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大石久和 災害対策を怠れば日本は最貧国になる

地震大国の災害対策はどうあるべきか

 今回の北海道地震は観測史上最大のものだったと発表されています。日本は地震大国です。同じような地震が他の地域で起こらないとは言えません。政府には地震大国としてどのような災害対策に取り組むべきか、しっかりと検討し、対応してもらいたいと思います。
 
 ここでは弊誌8月号に掲載した、元国土交通省技監で土木学会会長の大石久和氏のインタビューを紹介します。


月刊日本2018年8月号
posted with ヨメレバ ケイアンドケイプレス 2018-07-21

南海トラフ巨大地震で1410兆円が失われる

―― 現在、地震や豪雨など自然災害が続発しています。

大石 わが国は地震、台風、高潮、津波など大災害に見舞われる世界有数の「災害大国」です。6月18日には大阪北部地震が起こり、その後、西日本が歴史的な豪雨災害に襲われる中、7月7日には千葉県で震度5弱の地震が起こりました。災害対策は喫緊の課題だと改めて痛感させられます。

―― 一連の災害が起きる直前の6月7日、大石さんは土木学会会長として自然災害に警鐘を鳴らすレポートを発表しました。

大石 天変地異は決して絵空事ではなく、目の前の現実です。とくに首都直下地震や南海トラフ地震など「国難」レベルの大震災が発生するのは時間の問題であり、その日は着々と近づいています。しかし、十分な対策を施していない現状で巨大地震に襲われたら、日本は「世界の最貧国」になりかねません。

 このまま南海トラフ巨大地震が発生した場合、道路などのインフラ資産の損失で170兆円、道路、港湾、河川など公共インフラの破損に伴う経済活動の停滞で1240兆円が失われ、経済的被害は20年間で1410兆円に上ります。

 首都直下地震の場合は公共資産の損失で47兆円、公共インフラの破損に伴う経済活動の停滞で731兆円が失われ、経済的被害は20年間で778兆円です。

 しかも、ここでは道路、港湾、河川など公共インフラの破損しか検討しておらず、鉄道、電気、ガスなど民間インフラの破損は検討していないため、実際の経済的被害はさらに大きくなると思われます。

 平成30年度の一般会計予算は約97兆7000億円ですが、南海トラフ巨大地震の被害額はその約14・4倍、首都直下地震で約7・9倍です。わが国は今後30年以内に、国家予算8~14年分の経済損失を生み出すような巨大地震に襲われる可能性が高いということです。これらの数字は最悪の事態が起きた場合の推計ですが、最悪の場合、日本は世界の最貧国になりかねないということです。

 自然災害が国家の衰運を決定づけることは多々あります。たとえば大航海時代を切り開いたポルトガルは当時の覇権国でしたが、1755年に首都リスボンが大地震に見舞われて没落が決定づけられ、現在に至るまで世界主要国の地位を失ったままです。現在、わが国は国力が低下し、アジアの大国としての地位を失いつつありますが、そこに東日本大震災に続く巨大地震が起きたら没落が決定づけられてしまうのではないか。

―― 土木学会の推計被害額は従来の予測を大幅に上回っていますが、それはなぜですか。

大石 それは災害後20年間の経済的被害を推計したからです。自然災害が発生した場合、建物や工場、インフラなどの施設が破損して資産損失をこうむります。これは直接的・短期的な被害です。しかし、実際に建物や工場、インフラが破損したら経済活動が停滞して、持続的な経済的損失が生まれます。これは間接的・中長期的な被害です。実際、阪神淡路大震災後に関西経済圏が立ち直るまで約20年かかりました。……

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