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トランプは馬鹿か、戦略家か。両極端の市場評価を個人投資家はどう捉えるべき?=今市太郎


トランプの発言と政策を巡って相場は上下に動き、投資家は疲弊しています。ただ結果的にトランプの思惑通りになっている部分が多く、市場の評価も両極端です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2018年9月6日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

偶然か、作戦か。発想を大きく変えて市場に臨む必要が出てきた…

トランプの思い通りに動く世界

金融市場ではとにかく今年に入ってから、トランプがかき回す発言や政策を巡って相場が上に行ったり下に行ったりで、「これまでの経験値がまったく活かされない」と嘆く市場参加者が非常に増えています。当然、相場もやりにくさがピークに達しようとしています。

ほぼ2週間ごとぐらいに新たなテーマが浮上しては相場をかく乱することになるわけですから、一定以上の長期の投資を行おうとする投資家にとっては、確かに迷惑な存在であることは間違いありません。

しかしその結果を見てみますと、結構トランプの思い通りになっている部分も多く、これがたまたま起きたものなのか、作為的にその結果を獲得するために戦略的に行われているのか。市場の評価もかなり分かれつつある状況です。

またしてもトランプを「馬鹿」呼ばわりする暴露本が登場

今月11日に発売される米紙ワシントンポストの著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードの書き下ろし『Fear:Trump in the White House』では、トランプに危険な考え方をやめさせるように説得することが側近たちの大きな仕事になっており、かなり苦労していることを多くの事例を挙げながら説明しています。

過去形になっているのはゲーリー・コーン、ロブ・ポーターともに既に退任なのかクビなのかはっきりしませんが、その職を辞しているからで、マティス国防長官がトランプ氏の理解能力を「5~6年生程度」と酷評している内容も登場する始末です。

小説が売れない昨今、米国の出版業界ではトランプの暴露本はもっとも部数の出る書籍だそうで、国民の関心も高い状況にあります。

年初に発売されて話題となった『Fire and Fury: Inside the Trump White House』でも、トランプは人の顔を覚えない、書類はほとんど読まないなど、実は痴ほう症なのではないかと疑わせるような内容が多数記述され、この人物を大統領にしておいて本当に大丈夫かと、恐ろしくなるような書籍になっていたのは記憶に新しいところです。

一方で「かなり戦略的」との声も聞かれる

不動産業界で長くトランプと付き合いのある関係者は、こうした散々の評価とは別に、「トランプは決して馬鹿ではない」という見方をしており注目されています。

確かに清廉潔白なイメージで大統領に当選したバラク・オバマは、最初はそのイメージ通りの行動で非常に注目を浴び、ノーベル平和賞なども就任早々に手に入れることになりました。

しかし、結果的に見れば、歴代大統領の中でももっとも空爆を行った人物であり、クリントン時代から続いていた軍産複合体に操られていた部分も多く、黒人初の大統領であった以外は、多くの失望を国民に与える存在となってしまったことは間違いありません。

その失望がヒラリー・クリントンではなくトランプを大統領にさせたと見れば、既存の社会経済の仕組みに多くの米国有権者が辟易していることは非常によく理解できる状況ともいえます。

トランプは女性問題も次々でてきますし、メディアを敵に回していることからロシアゲートでもどこまで嘘か本当か判らないところで滅茶苦茶に叩かれているのは事実です。

また完全雇用に近い失業率を実現した中で、さらに大幅減税を進めればインフレがやってくるのは当たり前なのに、FRBのパウエルに利上げをやめるようプレッシャーをかけるなど、経済学に詳しい人間ならば明らかにおかしいと首をかしげるような整合性のない発言を繰り返しています。

既得権益を破壊した「革命的大統領」と呼ばれる日が来る?

しかし、中国叩きトルコ叩きで国民の支持は高まっていますし、クリントンに代表される軍産複合体、ウォール街、シリコンバレーべったりの既得権益者保護の政治をことごとくひっくり返してズタズタにしている点を評価する国民が妙に増えている点にも、注意が必要になってきています。

実は後になってみるとトランプは既得権益をすべて破壊した革命的大統領であったという評価が登場する可能性すらあるわけです。

中国叩きは覇権争いというよりは米国のビジネスの脅威となる「中国製造2025」をターゲットにして徹底的に叩こうとしていることが窺え、中国とべったりだったクリントン、オバマ政権にはできないような制裁を加え始めている点も支持者を増やすことにつながっています。

トルコの米国人牧師の解放を巡る制裁では、今まで必ずしも強い支持が得られていなかったキリスト教原理主義者から改めて喝采を受けているようで、このあたりの支持も強まりつつあるようです。

米国経済にも好影響

経済面では、中国や新興国を叩いたおかげで米国に多くの資金が回帰し始めており、これが債券金利を押し下げ、株式市場にも資金流入するきっかけとなって、米株は例年中間選挙年では夏から低迷するはずの株価が下押ししないという、きわめて特別な状況が展開中です。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

存在の良し悪しで考えると決して褒められた大統領でないことは事実ですが、こうした政策結果を見てみますと、それなりにしっかり仕組まれて言動しているようにも見えるわけで、馬鹿を装っているだけの可能性も否定はできません。

実は侮れない存在なのかも

トランプが適当な思い付きだけで政策を進めツイートを行っているとすれば、どこかで破綻をきたす可能性が高まります。逆に、相当練りに練った戦略性をもってことに当たっているとすれば、まだまだ軽視できない存在と見ることもできるわけです。

ご本人は2期・8年を全うするつもりで元気一杯のようですが、仮にトランプ政権が本当に8年継続してしまうとなると、投資を行う我々も既存の発想を大きく変えて市場に臨む必要が出てきそうです。

とくに為替・日本円に関しては、ここから重大な変更局面に直面するリスクは高まりそうです。トランプをどう評価するかについては、本当によく考えなくてはならない時期に来ていることを痛感させられます。

いくらトランプをこき下ろしてみても、相場で儲かるわけではありません。読者の皆さんは、トランプをどう評価されているでしょうか?

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image by:Evan El-Amin / Shutterstock.com

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