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東京医大等不正入試が差別するもの〜ハリエット・ビーチャー・ストウから読み解く「劣化した優位」もしくは「女性差別」だけではない、マイノリティに対する「区別」について

今、全く別の原稿を書いていて、検索していたら2年程前に自分が書いたハリエット・ビーチャー・ストウの「アンクルトムの小屋」に関してのブログが出て来た。

ここで言及しているのは「白人男性」が履いた「下駄」についてである。

ストウがこの物語で描こうとしたのは、「差別」ではなく「区別」という言葉を使って、さもその存在を尊重するかのように物言う人々に対しての警告でもある。

たまたま読んだ「魔女の審判」(駒尺喜美・小西綾著 不二出版)にも「差別」と「区別」について、同様のことが書いてある。

内なるものに対して行なう「差別」と、外のものと見なす「区別」には大きな違いがある。
今回の問題は、女性と多浪(といっても、そもそも医学部に不合格で浪人を重ねている人だけではく、転学等の場合も多浪とされて)は、表向きは試験を受けさせるが、実際には排除すべき存在として一律、もしくは面接等で低得点になるように別扱いの仕組みを作っていた、もしくはそのように推測されるのは「区別」に近いことなのだろうと思う。

「人間は特別の悪人でなくとも、時と場合によっては、自分より弱いものに対して、どのように残酷なことでもなしうるということである」(「魔女の審判」)

つまり「どのように残酷なことでもなしうる」ということは、その傷みを共有できないということだ。
自分とは違うから、なんだってできる。
「劣化した優位」は内なる危機を感じた時に、それを「区別」した人々を切り捨てることで自らの保身に走る。

私がこの問題が「女性差別」に留まらず、年齢、国籍、LGBT等の性的指向等あらゆるマイノリティに対しての、いわれのない偏見、差別を通り越した区別問題とつながっているのではないかと思うのは、そうした理由があるからだ。

そここそ、国民は直視しなければならないと思う。逃げずに、避けずに。

ハリエット・ビーチャー・ストウ「アンクルトムの小屋」については以下。

(前略)

「奴隷解放」がメインテーマで、アンクル・トムが主人公とばかり思っていたこの物語が、実はどうして、ストウが書きたかったのは、人権やエスニシティの問題もさることながら、別のことだったのではないか、ということだった。

つまりは、能力があるなしにかかわらず「白人男性」という「下駄」を履いているが故に逆に「浅はか」となる、どうしようもない人、そして、例えば所有者と奴隷という絶対的上下関係がありながらも、その奴隷情婦に支配されてしまったりする、圧倒的権力を持った側の倒錯。それこそが彼女が描きたかったリアリティなのだと思う。

心良き人はそれゆえに経営手腕はなく、結果的に自分が大切にしている奴隷を売るという最悪の結果をもたらしてしまう。富を得るのは吝嗇で、人を人とも思わない、また自分の「生まれながらの優位性」を信じて疑わない人だ。

「たまたま」以外の理由がないのに、人為的に作られたこの「生まれながらの優位性」を、アメリカは建国の歴史の中で利用してきたとも言える。

誰から見ても分かりやすい区分とするために、肌の色と性別を「下駄」=既得権益として固定化していく。

「下駄」を失った場合でも、被差別者を売り、危険に晒すことで自らの地位は保全される。

この「劣化した優位」をストウは容赦なく書く。

そして登場させるのは絶対的救済としての母性=男性不在で誕生したキリストである。

そう言う意味ではフェミニズムの萌芽も見て取れるのだが、ビクトリア朝時代の価値観の中では分厚い天井からは空は見えない。雨漏りしていたとしても。

公民権運動の高まりとともに、「アンクル・トム」は白人に取り入る情けない黒人の代名詞として使われるようになり、作品自体の評価も下がったと聞くが、今日、再評価がされているというのは、なるほどもうひとつ深いところに手を突っ込んでいることが、理解されて来たということなのだろう。

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