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インフレ目標という政治の怠惰と勘違い

日本銀行がインフレターゲット的なるものを導入し更なる金融緩和に踏み切った。海の向こうではFRB(アメリカの中央銀行)がなりふり構わぬ金融緩和の姿勢を占めている。大西洋を渡ればECB(欧州中央銀行)が潰れそうな国の国債や銀行の資産を担保に資金をじゃぶじゃぶに供給している。

グローバルに金融緩和というのがテーマらしい。その中で日銀である。

罵倒同然の国会質疑を中央銀行の総裁に浴びせるバカな政治家達。その罵倒とプレッシャーに負けて金融緩和を進める中央銀行。どちらも僕に言わせれば阿呆だ。

金融緩和やインフレターゲットなる政策に対する疑問やなぜ僕が無意味と思うかは過去に書いてきたので改めて論じないことにする。しかし、僕はいまだになぜインフレになれば経済がよくなるのかがよくわからないのである。インフレとはなんだろうか?

「価格が上昇すること」

である。よって好景気とか不景気とはこのさいまったく関係ない。もちろん、一般にはインフレは好景気の下でおきやすいとはされるが、実際には不景気下でのインフレやインフレ率の上昇が好景気の足かせになるということはよく知られた事実である。だから、インフレになりさえすればなんでもよいのであるとの発想はあまりに安易であると思うのは僕だけだろうか?

よく言われる解説は「多くの人が物価が値下がりすると思うから消費を先送りしている。よって景気が盛り上がらない」というものだ。これは本当に正しいのだろうか?

「多くの人が」物価が値下がりすると思っているのならば、現時点で(あるいは極めて近い将来に)物価は人々がモノを買ってもいいと言う水準まで値下がりするはずである。もちろん、ニューケイジンアンが主張するように物価にはラグがあるから若干時間がかかることは認めても、数年・十数年に渡って、人々が適切と思う水準よりも物価が高止まりし、そのことが人々に将来の物価下落を予想させ消費や景気の足かせになるという事態が起こるだろうか?普通に考えれば答えはノーであるはずだ。

そう考えるとデフレ(物価下落)という現象が本当に消費の足かせになっているかが疑問ではないだろうか?

金利が高すぎるから。。。借り入れが盛り上がらず。。。企業に元気がない。。。

との意見もあるだろう。

でも、本当にそうだろうか、短期金利はほぼゼロである。長期金利も10年金利ですら1%近傍である。このような低金利の状態でも企業の資金需要は伸びない。

多くの優良企業はお金がじゃぶじゃぶに余っている状態である。また、銀行が借りてほしいを思う企業には資金需要がない場合が多い。一方で借りたいと言う企業にはとてもじゃないが相当高い金利を要求しないと貸せない。というのが今の銀行の現場の実情であるとはよく聞く。

また、長い間続いてきた低金利はかえってゾンビ企業を延命させ経済資源の適切な配分を妨げてきた可能性もあるだろう。

それ以上に、一方で中央銀行に不毛な金融緩和を押し付けながら、規制を強化し、国債を増発して将来への不安感を煽り、法人税・所得税などの税金を上げることや過剰な福祉政策で人々の勤労意欲を削ぐこと。これらの間違った政策に切り込まずに中央銀行を恫喝して責任を押し付ければよいとの発想が多くの政治家にあることは非常に問題であると言えるだろう。

そもそも具体的な手段を欠く中での「インフレターゲット」に何の意味があるだろうか?

日銀がインフレターゲットを設定しただけでインフレになるのだろうか?であるならば、アメリカで一部で盛り上がっているようなGDPターゲットも可能であろう。しかし、それは正しい政策なのだろうか?もし、中央銀行がインフレターゲットやGDPターゲットを宣言するだけで目標が達成できるのならば、なぜ計画経済・社会主義経済は失敗したのだろうか?答えは明白だろう。

金利はすでにゼロである。長期金利を押し下げればいいというがそれも容易ではないだろう。国債を買えば本当に金利が下がるかは多いに疑問である。

金融政策によって経済をコントロールできるというエリート主義の妄想によってこの国はますます時間を浪費していくのかもしれない。おそらく、効果がないだろうからこれからも日銀が悪いとの合唱は続くのだろう。その根底にあるのは「日本は本当はすごい国なのだ。でも、経済が停滞しているのは○○が悪いからだ」との責任転嫁でありスケープゴート探しであることは間違いない。

政治家は往々にしてスケープゴートにされるが、その政治家にとっての最高のスケープゴートは日銀であったというわけだろう。衆愚政治もここにきわまれりである。

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