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20世紀文明論(9):生活革命②長寿社会・・・❹

 長寿化は高齢社会をもたらしたが、財源を考えると、過剰な福祉の見直しは不可欠であろう。日本政府は、「中福祉、中負担」を掲げるが、低福祉なら低負担、高福祉なら高負担であることを、私たちは認識すべきである。

 アメリカ人は政府の過剰な介入を嫌う。たとえば健康保険については、個々人が民間の保険会社と契約して、医療費などを賄う。しかし、このシステムだと貧富の差が命の差につながってしまう。

 これに対して、スウェーデンでは25%の付加価値税を課し、それを高度福祉に使っている。高負担であるが、スウェーデン人はこの制度に満足している。

 日本の消費税は8%であるが、早急に15%くらいに引き上げないと、十分な社会保障を享受することはできなくなる。日本の医療費は42兆3644億円(2015年)であり、これはGDPの約8%に当たる。

 先述したように、日本人の平均寿命は男性が81.09 歳、女性が87.26歳(2017年)と、ともに80歳を超えている。しかし、 健康寿命については、男性が72.14歳、女性が74.79歳である。

 健康な間は仕事を続けたいという希望を持っている日本人は多い。それは、老後の生活を支えるのに年金だけでは十分ではないという経済的理由が大きい。また、経済的理由以外には、社会との接点を保持し続けたいという希望もある。

 私は若い頃ヨーロッパ諸国で勉強したが、日本と違って一日も早く定年退職し、のんびりと年金生活を楽しみたいという人が多い。

 日本型、欧州型、それぞれ人によって好みは違うが、長寿化を負担と考えるのではなく、積極的に評価する姿勢を持ちたいものである。

 実は、江戸時代はそういう時代であった。立川昭二氏は『江戸 老いの文化』(1996年)という著書の中で、江戸が老いを高く評価する時代であったことを強調している。

 氏は、「とし守夜老(もるよおい)はたうとく見られたり」という蕪村の句を引用しながら、「江戸という社会は、ある意味でいうと、老いに価値を置いた社会であったと言える。・・・暮らしは自然のリズムにそって流れていたし、人も物もゆっくりと動いていた。・・江戸に生きた人にとっては、こんにちとちがって人生の前半よりも人生の後半に幸福があった」と述べている。

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