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労働力不足を高齢者雇用で乗り切る時の注意点 - 塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

 労働力不足が深刻です。今後も少子高齢化による労働力不足は続くでしょう。そうなると、企業としては高齢者を活用せざるをなくなるはずです。一方で、人生90年時代、100年時代を迎えて、元気な間は働きたい、と考える高齢者は増えるでしょうから、高齢者の雇用は需要面からも供給面からも増えるでしょう。

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 高齢者は、1日4時間しか働けない、といった体力的な問題を抱えている場合も多いでしょうが、雇う側から見て望ましい点も少なくありません。経験があること、総じて真面目であること、などに加えて、高い給料を要求しないことです。

 労働市場で高齢者は圧倒的に不利であることを知った上で仕事を探すわけですから、「老後のために少しでも稼げれば有難い」「世間との繋がりを維持して孤独を避けたい」「少しでも世の中の役に立っているという実感を得たい」といった謙虚な気持ちの高齢者が多いはずです。

 それを利用するとなると、「やりがい搾取」と揶揄されかねませんが、「やりがい搾取」というのは搾取される側も満足しているから成り立つわけで、ウインーウインの関係だとポジティブに捉えましょう。

 では、高齢者を活用するために、企業は何をすれば良いでしょうか。考えてみましょう。

 まずは、小さな失敗でノウハウを獲得することですね。いきなり大人数の高齢者を雇うのではなく、まずは1人か2人を雇ってみて、どんな問題が起き得るのか、それに対して如何なる制度や対策が必要なのかを見極めて、制度やマニュアルを整備することでしょう。短時間労働の人、体力に自信の無い人、忘れっぽい人、集中力が続かない人、等々を如何に活用していくか、様々な工夫が必要となるでしょう。

 おそらく、もっとも問題となるのが社内の融和でしょう。そのためには、腰の低い人を採用することが最も重要だと思われます。セカンドキャリアで働く人にとって、新しい職場は前の職場より規模が小さいでしょうから、「こんな零細企業は俺には不似合いだ」などと思いながら仕事をする人もいるでしょう。あるいは、自分より遥かに若い人にお仕えすることに抵抗感を覚える人もいるでしょう。そうした人を雇ってしまうと、社内の雰囲気が悪化しかねませんから、能力がありそうな人でも雇わないでおきましょう。

 正社員として雇ってしまうと、解雇は面倒でしょうから、「副業としてセカンドキャリアの助走をしたい」という人をアルバイトとして雇ってみるのは選択肢でしょうね。職場に馴染める人であれば正社員の仕事をオファーすれば良いし、そうでなければ別の人をアルバイトとして雇ってみれば良いわけです。

 働く方も職場に馴染めるか否か不安でしょうから、とりあえず働いて見て、仕事もこなせ、職場にも馴染めることが確認できたら、その時点で転職するか、定年を待って転職するかを決めれば良いわけです。

雇う側も謙虚になるべき

 働く側だけに謙虚さを求めるのではなく、雇う側も謙虚になると良いですね。それぞれの会社にはノウハウがあります。大きな会社であればあるほど、多くの知恵が結集したノウハウを持っているはずですし、多くの失敗事例を経験し、失敗を防ぐためのノウハウを持っているはずです。したがって、大きな会社に勤めていた人から教わるノウハウは少なくないはずです。それを教えてもらって素直に受け入れる、という謙虚さがあると良いですね。

 また、自分たちのやりかたに慣れてしまうと、それが当然だと思ってしまう場合も多いのですが、部外者から見ると「なぜ、そんな事をしているの?」と思われるようなことも多いでしょう。大企業であれば、人事異動で別の部署に移った時に「前の部署の方が良かったことは新しい部署で提案し、今の部署の方が良いことは前の部署に提案する」といったことも可能ですが、小さな会社だとそれが難しいので、外部から来た「新参者」の意見は重要なのです。

 教える側が「教えてやろう」などといった態度ではなく、「企業文化が違うので、受け入れていただける所は少ないかもしれませんが、とりあえず気づいた点をご報告いたします」といった提案書を相手を選んで手渡すこととし、受け取った側がそれを謙虚に検討する、といったことができれば良いですね。

 ちなみに、受け入れる人の経歴ですが、会社側のニーズが特殊なものでない限り、あまり厳格に考える必要はないでしょう。日本企業のサラリーマンは「ジェネラリスト」が多いので、「与えられた仕事は何でも一応は無難にこなす」という訓練ができているからです。

 営業の仕事であれば、何の営業でも経験は経験でしょう。「自動車の営業マンを中途採用したら銀行の営業マンとして活躍した」という話を聞いたことがありますし。経理となると、経理の経験者が望ましいでしょうが、それも勉強すればできないことはないでしょう。

 製品開発の人材を募集するのであれば、経験者である方が望ましいには違いありませんが、それとて異業種で製品開発を担当していた人であれば何とか対応できるかもしれませんし、もしかすると意外な発想から思いもよらなかった新製品が開発できるかもしれませんよ。

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