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講演録「日本の政治・安全保障−この国の形を考える」(その1)

 第15回 「咢堂塾」講義・2012/01/28 憲政記念館第2会議室

「日本の政治・安全保障-この国の形を考える」

 自民党政務調査会調査役・慶應義塾大学大学院法学研究科・講師:田村重信

(石田氏)

 はいそれでは咢堂塾はじめさせて戴きます。2012年、今年もよろしくお願いします。今日、年があけて第1回目の講義ということでお招きしたのは、田村重信先生でして、ご経歴は皆様のお手元にございますが、現在、自民党政務調査会調査役、そして慶応義塾大学でも教鞭をとられていらしゃいます。今日のテーマは、「日本の政治・安全保障―この国の形を考える―」という大変、骨太なテーマで、田村先生はまさに、日本の安全保障とか、国家戦略というところの最前線で、現場で指揮をとられたというか、関わってこられた方でございます。大変貴重な経験をされていますので、そのへんの話、また知見も含めて、じっくりお話を伺いたいと思います。それでは田村先生よろしくお願いします。

(拍手×拍手)
 

はじめに

 それではご紹介戴きました田村重信でございます。
 今日のタイトルは、「日本の政治・安全保障―この国の形を考える―」ということで、今回の「咢堂塾」にお呼びいただいて非常に感謝しております。政治の世界に入りまして現在59歳、僕の誕生日(1月17日)は、朝起きると湾岸戦争が始まったり、凄い地震が起こったりする日なんですね。湾岸戦争と阪神大震災、今年は何もなくてよかったなと、そんなことを思っていたら、夜中、うちのカミさんの父さんが亡くなったんですよ。それで夜中に僕の上さんが、遅いから僕のことは起こさないで、次の日、月曜日にその話を聞いたんですね。
 僕はとっさに思ったのが葬式が行われる。カミさん悪いんだけれども、今度の土曜日だけは悪いけど、葬式があっても僕はいけないからね。とうい話をしたんですね。

 それは「咢堂塾」で講演がありますから、それはなんとしても這ってでも行かなくてはならない。というようなことで、台湾の動きというのは面白いので、今ちょうど中国と台湾は正月なんですね。もう完全に正月なんですよ。我々の正月以上に正月で、ピタッと全てのものが止まる。ということもあって、飛行機もなかなかとれないからどうしようかと思っていたら、すぐに葬式はないようなんです。うちのカミさんが言うには、「まだ決まってないですが、2月末ぐらいじゃないかな」というんでうね。葬儀は国によって違うんですね。一カ月ぐらいあけて葬式をする。日本では考えられないですね。日本では数日ぐらいで、全てのことが行われる。そんな違いがあります。

 僕は、国際結婚ということで違いがある。国際結婚ということで多様性ですね。いつも隣に中国人がいる。日本人とは違いますね。お金の感覚が日本人とは違いますね。僕は結婚したとき、弟に借金していたんですけれども、世界の3大商・民族、ユダヤ人、インド人、中国人ね。
 

政治の世界は不安定

 僕は現在、自民党で勤務しています。
 その前に政治の仕事がしたいということで、宏池会という派閥の事務所に入って、その当時の会長が大平正芳さん、一橋大学出身、宏池会の事務所には大番頭役の鈴木善幸さんがいて、その後、僕は自由民主党本部に試験を受けて入ったんですけれども。
 僕は、政治の世界に入って思ったことは、まず考えたことは、非常に不安定な職場だなということを考えた。今年だって、新しい政党ができてどうなるかわからない。それから政界再編があるかないかと。そんな話は昔からあった。自民党が分裂するんじゃないかとか、無くなるんじゃないかという話は、僕が奉職した時からありましたよ。それからでも凄まじい権力闘争があって、分裂寸前まで行ってしまうことも何度かありましたしね。それから自民党が野党になったことだってあるわけですよ。だから民主党政権になって、今初めてという訳ではないんですね。

 僕は自分でこの仕事を選んだ時に、新潟県の栃尾市(今は長岡市)出身だったので、僕の親父の兄貴が、すっと地方政治家をやっていまして、僕もそういうことを目指そうかなと思っていたのですが、国際結婚だったので、地方に帰るのをカミさんが嫌だというので、それで僕の人生も変わってしまって、生活することになる。
 

肩書のないことを考える

 ただ、やることは政治の仕事。だからそういう意味で、僕の仕事は、とても不安定な仕事だなと思いまして、そうした場合、自分はどうやって生きていくか、とういことを考えた。肩書きじゃない。今、自民党本部にいるから、自民党本部の田村です。あるいは大企業の新日鉄にいるなら、新日鉄の○○です。通るかもしれないけれども、ひょっとしたら会社無くなるかもしれない。

 自民党が無くなれば政界でも、個人の田村です。これでは通用しないでしょう。そうすると田村個人として能力をつけないとこれからの時代、生きていけないなと。肩書きで生きることを、早いことで辞めた。自分を一生懸命高めることに努力しまして。努力した結果、大学の先生になれた。あるいはこうやって、皆さんの前で話せるようになった。あるいは、僕は歌が好きだから、歌手をやれるようになった。そりゃやっぱり、肩書きで生きるのは、若いことろから諦めて、自分の能力で、生きていくというのを考えて、それなりに努力した結果なのかなと。
 

人間は顔に表れる

 最近思いますけれども、人間、顔っていうのがある。50歳を超えて、それなりにちゃんとやっていると、イイ顔になる。これがあんまりイイことをしていないと、悪い顔になっていく。
 僕は最初に大平正芳という人物と接して、とてもイイ顔をしていると思った。でも大平さんは香川県出身で、さぬき顔っていわれて、で勉強だってそんなにできたのかできないのか、大学だって、東大に比べれば、一橋大学ですから、ダメですよね。でも大平さんがそういう風になったのは、勉強していたんですよ。だから社会に出てから、大平正芳という人物は、物凄く勉強していましたね。

 だから、彼が総理大臣になった時は、哲学、哲人宰相といわれたんです。凄いですね。だから努力すればできるんだとういことを学びました。
僕は拓殖大学ですが、大学のレベルからすれば高くはない。低いかもしれない。でも考えてみれば、政治の世界に入れば、ほとんど東大卒が多いですよ。政治家も東大が多い、役所で僕が接する人物は、大半は東大ですよ。

 東大の人にどうやって打ち勝つかというと考えた。僕がそれよりも勉強すればいいんですよ。例えば、この本があるでしょ。石田さんが書いた素晴らしい『心の力』(石田尊昭著、世論時報社)という本があるでしょう。例えば僕がこの本を読んでいた。読んでいない東大出身の官僚と僕が話をする。そういうことなんですよ。
 この前も、経産省の相当偉い人と議論したとき、『論語』の話が出て、「読んだ方がいいですよ。」といったら、「そうですね。」という、そんなもんなんですよ。東大出たって、そりゃ東大出るまで勉強したかもしれないけれども、人生その後がたくさんあるんですよね。そこをやっぱり考える必要があるんじゃないかなと思うんです。だから努力すれば努力するほど、それが顔に表れて、イイ顔になる。

 だから悪い顔になった政治家は、菅直人さんですよ。自社さ政権の時は、彼が政調会長(新党さきがけ)をやって凄い政治家だと。ほれぼれするようないい男だったんですよ。今どうですか。誰もそんなことを言わないんですよ。今どうですか、だからそういうことを考える。
 

言葉は大事に

 あともう一つ、言葉ですよね。言葉の重要性。言葉の重要性というのは物凄くある。特に地位が高ければ高い人が、一度、言葉を発したことが、実現できなかったら大変ですよ。「実現しよう!」といって、できなかったから、「やっぱり止めます。」とはいえないでしょう。

 だから言葉というのは如何に大事かというと、言葉は最近本当にひどいですね。すぐに言い訳、言い訳。こりゃまずいなと。

 僕は野党の時(細川政権の時)に、橋本龍太郎という人物が政調会長の時に、僕が室長やりました。それで橋本さんに仕えて思ったのですが、面白くない人だなと。あの調子のいいことを全然、言わないんですよ。もうちょっと喜ぶことを言ったらいいんじゃないかといったら、「なんでかな」と思ったら、そりゃそうなんですね、運輸大臣、厚生大臣、大蔵大臣、幹事長、ということをやっていくと、そうすると「言葉の重要性」というのがわかる。予算委員会でのやりとり、失言といえば失言でしょう、えらいことになる。だからそういうことをずっとやっきて、それが身についちゃったんですね。だから僕らといるときにでも、そんな感じなんです。でも、そういうことなんです。
 だから橋本龍太郎は総理大臣になれた。だからそういう意味では、本当に政治家だけでなく、日本社会全体が「言葉」についての責任を持たない。これは物凄く、深刻だなと。
 

読書の重要性

 それから皆さん、この本(『心の力』石田尊昭著)読んだ人、手を上げてください。これ読んだ方がいいです。2回読みました。「咢堂塾」の方は読んだ方がイイですよ、必読書ですよ。本当にいい本だから。なかなか僕が褒めることはないですよ。 特に高橋(大輔)さんよく知っていますが。僕は読書家で有名なんだそうですよ。だからサンデー毎日から取材があって、永田町で本を読む人を色々探したら、田村さんにあたったから、僕にコメントを書いてくれという企画がありまして、『坂の上の雲』と、それと山本周五郎の『ながい坂』かな、それとあの新潟の栃尾出身だから、上杉謙信ですが、その関連で直江兼続の『天地人』(火坂雅志著)それを紹介したりしたことがある。

 それを僕が本を読んでいるものだから、イラクの自衛隊の先遣隊長といのは佐藤正久さん「ヒゲの隊長」ですが、その後の大隊長が群長というのですが、番匠幸一郎さんという人物なのですが、イラクから帰ってきて、福岡県の久留米の陸上自衛隊の幹部候補生学校の校長先生になった。で僕がちょうど長崎で講演があったので、帰りに寄ったんですよ。ちょうどいいなと思って。それで僕が本を一杯出版していますから、たくさん買ってもらいたい防衛関係のイイ本があるからって言ったんですよ。だけどあのお金が無いんですよね。年間30万円ぐらい。年間30万円だと僕それ以上本を買って読んでいるからね。
 それで図書館みたら、みすぼらしくて可哀相になってきて、じゃあ僕の本を送って、文庫を作ってあげる。で本を送りまして、大体、「○○文庫」というのは、死んだ人が本を寄贈しますが、僕は生きたまま本を寄贈していますから、月に1回とか、2か月に1回、読んだ本をドンドン送っていきまして、僕の「田村文庫」は増えるんですよ。もう今、5.500冊超えていますよ。これからも送り続けます。
 多少読書家ですが、いい本『心の力』ですから、是非、これ買って読んだほうがいい。だから話をする上でも、この本の引用を一番多くしております。
 

外国人の介護・お手伝い

 ということを話しながら、それとレジュメに沿って進めますが、あと脱線ついでだから、色々話しますが、今朝テレビ見てたら、インドネシアの介護される方の話がちょっと出てましたけれども、台湾なんかは当たり前なんですよ。
 カミさんの親父が、今回死んでしまいましたけれども、管を通して栄養を送る、ずっと自宅で寝ているだけなんですよ。その時、介護してくれているのは、インドネシアの女の子がずっと診てくれていた。その前の車椅子の時は、ベトナムの女の子、それは台湾では当たり前なんですね。それは外国では当たり前ですよね。
10年近く前に行った時も、マレーシアの首都クアラルンプールではお手伝いにインドネシアの子が来る。だから今、上海に長女が仕事で行きましたから、上海に親戚がいますけれども、お手伝いさんいますよ。住み込みで。それは中国では物凄い格差がありますから、地方の女性が来て、お手伝いをしている。
 日本が豊かさを感じられないのは、そういうふうに、日本人でみなやろうとしていることに、問題があるのかなと。これからそういう意味でも何か考えないといけない。明示的にそうですよね。
 僕、自民党本部ですから、その近くのコンビニのレジでも、みんな外国人ですよね。世の中、居酒屋いってもみんなそんな感じですよね。そのなかでどうするかということを考えていく必要があると思います。
(続く)

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