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総務省・情報通信審議会「放送コンテンツ製作流通の促進方策」最終答申

総務省は、情報通信審議会から「視聴環境の変化に対応した放送コンテンツの製作・流通の促進方策の在り方」について最終答申を受けた。

同審議会の情報通信政策部会(部会長須藤修)および放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会(主査:村井純)において調査・審議が行われ今回、情報通信審議会総会において最終答申として取りまとめられたもの。

■第1章「放送コンテンツの流通を支える配信システム及びネットワーク」

今後取り組むべき事項は次のとおり。

▼モバイル・PC向け同時配信=ネット同時配信をはじめ多様な放送コンテンツをより気軽に視聴できる環境を整備するため

(1)実証事業などを通じて、ネット同時配信を行うために必要な配信システム機能の共通化の検討を進め、ローカル局を含めた多くの放送事業者がネット同時配信を継続的に実施しやすい環境を整備。

(2)ネット同時配信の本格化に備え、ピークトラフィック需要の推計に必要なデータ蓄積を図り、トラフィックが急増した場合の対応について、放送事業者と通信事業者などのステークホルダー間の連携体制構築を支援。

▼スマートテレビ向け4Kコンテンツの配信=放送・通信連携サービスのさらなる拡充により地域の放送コンテンツが手軽に高精細映像で視聴できる環境の実現を目指し、

(1)規格・推進団体が中心となり、円滑な4K同時配信の提供に必要な技術仕様の策定、対応受信機に関する情報共有、人材育成支援等を行えるよう支援。

(2)ケーブルテレビのIP放送の技術基準(品質基準)の検討状況を踏まえつつ、放送事業者や通信事業者がユニキャストやマルチキャストなど異なる方式で高精細映像の配信を安定的かつ効率的に配信できる方策の検討を促進。

▼視聴データの利活用=放送と通信の枠を超えた新たなビジネスを創出できるよう、放送番組の視聴データを活用した次の取り組みを進める。

(1)視聴データを利活用し、広告ビジネスなどの放送関連事業はもとより、地域経済や地域社会に利用・還元できる仕組み(例えば、地方自治体のオープンデータ等の連携による視聴者に身近な課題解決モデルの構築)を支援。

(2)収集した視聴データの信頼性の確保や利便性を確保するため、複数の放送事業者が視聴データを円滑に共有するためのルール作りを支援。

(3)視聴者のプライバシー保護に配意するなど視聴者の安全安心を確保するためのデータ収集・利活用に関するルール作りを支援。

■第2章「放送コンテンツの適正かつ円滑な製作・流通の推進」

▼放送事業者による「同時配信」に関する権利処理方法の検討(議論の整理)=同時配信が一部の放送事業者による実験段階であることを踏まえ、次の方法により検討を実施。

(1)現行の初回放送や放送後の見逃し配信における権利処理の運用手続をもとに、将来的に同時配信を実施すると仮定した場合に想定されうる権利処理方法を考察。

(2)NHKの試験的提供の結果等を考慮しながら、具体的な課題を抽出し、課題の解決策について議論。

※主な検討対象は次のとおり。

⑴ 音楽分野
同時配信の著作権法上の取扱い=見逃し配信と同様に公衆送信権または送信可能化権の許諾が必要。 「提起された考え方」は次のとおり。

(1)放送や放送後のネット配信と同様に包括的利用許諾契約を活用する方法。主な意見=「既に使用料規程を設けており、包括的利用許諾契約により対処可能」、「包括的利用許諾契約を締結することは可能と思われるが、民放はビジネスモデルが構築されておらず、現段階ではどのような契約となるかは不明」

(2)レコード製作者等の権利について放送と同様の報酬請求権とする法改正を行う方法。 主な意見=「制度改正の検討を進めるべき」、「現状包括処理でうまくいっているのに権利制限を求めるのは理解できない」 ※包括的利用許諾契約に関する対応=包括的利用許諾契約を活用する場合、特に商業用レコードについて権利者団体管理外(アウトサイダー)への対応への検討が必要。 「対応案」は次のとおり。

(1)権利者団体による管理範囲の拡大・権利情報の集約化。主な意見=「どの原盤がレコード協会で管理されているのかを調べるのに手間がかかる」、「レコード協会として、委任範囲の拡大やデータベース化について積極的に取り組んでいきたい」

(2)著作権者不明等の場合の裁定制度の活用。主な意見=「現行制度では一定の時間と手続が必要なので、同時配信の権利処理で活用することは極めて困難」、「実務的に可能な仕組みは積極的に利用していき、それで足りない部分は何なのかについて絶えず検証すべき」

(3)拡大集中許諾制度の導入。主な意見=「法的正当化、団体の在り方(適格性・代表性・構成員の同意の要否)、使用料の徴収・分配の手続、非構成員との関係、オプトアウトの具体的仕組み、著作権管理事業法と競争法との関係、未分配の使用料の取扱いなど多様な課題があり、ハードルが高い」、「レコード協会の委任範囲を拡大していくこととの両輪で、拡大集中許諾制度の導入による積極的な活用も図るべき」

※著作権者不明等の場合の裁定制度=権利者の所在が不明である等の理由により、相当な努力を払っても権利者と連絡がとれない場合に、文化庁長官の裁定を受けて、当該権利者の著作物を利用することができる著作権法上の制度。

※拡大集中許諾制度=法律に基づき、権利者団体の構成員でない権利者の著作物について、当該団体と利用者との間で締結した利用許諾契約と同じ条件で利用することを認める制度。北欧諸国や英国で導入されている。

(2)実演分野
※同時配信の著作権法上の取扱い=見逃し配信と同様に送信可能化権の許諾が必要。想定される権利処理方法

①初回放送の許諾時に直接交渉し許諾を得る方法と、
②aRmaを経由して許諾を得る方法が示された。

主な意見=「常時同時配信の場合、初回放送の出演交渉と同時に同時配信の許諾を取得するのが現実的」、「番組を選別して同時配信をする場合には、aRma経由の処理が可能」、「初回の出演契約に含めて交渉を行うようになった場合、現状でも放送の二次利用の際に問題となっているが、追加の支払いをせずに全ての権利を含めて対価を支払う『契約買い取り』のように、放送局が優越的な立場を利用して個別の実演家や事務所と交渉を行うという懸念がある」

※今後継続して取り組むべき事項=放送事業者のビジネスモデルの具体像が明確となっていない現段階で具体的な権利処理方法を絞り込むことは困難。今後、具体的なビジネスモデルを踏まえた権利処理方法が形成されるよう、次の取り組みを進める。

(1)権利者団体は、商業用レコードのアウトサイダーへの対応策として、文化庁の実証事業を活用しながら、権利情報の集約化及び委任範囲の拡大に取り組む。

(2)放送事業者及び権利者団体等における今後の取組状況を踏まえ、今回の議論の整理を前提として、継続的な検討に向けた体制を整備。

▼放送コンテンツの適正な製作取引の推進
※ 現状と課題=総務省によるガイドラインのフォローアップ調査の回答によれば、「著作権の帰属」や「取引価格の決定」等に関する事前協議の有無について、放送事業者と番組製作会社の間で依然として大きな認識の相違があるという結果がみられた。

※今後取り組むべき事項=ガイドラインの周知・啓発の徹底。ヒアリングなどによる取引実態調査を全国で定期的に実施。ガイドラインの見直し。外部有識者から構成される体制を総務省に設置し、調査結果の分析・評価、ガイドラインの見直し等を推進。民間主体の推進協議会における自己点検の実施。

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