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カンボジアで事業をする際に重要な事(雇用編)

私が筋肉痛でウンウン唸っていると知った日本の友人達から、「何で筋肉痛になるまでやったの?従業員に手伝わせなかったのか?」と言われました。
なるほど、カンボジア人の事を知らない人はそう思うんだろうな、とフト思いましたので、折角の機会ですので日本企業がカンボジア人の従業員を雇用する際に頭に入れておいて頂きたい事を少々述べたいと思います。

あくまで一般論ですが、多くのカンボジア人の従業員は、自分から進んで仕事をするという事はありません。余計な事をやって怒られたり、責任を取らされたくないからです。リーダーなりマネージャーなりがスタッフに指示する必要があります。自分から仕事を探して動くなどという事はまずありせん。期待しても無駄です。

ではどうしたらいいのか。

例えば、『広い場所(工場や倉庫など)を何人かで掃除する』という作業を想定したとします。

なぜ『広い場所の掃除』を例に挙げるかといいますと、これは作業の進め方、つまり分担作業で頭を使ってやらないと時間内に終わらず、上手くも出来ないという、実は大掃除は共同作業としては結構難しいレベルの作業だったりするからです。
(構成は、日本人の現場責任者(あなた)、スタッフに指示し管理するリーダー2~3名、スタッフ20名といった規模の作業を想定しています。)

リーダーに対して、単に「掃除をしておけ」という指示を出すだけでは、まずもって全く作業が進みません。放って置くとあちこちで各々で勝手に掃除を始め、時間が掛かるだけで、非効率で仕上がりの悪い結果になります。下手をすると就業時間が終わってしまい、作業が終わらないまま途中でみんな帰ってしまいます。

作業を進めるに当たっては、まず、全体の流れを全員に説明します
例えば、「まず全ての窓を開け、最初は、高いところのホコリを落とし、その後、出口から一番遠い端っこから出口に向かってホコリを掃き出す。それが終わったら、また奥の方から出口の方向に向かって床をモップがけする。」という様な事を説明します。

これだけで作業が出来ると思ってはいけません。

この後はチームごとに(場合によっては個人別に)作業するエリアを指定して、「あなたはここからここまでのほうきでの掃き出しを何時までに終わらせ、あなたはここからここまでのモップがけを何時までに終わらせる様に」という風に、作業内容・時間・範囲などを細かく指定し、指示をしないといけません
リーダーには、時間以内に作業が終わるように、進捗を監視させ、遅れているスタッフを注意させます。このリーダーも放って置くとサボりだし、どこかに行ってしまったりするので油断が出来ません。リーダーには別途、仕事に対する責任についてをキッチリ教え込む必要があります。

そして、使う道具を指定し、ほうきの掃き方やモップがけの仕方、角やカーブはこういう風に掃除する様になど、実際に自分でやって見せて、見本を示さないといけません

そして最も重要なのは、上手く出来ているスタッフを時々褒めてやり、自尊心を満たしてあげ、やる気を育てる事です。これは意外と日本人は苦手だったりします。日本には人を褒めるという習慣があまりありませんからね。

山本五十六元帥ではありませんが、まさに、『やってみせ、いって聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ』そのものなのです。

これは工場だけではなく、私が管理をしている農園でも同じでして、私は何度も大変な目にあいました。
建築現場などはもっと大変でしょうね。
余談ですが、カンボジアで建築をする際の『工期』や『見積り』は目安でしかなく、工期は延び、必要資金は増えるのが当たり前です。下手をすると、「工事が完了するまでが工期だ」なんて事を平気で言う業者もあります。
先日のスワニーさんの工場建設の話で私が感心したのは、格段に違う出来栄えだけでなく、工期も伸びず、予算内に完了した事に対してなのです。

これは日本では当たり前の事ですが、カンボジアでは驚愕に値する事だったりします
スワニーさんの工場を施工したゼネコンの日本人技術者の方は、冗談抜きで、もう本当に大変だったと思いますよ。私は農園で20人弱を管理するだけでも泣きそうになりましたから。
分かる人でないと、この苦労は分からないかと思います(泣)。

ちなみに、何でカンボジアの人たちは共同作業・分担作業が苦手かといいますと、カンボジアの人は学校などで『共同で作業をする』という機会がなく、その教育もほとんどされていませんので、我々日本人が当たり前に出来る協調行動や分担作業が苦手なのではないかと私は勝手に思っております。

カンボジアの学校では基本的に体育祭や学園際といったものがありませんし、大掃除といった共同作業もありません。チームに別れ、作業を分担して何かを作ったりという事をする経験がほとんどありませんので、大人数で何かをやろうとすると各々が何をやっていいのか分からなくなるのだと思います。スタッフに指示するリーダーなども上の人が決めないと何も始まりません。とにかく共同作業・分担作業が苦手です。

以上の事を考えますと、共同作業・分担作業を効率よく進めるために我々がまず最初に必要になる作業は、『器用で気の利く真面目な人(少ないけれどいます)をリーダーやマネージャーとして採用し、日本人の考え方や仕事のやり方を教え、日本人が求めるリーダーやマネージャーに育てる』という事になります。
スタッフにきちんと指示が出来るリーダーやマネージャーといった中間管理職が育たないと、いつまで経っても自分で直接指示しないといけなくなり、あなたの時間は足りなくなる一方で、一向に事業は拡大しません。

優れたリーダーやマネージャーといった管理職をいかに早く育てるか、その後は、育てた管理職をいかに引き止めておくか、が重要だという事ですね。

そうそう、カンボジア人は他社から高い給料を提示されるとすぐに辞めてしまうと思われがちですが、彼らは意外と義理人情に厚く、やりがいや人間関係も重視します。彼らを引き止めたいのであれば、褒める本人の実力を認めてあげる実力に合ったポストや肩書きを用意してあげる時々食事や飲みに連れて行ってあげる、といった人間臭い事も結構必要だったりします

ちなみに、私が管理しています農園のプランテーションマネージャーはまだ20代の若者ですが、いい感じで人間関係が出来ており、すでにこちらの望む仕事のレベルを理解していますので、指示した以上の結果で応えてくれます。私がすごく助かっているのは言うまでもありません。

最初はイラつく事が多いカンボジア人ですが、上記の事と、最初から色々出来る日本人の方が世界的に見て特殊なんだという事を理解して頂く必要があります。
その上で、彼らに日本人の考え方を理解させ、やり方を教育すれば、その内きちんと応えてくれる人材になりますので。

タイガーバームのローションが何気に効果がある事にちょっと驚いています。

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