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スルガ銀行不正事件を「他山の石」とするためのコンプライアンス上の視点

昨日(9月7日)に公表されましたスルガ銀行第三者委員会報告書をもとに、近々金融誌に論稿を発表させていただきます。特集における何名かの執筆者のひとり・・・ということなので、私はガバナンスやコンプライアンス、内部統制の視点から・・・ということになります。

ということで、第三者委員会報告書の内容について、このブログではあまり論及しませんが、本事件を謙虚な気持ちで(自戒をこめて?)「他山の石」とするためには、当該第三者委員会報告書の内容だけでなく、同行を取り巻く過去と未来にも関心を寄せる必要があると考えます。

たとえばちょうど1年前のこちらの記事などは、スルガ銀行のすばらしいガバナンスが地銀トップの収益力をけん引している、と紹介しています。私は決して揶揄するつもりではなく、本当にこの記事を読めばスルガ銀行は非の打ちどころのないコーポレートガバナンスを構築しているように思います。もちろん、昨年の時点において不動産収益ローンの問題点を指摘する方々もいらっしゃいましたが、おそらく「事業リスク」としては取締役会でも議論されていたとしても、「不正リスク」としては把握できなかったのかもしれません。

いま流行の「取締役会の実効性評価」を行えば、同行はまず間違いなく日本の上場企業の中でもトップクラスの評価ではないでしょうか。著名な美術館を建築して地元に多大な貢献をしている創業家のもとで、著名な社外取締役らが次世代のスルガ銀行の経営戦略、経営方針の決定に向けて激論を交わしているということについては、まさに他社が模範とすべきガバナンスといえます。東洋経済さんの役員報酬ランキング2018でも会長さん、社長さんらが上位に名を連ねているのも、インセンティブ報酬礼賛の折、この業績からみれば当然のように思えます。

ただ、現実のスルガ銀行さんの資金利益の内実は第三者委員会報告書のとおりなのですから、コーポレートガバナンス・コードが理想とする「執行と監督の分離」(モニタリングモデルによる取締役会改革)の問題点が浮き彫りになったのではないでしょうか。スピード経営を重視して、現場への権限委譲を進めるガバナンス形態には、なにかが足りなかったのではないかと。

そしてもうひとつが同行を取り巻く未来です。同行の不正行為が明らかになった状況において、監督官庁がどのような処分を行うか、という点は極めて重要です。不正行為が明るみになったことで、不正に関与した者への個別的なペナルティを重視するのか、それとも過去の行為への制裁は別として、なによりも再発防止に向けた「組織としての構造的欠陥」への対応を重視するのか、という点です。ここ数年、金融行政における規制手法が大きく変化している中で、監督官庁はスルガ問題をどう受け止めるのか、その受け止め方に、現状の金融政策との矛盾は生じないのか、とても関心を抱くところです。

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