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サマータイム

 酷暑身を焼くばかりな日々が続いています。命にかかわる危険な暑さは、もはや災害級です。「屋外での運動は控えましょう」「外出はなるべく避けましょう」などとの注意喚起を耳にするたびに、2020年の東京五輪が心配になってきます。

 オリンピックの開催時期は、7月24日から8月9日まで。今夏でいえば最も暑かった時期、熱中症で多くの人が倒れた時期と重なります。パラリンピックの開催時期は、8月25日から9月6日までです。厳しい残暑の中です。国民に運動や外出を控えるように警告しなければならない時に、競技や観戦を実施するとは…。

 日本の夏は「晴れる日が多く温暖で、アスリートに理想的な気候」と世界にアピールし、誘致に成功しました。が、さすがに安倍総理も心配になってきたらしく、2年後に迫った五輪の酷暑対策として、夏季に1~2時間時刻を繰り上げる「サマータイム」の導入を検討するよう、政府・与党に指示しました。

 サマータイムの利点として、照明や空調等の省エネ、アフター5の余暇の充実、経済の活性化なども挙げられます。しかし、かつて日本でも1948年~1951年までの3年間導入されましたが、効果がみられず廃止されました。農家の生活のリズムの崩壊、残業が増加するなどの労働条件の悪化、交通機関の混乱などもあったようです。

 欧州連合(EU)は加盟28か国で共通のサマータイムを導入しています。が、体内時計に及ぼす悪影響による健康被害や注意不足からのミスや事故などが指摘され、ドイツ、フランス、オランダ、フィンランドなどを中心に廃止論、反対論が広がっています。

 過去のわが国の経験や昨今のEUの動きなどを十分踏まえ、浅はかな思いつきでサマータイムを導入すべきではありません。経産省と経団連の浅慮で昨年から始まった「プレミアムフライデー」は、いまどうなっているのでしょうか。同じ轍を踏むべきではありません。

 むしろ、真剣に検討すべきは、東京五輪の開催日を初秋に変更することです。1964年10月10日の開会式を、当時小学校1年生だった私は鮮烈に覚えています。スポーツの秋らしい満天の青空、みごとな日本晴れでした。54年前、先輩世代が絞り込んだ競技日程は、正解だったと思います。

 国際オリンピック委員会(IOC)が真夏の五輪開催に固執するのは、秋だと米国のアメフトのシーズン開幕や大リーグのプレーオフ、欧州のサッカーシーズン序盤と重なるからのようです。スポーツイベント閑散期のほうがテレビ放映が確実となり、放映権料もしっかり確保できるという皮算用があるのでしょう。

 でも、高温多湿の炎熱地獄の中での競技は、アスリートファーストに反します。おもてなしの心も焼け石に水になりかねません。せめて9月に開催できるよう、日本は最後の努力をすべきではないでしょうか。

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