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干し柿で1000億円を集めたケフィアは、投資サギの要素が全部詰まっている。

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■和牛商法の安愚楽牧場に似ているケフィア。

そして、カネ余りと言われる現在の状況で企業の資金調達は容易になっている。貸し出し金利も非常に低い。したがって上手く行っている事業で資金が必要な時に、わざわざ手間のかかる個人を相手に数万円~数十万円単位の小口で、しかも高い利回りを約束して資金を集める必要性は全くない。

当初は実際に配当や利息を払って信用させるのも、ポンジ・スキームと言って典型的な投資サギのやり口だ。利回りが20%ならば、手元資金が無くなるまで単純計算で5年は破綻しないですむ。実際には事業をやっているように見せるためのコストや、社員に支払う給料もあるため最初に集めた資金だけで5年は維持できないが、ケフィアは猛烈な勢いで集金力を高めていた。

東京商工リサーチの取材にケフィアの担当者は上記の通り、2017年にはオーナー制度等で900億円も集めたという。2017年7月期に集めた900億円は20%の配当を払ってもまだ多額の資金が手元にあるはずで、残りは全て干し柿等の製造をするために設備投資を行ったのか。もしそうでなければ、ここ5年で集めた資金は昨年11月に止まるまで支払われていた配当以外にどこに消えたのだろうか?

もし筆者の元に客として訪れた相談者から「半年で10%の利回りを得られるという、安全に儲かる投資話をどう思うか?」と相談されたら、5秒も考えずにサギだからやめましょうと答えるだろう。定期預金の金利が年利0.1%もつかないご時世に、安全に、あるいはリスクがゼロなのに半年で10%は冗談のレベルということだ。

ケフィアの事例は当初からサギの意図があったのか、途中から自転車操業的にサギに突入していったのかまだ不透明な状況で、これは和牛商法で4000億円超という投資サギ史上最大の負債を抱えて破綻した安愚楽牧場(あぐらぼくじょう)に近いものを感じる。安愚楽牧場も多い時で国内で飼育される牛の1割に関わっており事業の実態はあった。

■豊田商事事件で戻ってきたお金はたったの1割。

冒頭で契約者は大損をすることはほぼ確定したと書いた。実際に損をした人には腹が立つ話だと思うが、1980年代に当時最大の投資サギ事件となった豊田商事事件でも結果的に被害者に戻ってきたお金は1割に過ぎない。

豊田商事事件ではのちに整理回収機構の社長を務めて「平成の鬼平」と呼ばれた弁護士の中坊公平氏が中心となり、日本全国を駆けずり回って暴力団に殺されかねない危険を冒しながら、文字通り命を削るように資金を回収した。そこまでやっても100億円程度、被害額の1割程度しか被害者にお金は返せなかった。

契約者の被害額を仮にケフィアの負債総額と同じ1000億円と見積もって、現在のケフィアに負債の1割、100億円も手元資金があれば支払いは滞ることはなく、まだ破産宣告には至らなかったと思われる。被害対策弁護団が早急に破産宣告を申請した理由も、被害が拡大することを防ぐため、それに加えてケフィアが保有する資産を保全して少しでも多くの配当を債権者(被害者)に戻すためだろう。

蛇足となるが、投資サギの被害が発生するたびにFPとして何とも言えない無力感を覚えてしまう。現在報じられている被害額は、消費者庁が把握しているだけで340億円、被害者数で2万人超となっている。破産宣告時の負債総額は1053億円、債権者数は3万人超だ。

各種報道でも、数百万円の資金をつぎ込んだ、親子で1500万円も払った、毎月5万円を積み立てるようにお金を投じていた、といった被害者の話も多数報じられている。前述の通りお金を投じている立場でありながら自身を客と勘違いしている人もいる。

相談をしてもらえれば5秒で「冗談のレベルの投資サギ」と分かるような話で1000億も集まるのかと唖然としてしまうが、数百万とか数千万と言ったお金を投じる際に、相談相手としてFPが選択肢に上がらない状況はFPの信用度の低さを端的に示しているともいえるだろう。世間のFPのイメージは保険の営業マンくらいだと思うが、FPのおかげでサギのトラブルが減った、と言われる位になればそのイメージや信用度は飛躍的にアップすることは間違いない。

巨額の被害に発展してしまったが、早期の解決を期待したい。

※本稿の執筆にあたって、ケフィアのトラブルについて最も取材で先行している東京商工リサーチの記事を多数参照・参考にさせて頂いた。

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中嶋よしふみ ファイナンシャルプランナー、シェアーズカフェ・オンライン編集長

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