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東京都の税収が地方へ・・・政府との交渉能力の欠如が背景に

 来年度税制改正に向けて、永田町・霞ヶ関が動き出すときがきた。豊かな東京都から税収の一部を国が巻き上げて地方に配分するのが、最近の状態となっている。来年度も、最低3000億円は奪われそうである。

 国会議員時代には、自民党本部の税制調査会に出席し、同僚議員と激論したものだ。その後、地方自治体の長(都知事)として税制改革に対応したが、国政の場にいたときとは異なる観点からアプローチする必要があり、それはそれで容易なことではなかった。

 とくに東京都は地方の県に比べて豊かであり、他県から「東京一人勝ち」といった恨み節を聞かされ、東京一極集中が諸悪の根源であるかのような批判にさらされる。

 私が都知事に就任したとき、年間3000億円もの都民の税金が国によって召し上げられ、地方に配分されていた。3年程度の暫定措置として導入された地方法人特別税が6年間も続いていたのであり、これの廃止に取り組んだ。

 しかし、富の偏在を是正し、国土の均衡ある発展を図るためには、何らかの是正措置が必要だという主張もまた一理ある。さらには、東京の中でも23区と市町村の財政事情は同じではない。

 私は、宮沢自民党税調会長をはじめ多くの関係者と何度も議論を重ねた。東京と地方を二律背反的に考えるのではなく、双方に利益がある、いわばwin-winの関係が構築できるような税制改正が望ましい。そのためには、日本の税制を長期的にどのように改革していくのかとい視点が不可欠である。

 たとえば、税財源の不安定性は東京都にとっては悩みの種である。不景気で税収が激減したときに備えて、常に資金を蓄えておかねばならない。それは、法人事業税・法人住民税に過度に依存する財源構成だからである。

 法人税の抜本的改革について議論を始める時期が来ていると思う。そもそも法理論的には、地方税財源は固定資産税と住民税が最も論理一貫しているが、それに加えて、法人税と消費税との関連についても踏み込んだ検討が不可欠である。消費税については、国・地方の税収配分比率も当然問題になる。

 さらには、「この国のかたち」をどうするのかというヴィジョンがなければ、税制改革もまた不十分なものになる。税は政治そのものであり、租税特別措置の撤廃が困難なのも、既得権益を守ろうとする勢力が政治的影響力を行使するからである。

 政治指導者には、オーケストラの指揮者のように多方面に気を配り、一つの曲にまとめあげる能力が必要である。その能力を、大衆迎合のポピュリスト政治家に求めても無理である。

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