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人材育成に欠けていた都庁の三分野

 都知事として仕事をしていて、都庁に欠けている分野、問題だと思う分野が三つあった。第一は都市外交、第二は危機管理、第三は金融である。

 第一の都市外交については、2020年にオリンピック・パラリンピック大会を開催する都市としては、世界中と仲良くする必要がある。また、今や国家間の競争よりも都市間での競争でしのぎを削る時代となっている。。

 ところで、都庁には、外交を担う人材が不足している。姉妹友好都市が世界中にあり、また環境問題などで都市間の連帯が必要なときに、それでは困るのである。そこで、研修の意味も含めて、職員を海外の姉妹都市の職員として受け入れてもらったり、日本の在外公館のスタッフとして勤務させたりして、外交の実務能力を高めてもらう取り組みを行ってきた。

 金融の中心であるザ・シティにも都職員を派遣し、英語、外交能力、金融知識を磨いてもらっている。2020年オリンピック・パラリンピック大会を機に、自前で都市外交を推進できる人材を養成しようというのが、私のかけ声であった。

 第二は危機管理である。「水と安全はただ」だと思っているのが日本人である。組織にとって危機管理が重要な課題だという認識があまりなかったのが日本であるし、とくに都庁においては、国の機関に比べて、その傾向が強く、危機管理を担う人材の養成ということは行われていなかった。

 外交もそうであるが、危機管理も一朝一夕に人材が養成できるはずはない。20年後、30年後を見据えた人材の養成が必要である。そこで、私は、若い職員から選抜して、日本及び海外の危機管理専門機関に派遣し、研鑽を積ませることにした。彼らがプロの危機管理専門家に育っていけば、自らの組織は自らの意志と能力で危機管理指揮をすることができるようになる。

 第三は金融である。東京都は、スウェーデンや韓国なみの国と同様な規模の大自治体である。一般会計7兆円という財政規模の巨大な都市にしては、金融の専門家が少ない。

 これを何とかしなければ、東京は世界一の都市にはなれないというのが私の認識であった。現に、グローバル企業のアジアのヘッドクオーターはシンガポールである。シンガポールは英語が公用語であるし、規制緩和も進んでいる。だから、都の職員に英語をもっと磨けと発破をかけてきてし、外国企業がビジネスをしやすい環境を整えてきた。

 日本が昔日の繁栄を取り戻すためには、東京が国際金融都市として大きな飛躍を遂げることが不可欠である。そこで、専門家からなる有識者会議に諮りながら、国際金融センターを日本橋に構築するための取り組みを推進することにした。

 このような取り組みを積極的に行うことによって、都の職員にも国際金融の現場を体験させようとしたのである。先述したザ・シティへの職員派遣もその一環である。

  以上、三分野の人材育成は、誰が知事であっても継続すべき課題である。

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