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続・ブロッキング法制はネット賭博にも適用せよ

さて昨日、「ブロッキング制度はネット賭博にも適用せよ」というエントリを書いたわけですが、私のエントリをいつも転載してくれているニュースメディア「Blogos」側で、私の記事にこんなコメントをする人が現れています。

>私と私の友人の渡邊雅之弁護士が2013年に起案して実現した質問主意書への政府回答によって明確化されました。

その後の2016年にオンラインカジノの利用で逮捕された方で、略式起訴に応じなかった人が不起訴になった。
以下その事件の担当弁護士のブログの引用

>本日時点において,オンラインカジノプレイヤーが対象となった賭博罪被疑事件で争った案件は国内でただひとつであり,そのひとつは,不起訴となった。言うまでもなく,不起訴は不処罰であり,何らの前科はつかない。平たく言うと「おとがめなし」ということだ。
https://ameblo.jp/gamblelaw/entry-12235518621.html

違法かどうかは最終的には裁判所の判断で、政府答弁はその材料の一つでしかない。2013年に政府答弁がされたけど、2016年に検察は裁判に持っていっても負けるなと判断しているようですね。(出所:Blogos

私としてはもはやウンザリなのですが、ネット上では2013年にインターネット賭博に関する刑法賭博罪適用の公式見解が出た後、この種の論を主張する人間が後を絶たないワケです。

大前提として申し上げると、2013年に出された「インターネット賭博に刑法賭博罪が適用される」という政府見解は、以下のような前提で回答が行われているものです。

衆議院議員階猛君提出賭博罪及び富くじ罪に関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b185017.htm

一から三までについて
犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断すべき事柄であることから、政府として、お答えすることは差し控えるが、一般論としては、賭博行為の一部が日本国内において行われた場合、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条の賭博罪が成立することがあるものと考えられ、また、賭博場開張行為の一部が日本国内において行われた場合、同法第百八十六条第二項の賭博開張図利罪が成立することがあるものと考えられる。
(下線部は筆者)
上記答弁書の下線部分に明記されていることではありますが、当該答弁は個別具体的な事犯に対して行われたものではなく、一般論として「ネット上で行う賭博」という行為類型に対して「賭博罪および賭博開帳図利罪が成立することがある」とする政府見解を確定したものであります。これは、特に刑法犯罪に対する個別事犯の犯罪成立の可否を判断する権能は、政府から独立した検察庁および裁判所以外に持たないからであります。

一方で、上記コメント者が主張している2016年に起こったインターネット賭博行為者が逮捕後、不起訴となった事案では、逆に検察庁は個別具体的な事案に対して犯罪該当性やその立証可能性などを判断した上で容疑者を不起訴としたのであって、それをもって2013年に行われた「行為類型としてのネット賭博は違法」という政府判断を否定することにはなりません。

そもそも、上記コメント者が引用しているブログの筆者である当該事件の担当弁護士は私も良く知る知人でありますが、彼自身も例の不起訴判断によって先に示された政府見解が否定されたなんて事は一切主張していません。

こんな事は社会常識の中で当たり前すぎる話なのですが、ネット上ではおそらく違法ネット賭博のアフィリエイトで儲けているのであろうと思われる方々が(そういう人は国内に沢山います)延々と上記のような「ネット賭博は違法ではない(もしくはグレーゾーン)」論を捏ね繰り回し、その情報をネット上に流布し、あたかもそれが本当であるかのような言説を形成してゆく。

結果として、我々が2013年に政府の公式見解を引き出して以降も、ネット賭博が留まるところを知らず、彼ら自身に自覚があるかどうかは別として違法賭博を行う刑法犯罪者が未だ社会に量産されているわけであります。

この現象そのものが、先のエントリで私が主張した「著作権侵害なぞよりも違法ネット賭博の方がより深刻に『対抗手段がない』のが現実であり、ブロッキング法制の対象としてまず検討が行われるべき」とする論を強化する現象であると言えるでしょう。マジメに対抗手段がないんですよ。ホント、どうにかしてください。

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