記事

東京オリンピックがすべてを正当化する サマータイム制導入は無謀

2年後の東京オリンピックに合わせてサマータイムの導入?
森喜朗会長が安倍総理に進言したところ、安倍氏が検討を指示したと報じられました。
安倍晋三首相、自民党にサマータイム導入検討を指示」(産経新聞2018年8月7日)
「安倍晋三首相は7日、夏の時間を1~2時間繰り上げるサマータイム導入を検討するよう自民党に指示した。自民党は秋の臨時国会での議員立法提出に向け、党内の調整を急ぐほか、他党にも理解を呼びかける。」
これはてっきり東京オリンピックの時の暑さ対策のためだけと思っていたのですが、そうではなく、永続した制度として検討するそうです。
確かに暑さ対策のためだけだったら、開始時刻を調整するだけで済みそうですから。

しかし、その「永年」の法制化が秋の臨時国会だというのですから、あまりに急です。拙速感が満載です。
これが日本が地球環境を考えていることのアピールのためだというのですから、さらに胡散臭さが出てきます。

この安倍氏が自民党に検討を指示したと報じられて以来、ネット上では反対する声が数多く流れています。この問題に関していえば当たり前といえば当たり前です。と思っていたら、世論調査の結果は違っていたんですね。

朝日新聞の調査(2018年8月4日、5日実施)は、このような感じです。
 賛成 53%
 反対 32%
 その他、答えない 15%

しかし、この結論が導かれた質問の仕方自体に大いに問題ありです。
「2020年の東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策についてうかがいます。大会組織委員会は、気温の低い早朝を有効に使うため、日本全体で夏の間だけ時計を2時間進める「サマータイム」の導入を提案しています。あなたはこの案に賛成ですか。反対ですか。」
暑さ対策になるという前提で聞いていますから、このような聞かれ方をすれば、「賛成」が増えて当然のような聞き方です。
この問いに対しては、何でオリンピックの開始時刻を早めるだけでは足りず、日本全体が早めなければならないんだ? という疑問は湧いて当然のような気もしますが、しかし、さらっと読んでしまえば(聞かれれば)「賛成」ってなってしまうんでしょうね。

まさに誘導のための世論調査です。
こんな聞き方をしたらどうでしょう。
「2020年の東京オリンピック・パラリンピックを機会に日本でも夏の間だけ時計を2時間進める「サマータイム」の導入が提案されています。ヨーロッパ諸国では既に1時間進めるサマータイムを導入していますが、健康への悪影響や、想定されたほどの省エネ効果が得られないことから廃止の検討を始めました。あなたはこの案に賛成ですか。反対ですか。」
体調を崩す、ほとんど省エネ効果はない、かえって長時間労働をもたらす、など指摘されているところですが、サマータイムを導入していた欧州諸国ではサマータイム制の廃止の検討を本格化させるそうです。
EU、サマータイム廃止を検討 省エネ効果は想定以下」(産経新聞2018年8月16日)
「欧州連合(EU)は長年続ける夏時間の存廃の検討を本格化させている。
 標準時を年2回、1時間前後させることによる健康への悪影響や、想定されたほどの省エネ効果が得られないことなどが指摘されるためだ。」

特にパソコンなどの時間設定については、種々、プログラムの変更も不可避だそうで、IT特需だからいいだろうという声もあるそうです。しかし、そういう人為的に作り出す特需って結局、負担になるだけで、それこそ何の生産性もないのです。

新札を発行すればそれに合わせた特需(ATMの入れ替えなど)があるという見解も同じで、無理やり、支出させてどうするんですか。生産性がないどころかマイナスにしかなりません。

地球環境のためだ、なんて言うのもどうかなと思うのは、禁煙に関しては結局、ザル法にしてしまい、東京都の基準よりもひどいものになっていて、世界の流れとは逆行してしまっているのに、サマータイムの導入だと言われても説得力がないのです。
 安倍氏のいつもの思いつきのパフォーマンスにしか見えないわけです。これをオリンピック開催というだけで正当化してしまうのです。

これで本当に数の力だけで導入が決まってしまったら、怖い話です。
しかも一旦、導入されると問題があろうとなかなか廃止されない(できない)ということも考えるべきでしょう。

サマータイム制の導入は絶対にやめるべきです。弊害しかありません。

あわせて読みたい

「サマータイム」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    GoTo見直し 協力体制みえず幻滅

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    新井浩文が語った「性的武勇伝」

    文春オンライン

  3. 3

    意見広告は嘘でも許容されるのか

    島田範正

  4. 4

    赤旗は佐藤優氏批判する資格なし

    鈴木宗男

  5. 5

    よしのり氏「皇女」案に危機感

    小林よしのり

  6. 6

    バイキングで疑惑報道の社長怒り

    SmartFLASH

  7. 7

    よしのり氏 コロナの正体見たり

    小林よしのり

  8. 8

    コロナ禍で缶コーヒー離れが加速

    文春オンライン

  9. 9

    本厚木が1位 住みたい街は本当か

    中川寛子

  10. 10

    なぜリベラリズムは生き残るのか

    SYNODOS

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。