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二つの天災対策に共通すること

日本列島を襲った台風と地震の爪痕は天災日本を強く印象付けました。そして最近の天災による被害や影響度は過去に比べより大きくなってきているように感じます。それは複雑化するインフラや社会基盤に対して防災がついていっていないということなのでしょうか?

まず、関西空港の機能マヒについて浸水という脆弱性は海上空港ゆえにずっとわかっていたことであります。私がゼネコンに在籍していた時、あの空港建設には大いにかかわっていたのですが、「沈む空港」として工事に関与したすべてのゼネコン泣かせだった記憶があります。構造的に何かあった際には無理が生じるのかな、という気はします。その後、メガフロート型空港といったアイディアも出ていましたが、工法による長短が出た感がいたします。

それより、私が関空の件で一番びっくりしたのはタンカーが連絡橋にぶつかり、下り側車線の一スパンが一車線分、横ずれしてしまった件であります。想像するにこの一件には想定外がいくつも重なっているような気がしますが、基本的にはタンカーの船長の判断ミスのように感じます。

調査はいずれ発表されると思いますが、走錨(そうびょう)という錨を下ろしていても船がぐいぐい持っていかれる状態になった可能性が指摘されており、過去にも同様のケースが同地域であったと指摘されています。また日経によれば停泊地域が関空の定めた安全地域外ではなかったことも指摘されています。

船の世界では圧倒的権限を持つ一人の船長の判断ミスが引き起こした惨事だとすれば関空の構造的問題にまで指摘が及んでしまう可能性は否定できません。つまり「なぜ、連絡橋は一本しかないのか」であります。代替手段が取りにくい構造は早急に対策を打たねばならないことが改めて指摘されたといってよいでしょう。

例えば成田空港は対策が出来ているか、といえば私はそうは思いません。鉄道はJRと京成が入っていますが、あれは一つのトンネル、一つのアクセスルートをシェアしているのです。つまり、そこに何かあれば鉄道は両方とも簡単にストップします。これが私の指摘する脆弱性なのです。

では北海道の地震はどうだったのか、ですが、特に電力が完全に喪失されるブラックアウトが生じた点はお粗末だった気がします。北海道電力管内の電力がなぜ全部が止まる事態になったかといえば震源地に近い苫東厚真発電所が北電の発電量の半分近くを供給していたためとされます。電力供給はここがだめならあそこ、という簡単な図式ではなく、需給バランスの上で成り立つことは北電も十分わかっていたはずです。

事実、リバランスするための火力発電所は建設中で来年稼働だったそうですが、電力供給能力の高い泊の原発が止まっていることも影響しました。

3.11の際に我々は何を学んだのでしょうか?電源がなくなったらどうするか、という対策を考えたはずです。しかし、その発想は原発が安全停止するという枠組みの中での電源喪失対策だけだったとすれば何のために優秀な頭脳が集まって無数の会議をしてきたのでしょうか?

私はこのブログで何度もプリベンティブ(予防的)な措置を考えようと訴えてきました。そこには当然ながら「想定外の事態」に対して発想を根本的に異にする対策が必要だという点も含まれています。

日本は天災大国であり、これが日本の特徴であり、それらと対峙してきた、と美化すらする風潮もあります。確かに災害復旧は早いのですが、何か起きた時の話ではなく、起きる前にどれだけプランを持っているのか、B案がだめならC案、それがだめならD案…といったシナリオを普段から作り続けることが防災対策ニッポンへの道ではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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