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  • 2012年02月17日 19:06

ミャンマー難民が日本に来たがらない理由

 『読売新聞』に「たった2家族…日本に定住希望のミャンマー難民」という記事が掲載されており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

1 ミャンマー難民定住制度
 これは「難民を出身国でも、避難先国でもない第三国に定住させる制度として、日本政府は2010年度から3年計画で取り組んでいる」もので、年間30人ずつ、3年間で計90人の受け入れを目指していたものです。

「タイのミャンマー難民キャンプには約14万人が暮らしている」にもかかわらず、来日者数は「10年に5家族27人、11年には4家族18人」に留まっており、今年は2家族にまで減少してしまったというものです(今回の2家族9人を足しても、受け入れ人数は計54人と目標の90人を下回る状態)。

 記事ではその減少の理由として「過去の移住者の生活が言葉の壁や不慣れな仕事などで、必ずしもうまくいっていないことがある」という指摘を行っております。

 同じことを伝えた『産経新聞(共同通信)』では「既に定住した人たちからはコミュニケーションなどの問題で就職先とのトラブルも報告されて」いることを理由に挙げています。

 おそらく外務省などでは当初この事業を計画するにあたって、14万人もの難民がいるのだから、30名などという枠はすぐに埋まるだろうと思って事業設計を行ったのではないでしょうか。

2 不人気の原因
 ところが蓋を開けてみるとこの不人気ぶりはどういうことだという話です。そこでいろいろ原因について考えてみました。

 (1)周知不足
 どのような形でこの事業を周知したかわかりませんが、難民となっている方なので識字率の問題などもあり、実際字が読めない方もおられると思います。そうした方を考慮した広報を行ったかどうか。

 (2)住めば都
 難民とはいえ、全く知らない土地(日本)で一からというのはかなり大変なので、ある程度慣れ、母国にも近い土地(タイ)に、このままいたいと考えた。

 (3)日本より良い所
 いろいろ各国から支援があるので、もっと良いところに行けるのではないかと難民が考えた。どうせ行くなら、欧米の方が良い、また、そうした国には、かなりの数の同国人が既に行っているので、機会を待ちたいと考えた。

 (4)記事の指摘のとおりの「日本の閉鎖性」
 確かに、外国から見ると「日本の閉鎖性」という現象は間違いなく存在すると思います。しかし、それ程これが外国人に嫌われているのなら、何故日本にあれほどの不法在留外国人が存在するのかという話にもなります。

3 制度設計の問題
 そこで考えたのが、外務省の制度設計の問題です。例えばODA(政府開発援助)で、現地では水が少ないので、井戸を掘る機械がほしいという要望があがって来たとき、現地の実情を無視した先進的で高額な機械を、導入したことがあります。

 日本側にしてみれば、予算をさっさと消化したい外務省、高い機器を売りつけたい商社などの思惑からこうした機器が導入されることとなったのではないでしょうか。しかし、現地はほこりが多かったり、慣れない者が機器を使うために、容易に不具合が生じます。

 ところが、壊れても、こうした先進的な機器を修理できる技術者もおらず、仮にいても高い部品を買える金もなく、結局何か不都合が生じればそれまでです。

 それにひきかえ、安い金で導入された昔ながらの井戸掘り技術の方が、使い勝手が良く、よっぽど現地で喜ばれたという話を聞いたことがあります。今回も現地の状況を考慮しない、こうした制度設計が行われた可能性があります。

 今回の難民受け入れ事業が具体的にどのような制度設計となっているか知らないので、一概に批判するつもりはありません。ただ、ここまで不人気なのであれば、マスコミは本来、事業設計の不備を最初に疑うべきではなかったのでしょうか。

 ところが、記事で要因として挙げているのが、「日本の閉鎖性」です。おそらく外務省に取材して、担当の方の意見を聞いて、それを基に記事を書いたのかと思いますが、記者の方も、もう少しいろいろ疑ってかかっても良かったのではないかと考えた次第です。

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