


ペナントレースも後半戦に入ったプロ野球界ではCS出場をかけた熾烈な戦いが続くが、スタジアムでは美女たちによるもう一つの“熱闘”が注目を集めている。それは千葉ロッテマリーンズが今年から始めた球界初の「売り子ペナントレース」だ。
ロッテの本拠地「ZOZOマリンスタジアム」でビールやサワーを売り歩く「ビールの売り子」88人が、年間の総売り上げ杯数を競い合っているのだ。現在トップの女性は「1万890杯」を売り上げているという。最終的な優勝者には、ハワイへの往復ペアチケットが贈られる。
今回はそんな競争の知られざる“裏側”に密着した。彼女たちの1日は、試合開始(この日は18時~)の2時間前の「朝礼」から始まる。そこでは新しい売り子による挨拶や、その日の注意事項の伝達などが行なわれる。その後、まだ観客もまばらなスタンドに、重いタンクを背負った売り子たちが一斉に飛び出していく。
球団によってルールは異なるが、ZOZOマリンスタジアムでは売り子ごとの「担当エリア」などは決まっていない。売る場所も方法も、すべて売り子次第。1杯でも多く売るために、それぞれが工夫を凝らしている。
現在、同レースで6位につけるミシェリさんが、売り上げ増の秘訣を教えてくれた。ネイリストを目指して専門学校に通う彼女は、学費や一人暮らしの生活費を自分で賄っており、試合のない日はバーテンダーのアルバイトをしているという。
「ビールと違ってサワーは2杯目以降の注文が多いので、常に周囲に目を配るようにしています。サワーは味が5種類あるんですが、常連さんによって好みが違うので、どれくらいの濃さ・割合で作るかを覚えるようにしています。そこはバーテンダーの経験が生きているかもしれません(笑い)」(ミシェリさん)
取材・文■田中周治 撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2018年9月17日号