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- 2018年09月07日 10:16
父親が病弱、実家は貧困。上京してがむしゃらに働くも、ホームレスに…。中野区社会福祉協議会の「地域活動担い手養成講座」にスタッフと販売者が出張講義
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ビッグイシューでは、ホームレス問題や活動の理解を深めるため、学校や団体などで講義をさせていただくことがあります。
今回の訪問先は「中野区社会福祉協議会」。「地域活動担い手養成講座」として開催されている50回の講座の一つを受け持たせていただきました。
ビッグイシュー日本のスタッフ、そして販売者のヤマノベさんがお邪魔しました。
地域や年齢層などによって、ビッグイシューの認知度に差があるのですが、この「地域活動担い手養成講座」に参加されているのは中野区にお住まいの方で「福祉に関心のある仲間を見つけたい」「地域のためにできることをしたい」という方が中心のため、半分弱くらいの方が『ビッグイシュー日本版』の購入経験があり、半分弱くらいの方が「知っている」とのこと。
福祉や助け合いに関心が高い人々が多いためか、興味深そうに聞いてくださる方ばかり。まずは「ホームレス問題」について簡単にお話させていただきました。
国が把握しているより実際には多いホームレスの人の数。
厚労省が発表した、最新の「路上生活者」の数は4,977人。
しかし実際には、厚労省が日中にカウントしているより、夜間のほうが2倍以上多いという民間の調査結果があります。

また、「路上生活者」ではなくても、自分の住まいを持たない人々や、寮つきの日雇い労働者など、住まいを失う恐れの高い人はもっとたくさんいます。

参考:稲葉剛『ハウジングプア』
そして、どんなものを失うとホームレス状態になってしまうのか、下記の( )の中に入る要素を参加者の皆さんに考えていただきました。

仕事を失う、家族とのつながりを失う(または家族に頼れない事情がある)、そして住まいを失い、貯金がなくなるなどの意見が出てきます。それらを次第に失うプロセスのなかで、周囲のサポートや各種の支援を受けられない・受けない場合には路上に出てしまうことになります。
さらに、ホームレス問題が厳しいのは一度路上に出てしまうと自力での脱出が困難だということです。
住所や携帯電話を持たない人、保証人のいない人を雇いたいという人はあまりいない上に、いたとしてもお給料の支払いが1か月後ではそれまで生活ができません。
現在の日本において自力で路上から脱出するには、「そびえたつ壁」のようなハードルにいきなり立ち向かうような状況なのです。

地域の担い手は、左の階段を一気に転げ落ちてしまわないよう、セーフティネットとして地域を見守る網の目を細かく張ることで、路上に転落してしまう人を減らすことができるかもしれません。
そのために、無理なく上がれるステップを用意しようとしている取り組みのひとつがビッグイシューです。
まったくお金を持っていない、頼れる人のいないホームレス状態の人でも、すぐに始められるお仕事として『ビッグイシュー日本版』という雑誌を発行していること、350円の雑誌を販売して、一冊あたり180円が販売者の手に入ること、それを少しずつ貯めていき、また、読者の皆さんとの日々の交流に支えられて路上を脱出していく事業であることを説明しました。

東北の実家には病弱な父、仕事でいない母。「他人が一つの家にいるみたいだった」
ヤマノベ:
僕は、東北の出身です。父は板前で、母は、僕が生まれた当時は夜の仕事をしていたので、僕と妹は、すぐそばに住んでいた母方の祖母の家で一緒に生活をしていました。
僕が小学校の頃に父が病気になり、子どもはおばあちゃん家っていう感じで生活をしていました。
スタッフ:
「他人が一つの家にいるみたいだった」と、おっしゃっていましたが、ご自身の居場所はありましたか。
ヤマノベ:
時間帯がまず合わないし、父を見るのも月に1回とか、2ヶ月に1回という感じでした。
学校に行って帰って来る頃には母親も仕事に行くので、休みのとき会ってもかしこまったような感じで、「おばあちゃん家行って来るね」って、言っていました。うちの家族は、箱の中にたまたま一緒にいるという感じでしたね。

今回の訪問先は「中野区社会福祉協議会」。「地域活動担い手養成講座」として開催されている50回の講座の一つを受け持たせていただきました。
ビッグイシュー日本のスタッフ、そして販売者のヤマノベさんがお邪魔しました。

地域や年齢層などによって、ビッグイシューの認知度に差があるのですが、この「地域活動担い手養成講座」に参加されているのは中野区にお住まいの方で「福祉に関心のある仲間を見つけたい」「地域のためにできることをしたい」という方が中心のため、半分弱くらいの方が『ビッグイシュー日本版』の購入経験があり、半分弱くらいの方が「知っている」とのこと。
福祉や助け合いに関心が高い人々が多いためか、興味深そうに聞いてくださる方ばかり。まずは「ホームレス問題」について簡単にお話させていただきました。
国が把握しているより実際には多いホームレスの人の数。
自力での路上脱出は困難
厚労省が発表した、最新の「路上生活者」の数は4,977人。
しかし実際には、厚労省が日中にカウントしているより、夜間のほうが2倍以上多いという民間の調査結果があります。

また、「路上生活者」ではなくても、自分の住まいを持たない人々や、寮つきの日雇い労働者など、住まいを失う恐れの高い人はもっとたくさんいます。

参考:稲葉剛『ハウジングプア』
そして、どんなものを失うとホームレス状態になってしまうのか、下記の( )の中に入る要素を参加者の皆さんに考えていただきました。


仕事を失う、家族とのつながりを失う(または家族に頼れない事情がある)、そして住まいを失い、貯金がなくなるなどの意見が出てきます。それらを次第に失うプロセスのなかで、周囲のサポートや各種の支援を受けられない・受けない場合には路上に出てしまうことになります。
さらに、ホームレス問題が厳しいのは一度路上に出てしまうと自力での脱出が困難だということです。
住所や携帯電話を持たない人、保証人のいない人を雇いたいという人はあまりいない上に、いたとしてもお給料の支払いが1か月後ではそれまで生活ができません。
現在の日本において自力で路上から脱出するには、「そびえたつ壁」のようなハードルにいきなり立ち向かうような状況なのです。

地域の担い手は、左の階段を一気に転げ落ちてしまわないよう、セーフティネットとして地域を見守る網の目を細かく張ることで、路上に転落してしまう人を減らすことができるかもしれません。
保証人や貯金、住まいがなくてもすぐに始められる仕事を提供する「ビッグイシュー」
そのために、無理なく上がれるステップを用意しようとしている取り組みのひとつがビッグイシューです。
まったくお金を持っていない、頼れる人のいないホームレス状態の人でも、すぐに始められるお仕事として『ビッグイシュー日本版』という雑誌を発行していること、350円の雑誌を販売して、一冊あたり180円が販売者の手に入ること、それを少しずつ貯めていき、また、読者の皆さんとの日々の交流に支えられて路上を脱出していく事業であることを説明しました。

日比谷の販売者が、ホームレス状態になった理由
続いて、日比谷駅の日比谷交差点にあるJALプラザの前で販売をしているヤマノベさんがホームレス状態になるまで、ビッグイシュー販売者になってからのことを話しました。東北の実家には病弱な父、仕事でいない母。「他人が一つの家にいるみたいだった」
ヤマノベ:
僕は、東北の出身です。父は板前で、母は、僕が生まれた当時は夜の仕事をしていたので、僕と妹は、すぐそばに住んでいた母方の祖母の家で一緒に生活をしていました。
僕が小学校の頃に父が病気になり、子どもはおばあちゃん家っていう感じで生活をしていました。
スタッフ:
「他人が一つの家にいるみたいだった」と、おっしゃっていましたが、ご自身の居場所はありましたか。
ヤマノベ:
時間帯がまず合わないし、父を見るのも月に1回とか、2ヶ月に1回という感じでした。
学校に行って帰って来る頃には母親も仕事に行くので、休みのとき会ってもかしこまったような感じで、「おばあちゃん家行って来るね」って、言っていました。うちの家族は、箱の中にたまたま一緒にいるという感じでしたね。

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