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"盗み見したLINE"は裁判証拠にならない

確かに、どんなものでも証拠になる。しかし、その能力と価値は別物で、IT化によって証拠の価値も変化しつつあるのだ。

■証拠として価値が高いのは直筆

「民事裁判にメールやラインを証拠に出すケースが増えています。第三者とのやりとりが時系列でわかり、作成日や送信時刻が特定できて証拠に使いやすい。パワハラの場合、上司とのやりとりのメールを証拠として持ってくる依頼者が多く、立証もしやすいです」

写真=iStock.com/Zolnierek

こう話すのは労働問題に詳しい伊東良徳弁護士で、「民事訴訟法上、証拠能力についての規定は何もなく、基本的にどんなものでも証拠になりえます。相手との面談や電話の無断録音、無断録画も証拠として排除されることはまずありません」と説明する。とはいえ、その証拠の能力と価値は別物で、「裁判所が証拠として認めるかどうかが証拠能力で、どれだけ自分に有利に働くかが証拠価値です」と伊東弁護士はいう。

たとえば、日記。直筆のほか、パソコンやスマホで記録している人もいるが、証拠として価値が高いのは直筆。筆跡で本人かどうかを特定できるからだ。デジタルの場合、本当に本人が書いたのか確証が得にくい。ただし、パワハラやDVなどを家族、友人、同僚ら第三者に相談したメールやラインは証拠価値がより高い。

録音データはどうか。パワハラをICレコーダーで録音したものは証拠になるが、やはり証拠価値とは別物。「実際は使えないことのほうが圧倒的に多い。当事者は自分に有利に解釈する傾向があるからです」(伊東弁護士)。

録音データを裁判官が実際に聞くことは期待できず、弁護士も忙しいため、伊東弁護士は依頼者に反訳書(文字データ)をつくるよう伝えるという。「録音のスクリーニングと、依頼者の意欲を見ることが狙いです」。

■DVで負傷したら、病院で診断書をもらう

DVの証拠として有効なのが写真。離婚・男女問題を多く手がける中間隼人弁護士は、「相手の暴力による痣やケガの様子をデジカメやスマホで撮影しておきます。撮る際には場所、撮影日時、自分の顔が写るようにしたほうがいい。暴力を受けた日時を立証するには、テレビの時間表示や時計などと一緒に写るようにしましょう」という。

医療機関の診断書も有用だ。痣が本当に配偶者の暴力によるものか、という問題が出るからだ。「医療機関を受診した記録は第三者の客観的な証拠になり、証拠としての価値が高い。DVによるケガであることを医師に説明し、『夫の暴力により受傷』など、カルテに記載してもらいます」(中間弁護士)。

確かに民事訴訟では基本的にあらゆるものが証拠になるが、伊東弁護士は「他人のIDを使うなど、情報に不正にアクセスしてはいけません。また著しく反社会的な方法で、かつ人の人格権侵害を伴う手段で収集した証拠は証拠能力を否定されることもあります」と指摘する。このような裁判の最新事情を踏まえ、少しでも自分に有利になるようにしていきたいものだ。

(ジャーナリスト 田之上 信 写真=iStock.com)

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