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サザンどこか凄いのか?マキタスポーツとスージー鈴木が語り尽くす


デビュー当時、「コミックバンド」と揶揄されたサザンが、世間や業界のタブーを破り続けて40周年! ミュージシャンのマキタスポーツと音楽評論家のスージー鈴木がサザンについて語り尽くす!

鈴木 初期サザンでベストなアルバムを一枚選ぶと、私もマキタさんも7th『人気者で行こう』。魅力はどこですかね? 

マキタ 僕は1984年の『ミス・ブランニュー・デイ』がサザンを見直すきっかけになったんですよ。あのサザンがピコピコっていうシンセのイントロで始まる曲を作った。しかも、超印象的なフレーズで!

鈴木 サザン、テクノやってみた、ですね。 

マキタ この曲、楽曲構造がすごいんですよ。中学時代に英語の先生が「マキタ、これ不思議だと思わない? 最初に『夢に見る姿の』って、すごく高い音から始まるけど、だんだん落ち着いていってないか」って。

 あのとき僕も不思議だったんだけど、そうか、なるほど、って思ったんですよ。サビといわれているキャッチーな部分をピークの音に持っていくべきものが、逆になってて。セオリーをひっくり返していることにわくわくしました。
 でも、この『ミス・ブランニュー・デイ』は、シングルカットするか、せめぎ合いがあったらしいですね。

鈴木 当初、『海』がシングル候補だったけど、ぎりぎりで『ミス・ブランニュー・デイ』に変わったんですね。あと、『海』のイントロのメジャーセブンス(コード)がね。素晴らしいんです。

マキタ このメジャーセブンスを聴いたら、ほんとにエッチしたような気分になったっていう(笑)。当時、まだ僕はチェリーボーイでしたけど、すごくアダルトな気分になった。『海』も最高! 

鈴木 私もここから一曲選べと言われれば『海』でしょうね。ほんとに海が見える感じがする、メジャーセブンス。そして、ファンキーサウンドの『よどみ萎え、枯れて舞え』。 

マキタ あぁ、いいんですよね。この曲は言葉のチョイスに驚きましたね。

鈴木「いつも心に愛倫浮気症(アイリン・ブーケ・ショウ)」 

マキタ 何を言っているのかさっぱりわからないけど(笑)。 

鈴木 1曲めの『JAPAN EGGAE』も、「愛苦ねば世も知れず」とあって。

マキタ すごいですよね。 

鈴木 いいですよね。 

マキタ『夕方 Hold On Me』も、メロディがあっちこっちいって、僕の好きな要素がたくさん詰まってる。 

鈴木 B面の1曲めが『海』で、2曲めが『夕方 Hold On Me』。この2曲は、過去のサザンのアルバムの並びのなかでも最強でしょう。 

マキタ 最強だと思いますね。

■2人のベストシングルは?

鈴木 僕は『メロディ』です。初期サザンの総括で、「大衆性」と「実験性」の融合。 

マキタ どこが「大衆性」なんですか?

鈴木「いい女にはForever 夏がまた来る」のメロディですね。 

マキタ キュンとなりますね。日本人はみんな大好き。ところが間奏で、アバンギャルドになります。 

鈴木 驚きましたね。サックスのソロが「ミレドミレドミレドミレドミレドミレドミレドミ!」。名サックスプレイヤーの矢口博康さんを呼んでおいて、こんなフレーズを(笑)。 

マキタ ひとっつもおもしろくないですよね。あれをずっとやるって(笑)。 

鈴木 あのソロを矢口さんが自発的に吹いたとは思えないんですよ。誰かのディレクションですかね。マキタさんのフェイバリットシングルは? 

マキタ『勝手にシンドバッド』ですね。結局、そこかよ! って言われちゃうけど、あんな曲は誰にも書けないですし。 

鈴木 殿堂入りですね。 

マキタ 歌謡史的にね、大衆性があって小学2年生でもわかるし、大人も食いついて。良識的な人だけがプイッとそっぽを向いただけ。そしてベースがすごく“人懐っこい”。 

鈴木 親近感がありますね。 

マキタ 16ビートだけど、ちゃんとベースラインが大衆と手を組む構造になっています。 

鈴木 日本のロック史で、以前、以後、といえる曲は、『勝手にシンドバッド』だけです。 

マキタ そうなんですよ。 

鈴木 まさに突然変異だけど、それまでのロックのさまざまなボーカルを包括していて、そのどれよりも実験的で大衆的なんですよね。

■40年間支持される理由

鈴木 ワンマンバンドって、だいたい早く潰えるんですよね。桑田佳祐というリーダーがいて、40年続けているというのはすごいことです。 

マキタ なかなかいませんね。 

鈴木 あまり語られてないけど、サザンというバンドは、じつは演奏がうまい。 

マキタ『女呼んでブギ』とか、演奏力が高くないと無理。ドラムとベースがしっかりしているから成り立つんです。 

鈴木 私も中学時代に軽音楽部が演奏した『いなせなロコモーション』を聴いて、ガクッとした覚えがあります(笑)。ぜんぜん、できてなかった。

マキタ サザンの宴会感とか、ハッピーなサウンドは、演奏力がないとできない。入っている音数も多いし。 

鈴木 たしかに、サザンは楽器数が多いですね。長年続けられた理由のひとつは、テクニシャンバンドだからですね。

【Makita’s Best 3 Songs】

1位『勝手にシンドバッド』(1978)
 衝撃のデビューシングル。
「聴いたことのない早口ボーカルで『今何時? そうねだいたいね』ですよ。これ、学校で使えるな、と思った」

2位『夕方 Hold On Me』(1984)
『人気者で行こう』に収録。ファンの間でも人気の高い傑作。「『夢でいいじゃないか』の高音から始まり、下がっていく構造がいい」

3位『ミス・ブランニュー・デイ』(1984)
 20thシングル。当時流行っていたテクノサウンドを取り入れた代表曲。
「初めて聴いたとき、サザンに新しい風が吹いた感じがした」

【Suzuki’s Best 3 Songs】

1位『メロディ(Melody)』(1985)
 当時、明石家さんまが涙を流しながら歌ったテレビCMが強烈だった。
「初期サザンの最高傑作楽曲にして、到達点といえる」

2位『思い過ごしも恋のうち』(1979)
 4枚めのシングル。
「作詞、作曲、編曲すべてにおいて完璧。とくにドラムの松田弘と新田一郎率いるホーン・スペクトラムは圧巻」

3位『海』(1984)

『人気者で行こう』に収録。ジューシィ・フルーツへの提供曲をセルフカバー。
「サザンの『メジャーセブンス・バラード』の最高峰」

すーじーすずき 
1966年生まれ 大阪府出身 音楽評論家。昭和歌謡から最新ヒット曲まで評論。著書に『1984年の歌謡曲』『サザンオールスターズ 1978-1985』など

まきたすぽーつ 
1970年1月25日生まれ 山梨県出身 ミュージシャン、芸人、俳優。著書に『すべてのJ-POPはパクリである 現代ポップス論考』など
(週刊FLASH 2018年7月24・31日合併号)

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