明らかにした
(引用ここまで)


実名、顔写真報道の理由が、重大事件であり元少年も成年に達したため、というならまだしも、
「更生、社会復帰への配慮が必要なくなるため」
なんと残酷でやりきれない言葉でしょう。
これは「二度と社会復帰する可能性がない人間は、わざわざ更生する必要はない」と言ってるように聞こえます。
刑に処せられるまでの人生の最後の時間で、罪と向かい合い贖罪しようとする人間に
「もうお前は反省したり更生したりしなくていいよ、どうせ近々死ぬんだから」
と言い放っているようで・・・たとえ死刑囚であっても、人間は死ぬまで人間として成長する可能性があるのに、せめて死ぬ前に心の清らかな人間になろうと努力する人間らしさを「そんなものは無意味だし、死刑を待つだけの人間には、努力を評価するような人間らしい扱いをしてやる必要は無い」と否定されたようで、最後に残ったほんのわずかな尊厳さえも奪われた気になります。
「更生、社会復帰への配慮が必要なくなる」という言葉は、死刑執行前に既に死んだものとして扱っている、あるいはこの言葉自体が死刑執行であるかのように私は感じました。

(ところで「更生、社会復帰への配慮が必要なくなるため」実名報道するというなら、もし彼がまだ未成年であるうちに死刑が確定してても実名報道するってことかな?)

少年事件であっても衆目を集めた重大事件ならば、成人後実名報道することは珍しくはありません。
しかし、一連の異様な「殺せ殺せの人民裁判ショー」の経緯からすれば、コロッセオの観客は好奇の面持ちで手ぐすね引いて待っていたはずで、解禁とばかりにそれを公表するのは、新たに少年の顔と名前を憎悪の対象としたいという観客のニーズに応えたものではないでしょうか。
実名、顔写真報道はまさに「彼の子ども時代にまで遡っての公開リンチ」に等しい感じがします 。

社会は元少年に本当は何を望むのでしょう?
少年が贖罪の日々を過ごすことでしょうか、それとも死ぬまで憎悪の対象でいてくれることでしょうか。



彼の子ども時代といえば、幼少から父に虐待を受け、唯一自分を愛してくれた母は自殺し、その無残な遺体を目にした彼の精神の成長は止まってしまいます。
子どもの頃の元少年に一体どんな罪があってこんな残酷な罰を受けねばならなかったのか、本当に不条理です。
結局、人生のはじめから最後に息を引き取る瞬間まで、彼は排除され足蹴にされ憎しみの対象とされ続け最後はこういわれるのです「今更反省なんかしなくったっていいよ」

私たちは「生まれてこなければよかった、なんて人間はこの世には一人もいないよ」と誰かを励ますことがあります。
だが、元少年にとってはこの世とは最初から絶望の場所、まさに「生まれてこなければよかった」以外の何ものでもないのではないかと思えます。

最愛の奥さんとかわいい盛りの赤ちゃんを失った本村さんの心中は察するにあまりあります。私も何度涙したことか。
でも一方で幼少から不幸な生い立ちをたどり、最後まで排除され続ける元少年の人生を思ったときも、やはり涙がこぼれるのです。
彼は生まれてきて良かったと感じることができた事が、一度でもあったのでしょうか。

元少年は罪を償わねばならないーそれはいいでしょう。
でも、彼が罪を犯すことになったおおもとの原因は彼の不幸な生い立ちにあります。
虐待され、心の成長が止まってしまうような人生を彼に与えた罪は誰が償うのでしょうか?

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