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平成24年2月18日

ねじれ国会での与野党協議の重み

 メディアでいつも訴えているのですが、私は国会の一院化には反対です。先進国では二院制が当たり前で(ただし両院が異なる性格を持つ場合がほとんど)、両院間のねじれは国会を熟議の場にするプラスの要素ととらえられているからです。
 ねじれを解消するためとして自民党と民主党が合併することにも反対。むしろ同じ理念を持つ議員同士が集まり(特に民主党が割れ)政界再編が起きることを目指すべきだと考えていますが、これにはしばらく時間がかかるでしょう。

 いずれにせよ、ねじれ国会を前に進めていくためには、徹底的かつオープンな国会での議論とその結果としての与野党間の合意形成を目指すことこそが何より必要になってきます。(その与野党合意の指針は、例えば直近の国政選挙の民意の方を尊重するですとか、憲法上制度化されている両院協議会を活用し各院のメンバーを会派構成比に変更したうえ議決要件を過半数にするとか、色々工夫があるでしょう。若手超党派国会改革勉強会でも試案を提示しています。)

 この与野党間の合意がきちんと守られなければ、難しい国会運営などできるはずがありません。

 今回の高校無償化をめぐる国会の空転は、自・公・民各党が昨年8月9日付で交わした「確認書」で明定されている「政策効果の検証と必要な見直しの検討」について、民主党の閣僚が全く不誠実な答弁を繰り返して審議が続かなくなり、予算委員長が休憩を宣言したことによって生じたものです。
 そして2月14日に、民主党が、与野党の新たな確認書の中で、「対応について不誠実であるとの批判を真摯に受け止め、謝罪する」「政策効果の検証と必要な見直しの検討につき政党間協議を行う」「引き続き予算審議の中で論議を深め、上記の協議を踏まえ、必要に応じ予算に反映させることも含め、誠実に対処する」としたことによって、審議が動き出したというのが「真実」なのです。

 一部報道で自民党が審議拒否をしたとか、与党も野党もどちらも悪いなどとされていますが、全く当たらないことは明らかです。与党には今回のことをきちんと反省してもらう必要がありますし、ガソリン税をめぐる混乱で与野党合意が無視されたり今回の事例があったりしたことで私は民主党を全く信用できないことから、「必要法案を通したうえでの話し合い解散」などというアイデアには到底乗れないと主張しているのです。
 なお、こうしたことをなくすためにも、国会中継は一般質疑も含めきちんとゴールデンタイムにオープンにテレビ放送することが必要だと、仲間たちとともに訴えています。

 そして与野党協議でもう一つ注目を集めているのが、衆議院選挙制度改革です。

 こう着していた議論が、私も賛成している自民党の案に民主党が近付いてきたことによってようやく動き出しました。すなわち次期総選挙に限った緊急措置として、自民党主張のとおり小選挙区の「0増5減」を行って一票の格差を是正するとともに定数削減を行い、さらに比例枠を削減しつつ少数政党に一定の配慮を示すということです。

 ただし上記の民主党案はまだ「樽床案」であって民主党内部の集約が済んでおらず、さらに比例枠の削減を80(総数180のうち)とすることに公明党などが反発し、また少数政党への配慮の方法として「連用制」というかなり偶発的に少数政党を偏重する(憲法違反との指摘まで一部にある)仕組みに言及していることなどから、まだ決着までには時間がかかりそうです。

 もし民主党が、選挙を先送りする口実にこの問題の引き延ばしを利用しようとするのでないなら(もちろん解散自体がこの問題が決着しないからといって法的にできなくなるわけではありませんが)、さらなる改善を提案するべきです。比例枠の80減は民主党のマニフェストに書いてあるから譲れないということですが、既にマニフェストは総崩れになっているのですからここで頑張る意味はありません。むしろ最高裁判所が違憲と判断した一票の格差の問題に、国会が成案を得ることでひとまずの決着を得ることが重要なのです。

 これから総選挙があり自民党が多数を取っても国会はねじれることを考えると、「与野党協議の重み」は引き続きしっかり受け止めていくべきです。

自民党エネルギー問題へのひとまずの決着

 2月15日に、山本一太委員長のもとで党の正式機関となっている「総合エネルギー政策特命委員会」にて自民党のエネルギー政策についての一応の集約がなされました。

 河野太郎議員たちが代表世話人となり、私が事務局長を務めている「自民党エネルギー政策議員連盟」は、現実的な原発依存からの脱却や業界との癒着の解消、多様な主体による分散型技術革新、世界に先駆けた再生エネルギービジョンの実現を主張し、党の正式方針に取り入れてもらうためにギリギリまで努力を続けました。
 私たちの主張はこの欄でも紹介したとおりで、商業用原子炉の新増設・更新を行わず、運転開始後40年を経過した原子炉は廃炉にする。使用済み核燃料の乾式貯蔵による長期貯蔵施設を建設する。NPT(核兵器不拡散条約)に加盟していない国への原子力関連物品・サービスの提供を行わない。2020年までに水力を含む再生可能エネルギーの導入目標を現在の需要量の20パーセントとするとともに、企業の生産性と国民生活の利便性を損なうことなく、同じ時期までに20パーセントの省エネを目指す。東電は債務超過になった時点で破綻処理を行い、国有化後に発送電分離を行う。スマートグリッドの普及に努める。原子力規制庁は独立の三条委員会として新設する。国会の事故調査委員会での調査結果を踏まえて原発再稼働は行う…かなり野心的な提言でしたが、党の方針には、一定の方向は取り入れていただいた部分もあると思っています。数字が入らなかったことは残念ですが。

 今回の方針は中間的なものなので、引き続き活動を続けていきたいと思います。また、除染や健康への配慮に基づく方針をどうするかについてもきちんと検討していきます。

 私たちの上記提案のうち、原子力規制庁を国家行政組織法三条の独立行政委員会とすることに、党内でも相当異論が出ているようです。しかし諸外国の実例や、IAEA(国際原子力機関)の基準に照らせば、政府が出している今の、独立性の乏しい環境省の外局とする法案に乗れないのは明らかで、菅前総理が海水注入を止めさせようとしたりベントに口出ししたりするなどしたことを二度と起きないようにすることからも、行政から規制庁の独立を確保することは必要です。規制庁の誤った判断の責任を行政に問えないなどという声もありますが、国家機関であり、国会同意人事でも名簿は政府が提出するのですから、そのようなことはありません。

財政のまっとうな議論を

 財政の問題については、消費税増税はやむを得ないとは思いますが、民主党政権になってからの予算が10兆円増えていること(復興のための補正予算を除く)に鑑みれば、5パーセントの引き上げによる税収のほとんどは、民主党の上記の歳出増、具体的には(相当は挫折したものの)マニフェストや、事業仕分けでもほとんど切り込めずにむしろバラまきの人気取りで復活させたり事業効率化を先送りしたりしたりしたことの、言わば尻拭いに使われていると言わざるを得ません。
 公務員人件費の削減のみならず、少なくとも自民党政権並みに予算規模を縮小してから(私はさらなる改革を主張していますが)、また景気対策をしっかり講じつつ、増税論議をして欲しいものです。(しかも2014年だからマニフェストに反しないなどという姑息な説明を一切やめて欲しい)

出番を回避せず

 前回のこの欄で触れたとおり、おかげさまで国会内外で様々な活動の場をいただきます。しっかり答えていくとともに、活動状況を対外的にお示しする努力を進めて参ります。

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